2013年11月26日火曜日

有限体積法

有限要素法や差分法はよく聞くのですが、有限体積法は今まで触ったことがありませんでした。

応力など、なめらかな形状が必要な場合にはFEM、地下水などはボクセルの差分で十分だと思っています。FVM はどういった時に使うのでしょうか?周りのソフトは FEM か FDM ですので、昔流行った手法かと思いきや、そうでもないようです。ネットでは、流体解析では FVM というのも見かけます。よくわかりません。

そもそも、有限体積法という名前しか知りませんでした。
調べてみると、以外に容易かもしれません。読んだのは平瀬創也「C#で学ぶ偏微分方程式の数値解法」。
質量保存を考える際、微小体積を仮定しその中の収支を追いますが、FVM もまさにそれでした。格子点周りに微小体積(コントロールボリューム)を想定しすれば、積分形の式を利用しやすくなります。さらにそれを差分形式で近似すればおしまいのようです。
でも、わざわざコントロールボリュームを仮定するのが、まだピンと来ていません。結局差分形式で表現するなら、最初から差分法でも良いような気がします。

非構造格子でも対応できるそうですが、そこまではまだ理解できていません。
そういえば、MODFLOW-USG も驚くような格子になっていましたね。差分法のままなのでしょうか?どうなっているのでしょう。

FVM の解説本は少ないようです。ま、構造格子のみだと上記の本で問題ないので、とりあえずは良しとしましょう。


2013年11月25日月曜日

在宅勤務

今年のはじめだったでしょうか、米Yahoo!の CEO が在宅勤務禁止の意志を示しました。

その後、禁止になったのかどうか知りません。その真意も分かりません。ただ、会社で人と人が顔を突き合わせた方が、ディスカッションが増える、より良いアイデアが生まれるというような意図は理解できます。時代に逆行しているとの論争も出ましたが、個人的には行き過ぎた在宅勤務を引き戻し、モニター越しでなく、面を合わせて話し合うというのは基本的かつ重要なことだとおもます。逆行しているとは思えませんでした。

私の勤めている会社は、在宅勤務を認めていません。
家では仕事をしていないことになっています。
Yahoo!より、進んでいるのかもしれません。

2013年11月24日日曜日

DEM と DTM

国土地理院さんが基盤地図情報を更新されています。

先日のUPで、さらに LP ベースの 5DEM が追加されています。以前、写真測量ベースのDEMしかなかった箇所も整備されていました。いいですね。

そういえば、「DEM と DTM の違いは?」と聞かれたことがります。個人的には、グリッドデータになっているものが DEM という解釈をしていましたが、正確には答えられませんでした。同じ解釈をしている方もいらっしゃいますが、そうでもない解説もあります。
http://gis.stackexchange.com/questions/5701/what-is-the-difference-between-dem-dsm-and-dtm
DTM: bare-earth representation with irregular spaces between points (non-raster).
DEM: gridded raster representation of the DTM.

国土地理院さんの解説では「同義」と解釈してもよさそうです。
http://www1.gsi.go.jp/geowww/Laser_HP/faq07.html
DEMに類似する用語にDTM(Digital Terrain Model)という略語があり、日本語では数値地形モデルといいます。これら2つの言葉は異なる語源からなりますが、同義語として扱われる場合が多く、一般に「DEM」が使われる場合が多いようです。

国土地理院さんの動きを見る限り、取り急ぎ、全国整備が目標なのかと思われます。
今後は時系列で整備していただくと、より便利になりますね。どの地域に何年のLPがあるのか分かれば、崩壊前後のデータがあるのか、すぐに判断できます。
今後に期待です。

2013年11月23日土曜日

河川の流れの基礎方程式

LSFLOW は連続の式(質量保存則)と運動方程式(ナビエ・ストークス)を利用しています。

その詳細は非公開と聞いていたのですが、土研資料にはソースまで載っていますし、砂防学会「地震砂防」という本に、支配方程式の展開や離散化の方法も載っていました。砂防分野では有名なのでしょう。

式の展開を初めて見たときは、独特な定式化だと感じていました。特に、クーロン則などを適用している外力の箇所。解釈は結構、自由なんですね。ま、再現できれば良いわけです。
また、地すべりの運動では鉛直方向の流速が水平方向に比べて無視できるという仮定のもと、式の簡略化が行われています。これを見たときは独特だなあと感じつつ、昔のことですから、計算容量を小さくしたかったのだろうなあ、程度に考えていました。

