2011年9月30日金曜日

Ga3dでひずみ軟化

地盤工学会「弾塑性有限要素法をつかう」の中に、Ga3dという弾塑性(静的)解析コードが収録されています。

先日の講習会で空いた時間に、そのフローとソースを見ていました。シンプルであり、書籍中にコメントがあるので、理解しやすいコードです。

ある程度眺めていると、ふと気が付きました。「これ、簡単に残留強度に入れ替えられるんじゃないか?」と。つまり、降伏後に残留強度に落ちるひずみ軟化モデルを容易に反映することができると思えたのです。

講師に確認すると、それでOKとのこと。早速、アルゴリズムを作成し、翌日確認していただきました。合格のようです。後日、FLACの例題と比べてみたり、収束性を見てみたいと思います。

弾塑性計算のアルゴリズムで必ず通るはずの箇所に手を加えていますので、他のソフトでも同じような改変が可能と思います。ただ、市販ソフトは自分で手を加えられないんですよね。プレの使い勝手をとるか、ひずみ軟化の必要性をとるかは問題に応じてといったところでしょう。

弾塑性FEM

地盤工学会の「わかって使うFEM」講習会に参加していました。
弾塑性(静的)やFEMの理論は理解していましたので、復習といった感じです。

今回の目的は静的ではなく、動的、圧密解析でした。これらの理論もパーツとして理解していましたが、まだぼやっとしたところがありました。今回の参加でそれらをつなぐことができ、収穫ありです。それほど難しくはないんですよね、理屈だけなら。まだ完全ではないので、後日、再度数式を追いかけましょう。

ただ、理論を理解するのと、答えが評価できるのとは大きな差があります。その辺はプロの領域ですね。地質屋として求められるのは、ある問題にある理論で望みたいと言われたときに、どの程度の設定値(幅)が必要だから、どのような調査を提案すれば良いかを判断するといったところでしょうか?

今回の講習ではパラメーターの扱いについて詳細なお話がありました。前日に質問していましたので、講師の配慮もあったともいます。ありがたいことです。今後は数値解析について一歩引いた目線で扱えそうです。以前、FEMのベテラン技術者に言われたことがありましたが、ようやくたどりついた感じです。

また、講師との雑談や質問に対する回答もかなり有意義でした。
そのあたりは、また後日。

2011年9月27日火曜日

NHKネットラジオ

基本的にテレビはあまり見ませんし、ラジオも聞きません。

正確にはオンタイムで見たり聞いたりする習慣があまりないだけで、気になったものは録画したり、後でネットで見たり、DLしたものをiPhoneに保存したりして、時間が空いたときや出勤途中に見聞きしています。

先日、本屋でNHKラジオの「入門ビジネス英語」を手に取ってみたところ、emailの講座がスタートすることになっていました。今まで、ソフトやライセンスの問い合わせ、海外の学会の入退会など英語のビジネスメールを出す場面があり、そのたびに痛い目に会っていました。これは良い機会と早速購入し、今日、ホテルまで持ってきました。

今日は放送時間を覚えていますが、毎週となると絶対忘れます。そこでiPhoneのスケジュールに加えてしまい、毎週5分前通知の設定をしておきました。どこまで続くかわかりませんが。

さあ、準備もできたし、オンタイムで聞きましょうと思ったら、ホテルのラジオが壊れています。仕方ないので、iPhoneで聞いていました。(iPhoneで通知を受けるので、今後はこのスタイルで落ち着くと思います)

ところが、後で検索すると、NHKラジオはAM,FMともにインターネット経由のオンタイム配信「らじる★らじる」が始まっておりました。9月1日からのスタートのようです。PCで聞けます。これは便利。
http://www3.nhk.or.jp/netradio/

ただ、スマートフォンアプリが準備中となっています。
あれ、?他のアプリで聞けるのですが?ま、良いでしょう。

とにかく、またひとつ便利なソースが増えました。

2011年9月25日日曜日

国内最長7.2mの長孔発破

長孔発破国内記録のニュースです。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20110916/552745/
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20110916/552745/?SS=imgview&FD=-1041774028