ところが先日、河村哲也「河川のシミュレーション!」という本を読んでいて、同じような定式化を見ました。河川の流れの基礎方程式というそうです。「鉛直方向は無視」という簡略化は河川砂防分野では常識なんでしょう(私が知らなかっただけのようです)。こういう考え方が河川砂防分野のベースにあったからこそ、LSFLOW も、あのような定式化をしていたのでしょうね。もっといろいろ学ばないといけません。

LSFLOW も学位論文等で FVM に改良されています。LSFLOW3、LSV と呼ばれているコードがそれに該当するのようです。
いずれにしても、inputファイルの作成~計算~可視化(MVS)までの実装は完了しましたので、あとは崩壊前の地形の調整を含めたパラスタのみです。地形の調整は時間がかかるでしょうね。
http://phreeqc.blogspot.jp/2013/10/blog-post_9060.html
もう少し考えないといけません。





2013年11月18日月曜日

Visual Fortran と Win8.1

計算用のPC に Visual Fortran Composer XE 2013 SP1 UP1 を入れています。

先週末、そのPCにて 6コアフルの計算させるていたため、他の作業ができませんでした。良い機会なので、VAIO + Win8.1 に VF を入れて作業しようと思い、インストールに取り掛かることに。
最近知ったのですが、VF のシングル・ユーザー・ライセンスは PC 1台につき1つではなく、1人につき1つなんですね。つまり、個人使用の PC が3台あれば、3台すべてにインストールできるわけです(当然、同時使用はナシ)。

VF をインストールしていると、13/30まで進んだ頃にエラーが発生。何度かやり直してみたのですがエラーで進みません。中途半端に入ってしまったので、uninstall しようとしたら、これもエラー。再起動をかけようとすると、ずーっと再起動中の表示で落ちない。電源ボタン長押しで強制終了し、再度起動する羽目に。
その後、uninstall してから、再度インストールするも、全くダメ。失敗です。
結局、システムの復元でさっぱりしました。

13/30 はちょうどVS 2010 shell をインストールする過程でした。せっかくですので、shell を最新版にすることに。
VS 2013 はexpress 版が3種類ありました。for Windows が2種類。DLページに説明は書かれていませんが、たぶん、ストアアプリ用と、デスクトップ用でしょう。気にせず、for Windows Desktop を DLし、インストール。firewallを落とすのを忘れていたのですが、一発でOKでした。

しかし、VFが2013に対応していないのか、統合できません。
HPで確認すると、Win8、VS 2012までのようです。
http://www.xlsoft.com/jp/products/intel/compilers/fcw/
  • オフロードと SIMD 拡張を含む多数の OpenMP* 4.0 の機能をサポート SP1 より追加
  • Fortran 2003 規格のサポートを拡張 (ユーザー定義の派生型 I/O) SP1 より追加
  • Microsoft* Windows* 8 および Microsoft* Visual Studio* 2012 をサポート
仕方ないのでアンインストールしてから2012を入れることに。2012も express 版を入れてみました。
が、これも統合できません。この時点で朝の4時。続きは翌日に持ち越し。


翌日、気を取り直してPCのメンテから始め、再度 VS 2010 shell 付属の英語版を入れてみました。これはあっさり入りました。こうなると、日本語版も入れてみたくなります。ダメもとで再度チャレンジしてみると、13/30でかなり考えながらも、今度は最後まで到達!何が悪かったのか分かりませんが、入りました。

後々、サポートに聞いてみると、「リリースノートを見なさい」とのお返事。
見てみると、ちゃんと書いてありました。概要は以下の通り。
・Windows XP SP3 ~ 8.1までOK