写真は6.7mの時のものですが、天端右半分くらいはきれいにノミ跡が残っていますね。掘りやすいのでしょうが、これだけズリが出ると、ズリ出しに時間がかかりそうです。
岩はなんでしょう?パッと見、花崗岩かと思いましたが、オンライン地質図では中新世の珪長質火山岩となっています。
薬量や発破パターンはどうなっているのでしょう?
ボルトのパターンを見ると、切羽側2間はBだと思いますが、お飾りのようなものでしょうか?
いろいろと興味がありますね。

ところで、発破技術とは関係ありませんが、右肩の当たりと腕まくりをしている方が写っていますね。トンネル屋さんとして掲載に抵抗は無かったんでしょうか?施主でしょうか?こちらもちょっと気になりました。

2011年9月23日金曜日

百聞は一見に如かず

先日、地球ドラマチック「月と太陽の神秘(1)地球が月と離れる日」を見ました。
以下、NHKのHPでの紹介です。

月は毎年、数cmずつ地球から離れている。計算上では、現在の距離の1割を離れると、地球を公転する軌道から外れてしまう。月は、地球にどんな影響を及ぼしているのか? 月が離れてしまった地球は、いったいどんな世界となるのか? 調査研究で明らかになってきた地球と月の関係、そしてシミュレーションCGが描き出す、月が遠ざかった後の地球の姿。(2010年アメリカ Earth without Moon)

内容からして子供番組のようでしたが、このような文章だけでは分からなかったでしょうね。文字を読むよりも、映像を見る方がはるかに理解しやすいですよね。
番組ではCGが多用され、子供でも分かるような内容構成となっていました。百聞は一見に如かずということでしょう。


今日、岩盤崩落個所の整理をしていました。
PSE で 3Dモデルにし、崩落個所の上にかぶさっている樹木をモデルから削除し、上空から見て驚きました。崩落面を形成していた2セットの亀裂の組み合わせが、一目瞭然なのです。横断でも同様に、それらの亀裂が高角流れ目であることがよく分かります。
これは地質屋以外の方々に伝えやすい!と一人で喜んでいました。

亀裂の方向や斜面との関係を、地質を知らない方に伝えるのは難しいですよね。
いつもなら、Strike、Dip をシュミットに落とし、2セットの亀裂群、亀裂面の摩擦角、斜面の方向などからクサビ状の岩塊が落下する方向や安定性を図示します。Dipsを使えば、比較的簡単に意図した図が作成できます。
ただ、その図と写真,、スケッチなどを使って説明に臨むのですが、シュミットを即座に理解できる方は非常に少ないのが難点です。理屈は理解されても、現場のイメージに結びつくまで、遅れが出るのです。

PSEで3Dモデルを作り、上から示せば、一目瞭然です。シュミットを経由することなく、直接言いたいことが伝えられるのです。
全ての現場に適用できるとは思いませんが、手間はかからないので、やってみる価値があるでしょう。ふとしたことから発見した、3Dモデルの意外な利点でした。

百聞は一見に如かず。
ありがたい時代になりました。

2011年9月21日水曜日

法面崩壊 その2

台風15号で、また法面崩壊が起こりました。

今度は私が担当していた法面です。全面通行止めとなっています。
法面以外に人的・物的被害がなく、心底安心しました。

先日の崩壊時に、この法面も車から見ましたが、大きな変化はありませんでした。ただ、おかしな倒木が1本あり、「あれ?」と感じたので見に行こうとしていた箇所でした。

詳細は載せませんが、これ、もしかすると12号の後ですぐに見に行っていたら兆候をつかめたかもしれません。降雨浸透だけではなく、もうひとつ誘因があったのです。12号の後にすぐ見に行っていれば、見つけることができたかもしれません。休日だから、行こうと思ったけど雨が降っているから、他に急ぎの仕事があるからと後回し、見に行かなかったことをすごく後悔・反省しています。

ただ、この路線の崩壊がほぼ共通した素因、誘因(豪雨)を持っていることは確証しました。それら全てに対策を行うことは莫大なお金と月日が必要です。簡易貫入などで風化土の厚さを捉え、優先順位を付けるのも手ですが、ハード対策で自然のポテンシャル増加についていくにはキリがありません。ソフト面での提案も考えましょう。

今回の反省点です。基本的かつ古典的です。何度も見返せるよう、残しておきます。
・異和感は信じ、何が引っかかったかを認識すること。
・人命のかかっていることを念頭に判断すること。

ここから再度、出発です。
頑張りましょう。

2011年9月20日火曜日

一軸圧縮試験と三軸圧縮試験

設計者から、なぜ港湾ではUUではなく一軸なのか?という質問がありました。

こういった素朴な疑問、随分前に自身も通過したはずですが、すっかり記憶の隅、というか気にすることがなくなっています。一瞬、そんな自分を認識し、そんな自分が面白いと思いながら、頭がマニュアル化しているなあと反省しつつ、3つ回答しました。

・一軸+簡易CUの評価手法がある。
・適度な乱れを含む必要がある。(上と重複しますが)
・安い = 同じお金でたくさんできる。

港湾空港技術研究所HPでは、同様の解説がされています。基準書にもよく出てくる話です。

ただ、全て一軸と言うわけにはいきません。砂分が多い場合にはUUの方が良いと思います。それで得られた強度を補正して設計に使用する方法もあります。表層の柔らかい粘土であれば、現位置試験の方が良いかも知れません。


また、つい最近、後輩から三軸CU、CUB、CDは試験前に圧密するが、圧密の必要性は何?といった質問も受けました。これもとっさに面白いなあと思いながら回答しましたが、こちらはちょっと、後輩の勉強不足と言った感がありますね。
土質力学の基礎的範囲ですが、土質試験、せん断強度、せん断定抵抗角、透水性、現位置での深度方向の強度増加、φ換算時のN値の拘束圧補正など、試験、理論、現場のリンクができていれば(点が線でつながっていれば)、自ずと理解できるはずです。頑張りましょう。


マニュアルに従って淡々と作業することなく、土をみて、計算方法を考えて、技術者が何をすべきかいつも判断しないといけませんね。

2011年9月18日日曜日

法面崩壊

今朝の新聞に法面崩壊の写真が掲載されていました。よく見ると、私が法面調査を担当している路線です。

台風12号による先行雨量と、一昨日からの累積雨量が誘因となり表層崩壊を起こし、一時通行止めになっていたようです。後で聞くと、TVニュースにも出ていたようです。交通量の非常に多い路線でしたので、人的被害がなかっただけでもホッとしました。

お客様から連絡がなかったので、同じ路線でも私の調査対象法面とは外れているだろう、写真で見る限り地形・地質条件が少し違う、このような崩壊を起こしそうな不安定な法面は無かった、でも見落としがあるかもしれない、などと色々考えながらすぐ崩壊現場に向かいました。

現場を見ると、風化土、一部風化岩を含む表層部の崩壊でした(深層崩壊の定義が2~3mであれば、これも深層崩壊ですが)。幸いと言うか、残念ながらと言うか私の担当箇所ではなく、その間にある法面でした。3分くらいで連続写真を撮り、その後滑落崖を見ながら簡単に原因をまとめ現場を離れました。

ストリートビューで見る限り、植生に乱れは無く、空中写真からも背後に大きなすべりがあるように見えません。過去のカルテ点検ではどのような状況であったのか知りたいですね。この路線では、同じような風化土の崩壊が過去の台風で複数回でおきていますので、地質的素因を含む法面としてピックアップすることは可能だったでしょう。路線全体ではかなりの数になりますが。ただ、そこからピンポイントで崩壊予測するのは難しかったと思います。

今回の場合は少し違いますが、昨年の広島県で起きた庄原災害では、誘因となる豪雨の通り道で土石流や崩壊が発生しているため、今後は斜面を広域にお金をかけて調べるよりも、雨の予測精度を上げる方が大事ではないかという意見もありました。確かに、広島大学の研究でも、先行雨量と崩壊時の累積雨量の重ね合わせで災害発生箇所が説明できるような報告があります。誘因としての豪雨の通り道を早く、正確に知ること、それを利用して避難することも重要でしょう。