・IA-3、インテル64 対応アプリケーションのビルドに、Microsoft* Visual Studio* 開発環境あるいはコマンドライン・ツールを使用する場合は、次のいずれか:
o Microsoft* Visual Studio* 2012 2010 Professional Edition 以上、2008 Standard Edition 以降、 2010 Shell、2008 Shell
・IA-32 アーキテクチャー・アプリケーションのビルドに、コマンドライン・ツールの
みを使用する場合は、次のいずれか:
o Microsoft* Visual Studio* Express 2012 for Windows Desktop
o Microsoft* Visual C++* 2010 Express Edition [3]
o Microsoft* Visual C++* 2008 Express Edition 
http://www.xlsoft.com/jp/products/intel/compilers/fcw/2013/Release_Notes_sp1_up1.pdf

2012 PROはもっていませんので、2010 shell で BEST だったようです。そこに行きつくまで、1日かかりました。つくづく、周りにプロがいれば、と感じた週末でした。

2013年11月17日日曜日

Tecplot で水面の座標抽出・差分表示(備忘録)

備忘録です。


① Iso-surface で P = 0m の面(水位)を表示させる。

②“Data” - “Extract” - . “Iso-surface” で水位面を抜き出す(Zoneとして新たに追加される)。すべての zone から一気に抜くことも可。

③“Data” - “Alter” - . “Specify equations”にて、変数を2個追加。名前は何でもOK。ここでは、WL1 ( H を代入)、WL2 ( 0 を代入)を作成。
{WL1}={H}
{WL2}=0
*この後、“File” - “Write Data File”で、作成した水位の座標出力可能。
*ただし、吐き出されるXY座標はZone毎に微妙に異なるので、単純に差分は取れない。

④水位を抽出したZoneでは、それぞれジオメトリが異なっている(Z=H(水位)となっている、XYが微妙に異なる)ため、単純に差分は取れない。そこで、Zone同士を比較する場合、比較先のジオメトリにて、比較元のHを補間してから差分をとる手順になる。まずは補完。
“Data” - “Interpolate” - . “Kriging”にて、Destination zone のWL1に、Source zone のWL1をkrigingで補間・代入。ここでは、Zone146のWL1(=H:水位)をZone74のジオメトリ上のWL1に補間・代入している。


⑤差分計算
Destination zone で指定したzone(ここでは74)を選択し、{WL2}={WL1}-{H} でCompute。
WL1 には Zone146 の値が④の過程で補間・代入されているので、選択した Zone74 の水位との差分が、Zone74 の WL2 に代入される。


⑥Time Stands
差分をとり終わったら、表示したい Zone を Time に追加。

⑦コンター図表示で完成



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2013.11.23 追記

kriging 時、Driftはナシです。



Tecplot で水位の差分表示

Tecplot で水面を表示できますので、その差分をソフト内で計算・表示できれば、座標書き出しの必要性が小さくなります。

ま、できるでしょうと思いチャレンジしてみたのですが、できませんでした。水面のみ抽出した2つのZoneを指定し、差分を取るだけなので容易にできそうなのですが、ダメ。いえ、差分を取る計算式を入力する箇所はあるのですが、Zoneを指定すると"incompatible zones "というエラーが出るのです。

ググってみると、フォーラムに以下のような質問がありました。

http://www.tecplottalk.com/viewtopic.php?t=339
I have got a problem with the data -> alter -> specify equations function! I have tried for ages to visualize with this tool an anspect of my flow field, but it doesnt work.
description of my problem:
1. I load two files into tec360 with the same geometry datas but other flow fields. This works, and so i can see 10 zones (5 of each loaded files)
2. What i wanna do now is to subtract the pressure level of the first file of the second one. (zones 1-5 are from the first one, 6-10 from the 2nd one)
3. So i go into the specifiy functions tool and write:
{pdelta} = {p0}[6] - {p0}[1],{p0}[7] - {p0}[2],... (and so on for all the corresponding zones from 1 to 10)
-> but now i cannot compute this value pdelta and visualize it...-> if i try to compute it, there are three error messages which appear:
1. if i don't select any zone in the 'zone to alter' list, the error appears: 'invalid zone set requested'
2. if i select all zones, the following error appears: 'incompatible zones referenced in equation'
3. and when i select only a part of the zones, e.g. for the equation{pdelta} = {p0}[6] - {p0}[1] the zone 1 & 6, the following error appears: 'must alter all zones when creating a new variable'
So my question is, how can i compute and visualize the problem i described? what is wrong with my equation? Is it the syntax or has it to do with my zone selection or status? 

驚きです。
私も、まったく同じことをしようとして、同じところで躓いていました。 欲しい機能もわからないところも同じということです。この質問には解決策が載っていませんでしたので、Tecplot にその機能はないということなのでしょう。マクロを組めば、できるかもしれませんが。

代わりと言っては何ですが、1ステップ毎の計算は可能でした。欲張らないことですね。

http://www.tecplottalk.com/viewtopic.php?t=1124
In order for Tecplot to perform a calculation involving more than one zone (like the time average) all the zones involved have to be "compatible". That is, they have to have the same underlying order, and the same number of data points.
The "incompatible zones referenced in equation" message means that at least one zone had a different oder, or different number or points, or both than the rest of the zones.

For these instructions, think of two incompatible zones, each with five variables (X,Y,Z,T,P), where T is Temperature and P Pressure. And suppose that you want to subract P of zone 1 from P of zone 2:
1) Go to Data/Alter/Specify Equations and create two new variables, by highlight both zones in the Zone to Alter box and entering two equations like these: 
{P1} = 0
{P2} = 0
Then click Compute.
Both of your zones will now have two extra variables. 
2) Still in Data/Alter/Specify Equations, highlight only the first zone in the Zones to Alter box and then erase the two equations you entered moments ago and enter this one:
{P1} = {P}
and click Compute. This will copy P of Zone 1 into P1 of zone 1.
Now you can close out of Data/Alter/Specify Equations.  
3) Go to Data/Interpolate and choose a method. Select Zone 1 as the Source zone and Zone 2 as the Destination zone and P1 as the variable and click Compute. This will interpolate P1 of Zone 1 onto P1 of Zone 2.
P of Zone 1 has now been transferred to 
4) Now close out of Data/Interpolate and go back to Data/Alter/Specify Equations. Erase an equations that are present, and select Zone 2 in the Zones to Alter box.
Then enter an equation like this:
{P2} = {P1} - {P}
and click Compute. P2 of Zone 2 will now hold the result of the calculation of P of zone 1 - P of zone 2

なるほどです。確かに、抽出した水位の座標はそれぞれ異なりますので(水面(Z)だけでなく、なぜかXYも微妙に違う箇所がある)、エラーを吐くわけです。
本来は、上側の質問のように複数のタイムステップ同士を比較したかったのですが、贅沢は言えません。後者で実施してみると、うまくいきました。

続く。

2013年11月15日金曜日

Iso-surface の座標

浸透流計算の結果を Tecplot で表示しています。

地下水位として、圧力水頭 0m の面を表示しているのですが、これの XYZ 座標が抜けません。
施工前後の差分をとりたいのですが、やり方も分かりませんし、座標の書き出し方も分かりません。SoilPlus で計算していたら差分表示も楽なのですが、今回は Dtransu 。 CTC の Dtransu > S+ コンバーターは、私の環境では正常に動作しませんので、可視化ツールに頼るしかありません。
うーん、と悩む時間も勿体無いので、MVS を使用することにしました。

といっても、MVS 用の変換ツールを作るところからです。
データの読み込みは Tecplot 用のソースを再利用できます。書き出し部分だけ、inp ファイルの並びにあわせると、出来上がりです。それでも、バグ取りをしていたら、正常に動作するまで4時間かかりました。

早速、書き出した inp ファイルを MVS へ読み込んでみました。
が、表示できません。汚染の表示のように、Iso-surfaces として圧力水頭分布を表示できると思ったのですが、上手く行きません。こちらも、うーん。変換をまだ誤っているのかもしれません。ま、Iso-surface を表示できても、座標書き出しまでたどり着くには、まだ考えないといけませんし。こちらも、先は長そうです。


食事休憩をとった後に Tecplot に戻ってみると、なぜかあっさり Iso-surface の座標を書き出せてしまいました。なんだったのでしょうか。後日、備忘録をつけておきましょう。

ま、こんな日もあるでしょう。


2013年11月11日月曜日

三軸圧縮試験の拘束圧 その2

試験機に詳しい先輩に聞いたところ、使用しているロードセルの精度は1/4000。最大荷重は2kN。この値だけであれば、低拘束圧でも大きな問題は生じないように思えます。
が、先輩が言うには、低い荷重領域はやや精度が劣るとのこと。