ハード対策を行っても、自然の平衡点への到達速度を一時的に(人間活動としては有意な時間ですが)送らせているだけであり、それらが老朽化すれば次の世代に負の遺産だけでなく、ポテンシャルの増した自然の脅威を背負わせることになります。ハードに対して更なる手当てがなされないと、自然は既存の対策を乗り越え、平衡点に向かって一気に進みます。そこに人的、物的被害が出ると災害と呼ばれます。平衡状態を知ることが長期的に災害を避ける唯一の方法であると思います。
高校地学の履修者を増やし、災害につながる自然の理もその中で教育すれば、百年後には異なった景観・防災体制になるかもしれません。これは理想論で、なかなか難しいでしょうけれど。

今日は道路からしか見ることができませんでしたので、後日時間をとって再調査に行きましょう。

2011年9月17日土曜日

水衝部の崩壊箇所を3次元モデル化

道路から護岸の崩壊を見かけましたので、早速 PSE で 3Dモデルへ。


今年度の河川改修工事の終点だったのでしょう。
断面の小さな改修前河川の出口かつ水衝部にあたります。先日の台風12号の被害ですね。河床洗堀が先でしょうか?出来たてのようでしたがもったいない。

これ、検査が終わる前だとどうなっていたのでしょう?既済部分は支払われているものとして、残りは保険などがあるのでしょうか?それとも自腹?どうなんでしょうね。


モデル化に関しては、道路から9分間の撮影で140枚、使用枚数80枚です。自動で140枚は合成されませんでした。合成の甘い箇所も多々あります。上からの視点がないため、抜けも多くあります。
延長の長い対象の場合、ソフトの癖に合わせるため写真の取り方にはノウハウが要りそうです。といっても、1回手を動かせば分かる程度ですが。

2011年9月15日木曜日

BIM (ビルディング・インフォメーション・モデリング)

本日の建設通信新聞に「連載・インフラBIM/土木3D新時代(1)」という話題が掲載されています。

【中央復建コンサルタンツ/成功体験が大きな飛躍/3次元設計の実績3倍増】だそうです。

3次元になると一気に頭がついてこなくなります。
例えば、切羽観察で天端・側壁・鏡に分布する亀裂や岩級を展開図に示す場合、最初はほとんどの技術者が戸惑い、悩み、誤った絵を描きます。あるいは、展開図上は亀裂がつながっているものの、その絵と Strike, Dip が矛盾していることも多々あります。書いてもらった展開図をコピーして切りとり、立体にしてもらって初めて間違いに気付かれますが、だんだんと慣れてくると、非常に短時間にスケッチができるようになりますし、次の切羽の絵が予想できるようになります。予想できるようになると、観察時に間違いや亀裂セットの変化に早く気付くようになります。こうなると、見方、考え方が3次元になってきたと言えますし、技術者自身その利点に気付くようになります。

中央復建コンサルタンツさんも、このような技術者の産みの苦しみと言いますか、意識改革や育成には時間がかかったと思います。設計ですからソフトの使い方も覚えなくてはならず、すぐに結果がついてくるものでは無いでしょう。それを経営側が数年後のビジョンを見極め、組織的に技術者の育成・ハードの整備を辛抱しながら行った結果、実績が出だしたということだと思います。今後どうなるかはわかりませんが、個人的には経営陣の読み通り成功してほしいですね。

私の周りは、まだまだ2次元派の方が多いようです。今まで雑談してきた中で3次元測量設計の話題が出たのは、地方の測量の方と首都圏の道路設計技術者だけで限られていますね。技術者の意識もさることながら、これだけはハード・ソフトの整備なしでは進めませんので、経営側のビジョンが重要になります。

幸い、私の机だけにはハードもソフトもそろっています。
すぐBIMなど連携まではいきませんが、あとは私次第でしょうね。

2011年9月14日水曜日

PhotoScene Editor で崩壊地形をモデル化

台風12号ではニュースにならないようなミニ土石流も所々で発生しているようです。
それらが発生した渓流を歩いておりますと、多くの斜面で表層崩壊が見られます。

先日、その中から15m程度と、5m程度の2つの崩壊箇所を連続写真で撮っておきました。渓流沿いから引いたりアップにしたり。撮った枚数は前者が70枚、後者が40枚程度です。
目的は Photo Scene Editor で作られるモデルを確認するためです。
PSEの詳細はこちら↓
http://phreeqc.blogspot.com/2011/08/autodesk-photo-scene-editor.html

連続写真ですので、ただモデル化したい対象を撮っておけばよいだけです。あとでタイムスタンプを見てみると、70枚でも7分でした。

さて、サーバーに写真を送って10~30分程度待つと、メールが届きます。計算の中身は相変わらず分かりませんが、早いですよね。

肝心の結果は・・・予想以上!

驚きました。植林地ですので、手前の木が邪魔をして、まともにモデル化できないかと思っていましたが、逆に手前の木は情報が少なくなるためモデル化されていません。崩壊地に枯れ木の幹が立っているような絵になっています(*捉え方によっては民地の負の情報であるため、UPしません)。

HD解像度で出力し27インチで見ていましたが、ゲームCG以上の異空間が出来上がっています。テクスチャーがCGではなく写真なので、メッシュ精度の割には臨場感あふれて見えるのでしょうね。面白い!何度も見てしまいます。
当然、3Dモデルですから、CADに取り込んで任意の断面も切れます。当初の目的には十分対応できそうです。

ただ、限界も見えてきました。
写真を使用しているので、あまり大きな崩壊地は難しそうですね。いえ、技術的には可能なのですが、山を登りながら連続写真を撮らないといけませんので、踏査のついでに、といったことはできそうにありません。面倒です。20m程度の崩壊が限界といったところでしょうか?

2011年9月13日火曜日

冷静な対応

和歌山・奈良近辺の災害対応のプロ?が斜面災害対応に追われている中、私は河川災害をお手伝いしたり、坦々と通常業務をこなしております。今回の台風12号は色々な個所に爪痕を残しています。

「非常に限られた時間の中、なんとか結果を出した。」「困難な地質を様々な対策を施し、ぎりぎりの状態で克服した」と言った表現、基本、避けたいと思っています。尊敬する先輩が言われていましたが、このような技術力のなさをアピールしているような文言は恥ずかしいと。「非常に限られた時間でも、必要な結果を出せる管理力・技術力がある。」「困難な地質でも、有する高度な技術で容易に乗り越えた」と言うのが良いそうです。
災害対応で大騒ぎする技術者もいれば、冷静に対応される技術者もいらっしゃいます。どちらのスタンスが良いかと言うと、やはり後者でしょうね。先輩の言われた本質は、そういう気の持ちようのことなのだと思います。

災害対応のように一ヶ月しか時間がない中ギリギリで・・・という仕事での、クリアした時の団結感は良いと思います。しかし、団結の中だけしか見えないと、その団結は周りに受け入れられません。災害対応を指揮する技術者には経験・管理力・技術力とともに冷静な対応が必要なのでしょう。

ガウス点

昨日の続きです。

ガウス点でBマトリクスを計算しているので、(得られた変位uからBマトリクスを使って得られる)ひずみεはガウス点で算出されます。応力σもガウス点で求められます。詳しい解説はありませんが、計算を追っていけば、理解できるように記載されています。

そういえば、「実戦 有限要素法シミュレーション」森北出版でも、注意点として書かれていますね。節点で表されている応力、ひずみは、積分点の値を外挿した平均値であり、精度が落ちるとのこと。
そういえば、流速も節点ではなかったと思います。確認しておきましょう。

まだまだ注意点はあります。「いまさら聞けない計算力学の常識」丸善株式会社には注意点ばかり集められています。以前、樫山先生にかいつまんで教えていただきましたが、それ以外はとてもじゃないですが、頭に叩き込んでチェックすることはできません。
やはりプロにお任せするしかないですね。

2011年9月11日日曜日

FEMの流れ

地盤工学会「はじめて学ぶ有限要素法」を購入したのは、確か7、8年前でした。
3冊セットで購入しましたが、その当時は1巻の半分くらいしか理解できなかったように思います。

昨晩と今朝で1巻を読み返しましたが、今ではほぼ理解できていますね。確かに、初心者向けの教科書です。しかも、重要な点は押さえられています。
頭が悪いと、いろんな本を繰り返し読んで理解を深めていくしかありません。時間はかかりますが、着実に前に進みます。