例えば、直径5cmの供試体に、400N(最大荷重の20%)をかけると、約200kN/m2。低拘束圧下での破壊を考えると、やや大きな値です。背圧を100kN/m2かけても、クリアできない試料もあると思います。
では、背圧を200kN/m2にすれば良いのでは?と聞くと、それも経験上ダメとのこと。理論上はOKでも、経験上、静水圧程度にしておかないと、(実際は違うかもしれませんが)構造が壊れやすい?そうです。

他社のプロとも話しました。試験室でロードセルとPC画面を見ながら話をしたのですが、こちらも似たような精度でした。どちらかというと、不均質性の影響がより大きくなるだろうと。ま、その通りです。サンプリング・運搬・トリミングによる乱れ・供試体の不均一性はそのまま出てくるでしょうね。室内にだけ精度にこだわっても、ダメということです。

御二方と話して得た結論としては、「低拘束圧のみで試験を実施するなら、ロードセルを変えたほうが良い」ということ。うーん。ま、そこまでこだわれということかもしれません。


あと、先輩、私、プロ三者に共通した意見がありました。
「低拘束圧のほうが、cが出るだろう」
基準では逆の説明がされています。粒子破砕でも起これば、高拘束圧のほうが寝てくると思いますが。どうなんでしょうね。

試験一つとっても、まだまだ分からないことが多い状態。一歩づつ、片づけていきましょう。






2013年11月10日日曜日

三軸圧縮試験の拘束圧

三軸試験の拘束圧について後輩から質問がありました。

三軸試験の拘束圧はc・φを決めるのに重要な要素です。が、多くの方は気を使われていないようです。現場担当・試験担当などの分業化、試験の基準化の弊害でしょう。現場が「三軸試験をお願い」と言えば、基準に従った結果は上がってきます。が、側圧の詳細な設定方法は基準に載っていませんので、試験者によってはゲージの読みやすい値や習慣で、とんでもない拘束圧を設定することもあるでしょう。拘束圧の設定方法に疑問を持った(設計者)は「いいね!」です。

余談ですが、他社の熟年設計者が、お客様に対し、拘束圧をどの程度に設定するか聞いているのを見たことがあります。お金をもらってコンサルティングする立場のはずですが。これは逆に論外です。

拘束圧に関して、基準に載っているのは下記ぐらいでしょうか。
国土技術研究センター「河川堤防構造検討の手引き」H24改訂版
従来、三軸圧縮試験および一面せん断試験における拘束応力の設定に配慮不足な面があった。すべり面計算に用いる三軸圧縮試験等のせん断強度試験は、発生すると予想されるすべり面の深さにおいて、発揮する強度が評価されるように、低い拘束応力範囲を含むように設定することが望ましい。高拘束圧下の試験結果から得られた粘着力を見込むと、低拘束圧下で過大な強度となり、過大な安全率が得られることもあるため、粘着力の評価に必要な注意事項である。
ただ、具体的な設定方法については書かれていません。明確に書かれた基準は現段階でないと思います。
本来、盛るのか、掘削するのかによっても変化しますし、安定計算時のすべり線が決まっているかどうかによっても変わります。扱うモデルが2次元か3次元か、欲しい値が過圧密の範囲内なのか正規圧密状態なのかでも異なります。現状ではそれらを書き出すのが面倒なため、常識?の範疇となっているのでしょう。


先日、他部署の先輩と話していた時に、ある資料の存在を知りました。またも河川、下記土研の解説書です。この分野、河川は強いですね。
比較的初心者向けの解説書と思われますが、その中に拘束圧について書かれている箇所がありました。公的な書き物で具体的な記載があるのは初めてではないでしょうか?
土木研究所 地質・地盤研 土質・振動チーム「河川堤防の浸透に対する照査・設計のポイント」
http://www.pwri.go.jp/team/smd/topics-seepagepoints.htm

ただし、これにも問題があります。
最大で50kN/m2だと、他は10, 30kN/m2程度でしょうか。拘束圧は設定できると思いますが、10kN/m2はかけたことがありません。最低でも20kN/m2程度です。機械にもよると思いますが、軸方向の精度が保てるかどうか心配です。
あと、モール円が詰んでしまい破壊線を引き難く(c・φを決定し難く)なりますね。ま、これは(有効)応力経路のグラフにて、破壊点に対し最小二乗近似を取ればクリアーできますが。

続きは後日。

2013年11月7日木曜日

崩壊の原因は?

今年は台風が多いせいか、土砂災害も多く発生しました。

今年、呼び出されて見た中で、印象に残っているのが、ある切土の崩壊。
岩盤の上に厚い扇状地性堆積物が載っていたのですが、そこをオープンカットで通過していました。で、台風により上位の堆積物だけが崩壊。原因は岩盤との境界を流れる地下水です。土工指針や教科書に載っている、典型的な崩壊でした。

先日、お世話になった方から執筆図書の案内があり、ネットで注文しました。届いた本を見ていると、学生向けの内容でした。が、そこにも典型的な崩壊例として、岩盤上の土砂の崩壊が載っていました。なぜ、設計者がそんな初歩的なミスを犯したのでしょうか。

ま、少しわかる気がします。たぶん、仕事として淡々とこなしてしまったのでしょうね。

以前、掲示板(雑談板)で、高級レストランか、町の定食屋化か、どちらのような会社を目指すべきかという話題を掲げた方がいらっしゃいました。詳細は忘れましたが、高度かつ独自の技術で勝負する会社か、小さな問題でもすぐに対応できる声のかけやすい会社か、ということだったと思います。
私は、どちらも目指すべきだと思います。逆に、心が入っていれば、どちらでも良いとも思います。どんな仕事も人と人のやりとりです。心がなければいけません。今話題の食材誤表示(詐欺)と同じくらい、インフラにも問題は潜んでいるかもしれません。

2013年11月6日水曜日

確率降水量

後輩二人から、確率降水量の設定についてレクチャーを受けました。

雨量の引伸ばしを自分で行うのは初めて。ですが、確率降水量の考え方や算出方法自体は、他の方がされているのを今まで見てきたので、ま、できるでしょう程度に考えていました。降雨データを用意して、確率分布関数(確率密度関数)を複数あてはめ、最も適合したものを選ぶというだけです。気象庁のHPが分かりやすいと思います。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/riskmap/cal_qt.html

ですが、できませんでした。
どのような雨量データを用意すべきか、という初期の段階で躓いたのです。
河川の方なら台風など一雨で期間を区切ると思います。が、私の適用したい現場では、数か月~1年のオーダーで雨量の引伸ばしを行う必要がありました。そこで後輩の出番。1時間ほど話ながら考えてもらい、最終的には解決しました。ありがたいことです。

ちなみに、計算に使ったソフトはコチラ↓
一般財団法人国土技術研究センター「水文統計ユーティティ」
http://www.jice.or.jp/sim/t1/200608150.html

分布関数は16種類。計算はほぼ自動。若干、使い方に戸惑うところはありましたが、よくできていると思います。こういったソフトを無償公開されるのはありがたいことです。今後も制約なく使い続けることができれば良いですね。

2013年11月5日火曜日

ビジネスモデル特許

ビジネスモデル特許というのは、結構身近にあるようです。

携わっている仕事の一部が、どうやら他社のビジネスモデル特許に引っかかりそうだと分かりました。いえ、先輩はずいぶん前に御存知で、その辺りのことは既に手を回し、処理図済みだったのですから驚きも倍です。技術以外のことも勉強しないと、やっていけないようです。

今回は、例えば以下のようなことでした。

ある先生が、FEMをつかった変位解析手法を論文で発表しました。それを見たA社がコーディングし、誰でも使えるように公開しました。B社はそれを改良し、変位についてより精度を高めることに成功しました。これも論文で公開され、皆が自由に手にすることができ、技術の発展に大きく寄与しました。
ここで登場したのがC社。B社の改良ソフトをある現場条件に利用し、変位ではなく応力についての利用法をビジネスモデルとして特許申請しました。今まで、皆が変位にばかり注目し、たまたま一緒に求まる応力について触れていなかったのです(実際はそんなことはないでしょうが)。
それを知らないD社が、B社の改良ソフトを使って応力について求める業務を行いました。が、運悪く、その条件がC社の申請した条件と合致してしまいました。

似たことことが、現実にあるんですね。
誰が悪いのかというと、感情論ではC社です。が、違うんでしょうねえ。

そういえば、IPS細胞の作成等でノーベル賞を受賞した山中教授は、特許管理についても力を入れていると、テレビで見たことがあります。知財管理・契約を専門とする部署があるようで、特許の権利を大学に取得・管理させることにより、学術研究への無償提供による発展、他者や企業の特許取得による実用化の遅れ・独占防止、研究分野全体への支障を防ぐというような趣旨だったと思います。

ま、これは本当の特許で、ビジネスモデル特許とはかけ離れたものなのですが、通じる物はあると思います。研究者や企業は良い論文を発表するだけでなく、その発展や実践も視野に入れ、先々手を打っておく必要があるのでしょう。

2013年11月2日土曜日

不合格通知

H25 技術士試験の不合格通知が届きました。

選択IIがBでした。理由は明らか。選択問題が少なくなり、実質、選択の余地がなくなったこと、そのうち1問が60%以上回答できるレベルに達しておらず、専門外の問題に手を出したこと。
http://phreeqc.blogspot.jp/2013/08/blog-post.html

他人から「お前はダメだ」と言われると、客観的にダメだとよく認識できます。この年になると、なかなか面と向かって「ダメ」と言われませんので、これだけでも良い収穫でしょう。

先輩に、専門外の問題を答えたことを話すと、「口答試験で、その専門外の方が来たら最悪」と言われました。なるほど。
受験以降、試験対策として専門外も勉強する必要があると考えていたのですが、それでは口答試験の時にタジタジになる可能性が出てきます。やはり、専門分野に絞って勉強する方が良いのでしょう。

会社の掲示板に合格者名簿が出ていましたが、今年は10名強と非常に少なかったですね。異例です。試験制度の変更のため受験を控えた方が多いことに加え、社内の高齢化、金銭面での社内補助の減が要因と思います。残念ですね(という私も久々の参加でしたが)。

ま、60点でOKの試験です。それに満たないようでは、その分野の技術者と名乗れません。まだ見習いです。せめて技術者としてのスタートラインには立ちたいものです。
来年も短期目標としましょう。

2013年11月1日金曜日

透水係数と回転マトリックス

3次元の浸透流解析でパラスタをしていました。

なかなか合わない個所があり、kx, ky, kz を変更してみることにしました。それが正しいかどうかは別として。

砂岩・泥岩の互層であり、山を歩いた感じでは一様に傾斜しています。その平均的な走向傾斜は把握しています。
また、Dtransuであれば方向余弦の入力で回転した透水係数(軸)も計算に取り込めます。マニュアルに記載されていますし、2年前に確認しています(なぜ符号をそのようにしたのかは全く覚えていません。GTRANの座標系だったかな?)。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/07/dtransu.html

で、いざ反映しようと思うと、あれ、分かりません。方向余弦を出すにも、2軸で回転させてしまうと、わからない角度が出てくるのです。回転マトリックスを使うにしても、平面上を1回転までは計算できるのですが、次に傾斜方向へもう一度回転となると、その方法が分かりません。どちらかの軸だけで1回回転ならOKですが。

調べてみると、走向傾斜はオイラー角で表現するのが便利だとわかりました。これ、知りませんでした。回転後の軸を使って、もう一度回転させる、そう考えれば回転マトリックスを2回使うだけ、積をとるだけでOKでした(数学、もっとやっておくべきですね)。個人的には、こちらのサイトが分かりやすかったです。
http://www6.ocn.ne.jp/~simuphys/daen1-1.html
wikiのGIFがイメージしやすいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%BC%E8%A7%92

上のサイトでは3回転させてますが、走向傾斜であれば2回転でOKなので、もっと簡単な式になります。

この程度ならEXCELで配列数式があるかと思いましたが、ないですね。ま、それほどややこしいものでもないので、sin、cos と手入力で仕上げました。走向傾斜を入れたら、方向余弦を算出するようにしました。もっと簡単な方法もあると思いますが、ま、今回はこれでOKです。


で、目的だった走向傾斜と透水係数の異方性を考慮した計算をしてみました。

結果、今度はほかの箇所が合わなくなりました。うーん。



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2013.11.02
以下にEXCELデータをUPしました。
https://sites.google.com/site/geochemist001/resources/RMatrix