FEMの流れは以下の通り。

  1. 変形の場合は力のつり合い式が出発点。
  2. 重み付き残差法で、近似式に変換
  3. ガウス・グリーンの定理を使って弱形式に変換
  4. ガラーキン近似を使用し仮想仕事式に変換
  5. アイソパラメトリック要素などを適用し、B、D、Kマトリクスを作成。これらを使って仮想仕事式を変換
  6. 座標変換やガウス積分を適用し、連立一次方程式が完成
  7. 境界条件を代入し、解く

長い。しかも、いろんな数学のテクニックが使われています。
浸透流の場合も、出発のPDEが異なるだけで、同じ流れですね。だからCOMSOLのような汎用の数値解析ソフトが出てくるのでしょう。

他にも基本的かつ重要なことが示されていますが、続きはまた明日。

2011年9月10日土曜日

地質屋の英語

matrixの発音、メイトレックスやメイトリックスに聞こえます。

日本語だと、マトリックスとかマトリクスと言いますが。

この手の例はよくありますね。
カルサイト、ガブロ、ホルンブレンドなど、地質屋さんはよく使いますが、あれって海外で通じるのでしょうか?

以前、どこかのスレで、設計者が「Ac層のcはどういう意味ですか?」と質問されていました。
ある地質屋さんが、「clay の c に決まっている!常識だ!」と逆切れ気味に返答されていました。私は「clay の c と決まっているわけではなく、silt も入れた cohesive soil の場合も多いですよ。」といったようなフォローをしたと思います。「clay の c が常識」と思いこんでいる地質屋がいたことに強烈なインパクトがあったので今だに覚えていますね。

最近、設計屋さん2人から同じようなことを聞かれました。
どこかの地質屋さんが書いた断面図を見て、「Acsは粘性土なの?砂なの?」
これ、正直迷います。基本は柱状図や判例を見ればわかるのですが、他社が実施した予備設計図面には載っていない場合があります。
通常は alluvial clayey sand なので砂ですが、上のような例もあるので、その地質屋さんの考えは分かりません。実際、逆を書かれている方もいらっしゃいます。基本は確認です。

会社でも今年度から TOEIC の受験が義務付けられましたが、私のようなカタカナに慣れた地質屋さんが英語圏に進出するのは甘くないでしょうね。

2011年9月7日水曜日

濁水の地下水への影響調査

濁水の影響調査の報告が公開されています。全地連ですね。
http://www.web-gis.jp/e-Forum/2011/029.PDF

内容が理論的でないため、発表された意図は分かりません。地下水の濁度の問題で室内試験から試験施工まで行った例はレアなので、そちらのアピールということでしょうか。

河床掘削や浚渫などの濁水影響評価は計算方法が基準書にも載っていますが、地下水への影響評価手法は載っていません。基本的には移流分散で遅延と減衰(濁水の場合はフィルター効果)を加味して解くのがセオリーです。1次元である必要はなく、また理論解を結果に合うように補正する必要もありません。この報告では答えが合わず苦労されたのだと思います。研究者ならOUTですが。

理論解が使えないのであれば、実務的にはここまで捻らない方が良いと思います。カラム試験の結果より、発生源から4.6m離れると濃度は1/1000になるということで、発生原単位(濁度)を現地で確認するといったような方針の方が簡単ですね。

こういった問題が懸念される場合には、室内試験、現地試験を行って、調査報告書をまとめる必要があります。理論を知らないと調査計画も立てられません。つい先日も現場試験まで提案しましたが、全部やりきると非常に大きな金額になります。

それに対し責任が取れるよう、日々の研鑚が重要ということなのでしょう。

2011年9月5日月曜日

Dtransu の濃度設定

G-TRAN/3D for Dtransu を使用している方から、話がありました。
「前施工ステップの解析結果を初期値とし、次ステップの解析を行うと、なぜか計算初期の濃度が異常に低くなる。」といった内容です。

これ、有効桁数の問題でしょう。以前から、気にしていました。

G-TRAN で初期の濃度を設定すると、NODES ラベルの CNC 項目に値が入力されます。そこでは8カラム使えますので、小数表示であれば±0.00001のように小数点以下5桁まで反映できます(マイナスのカラムは本来不要ですが、G-TRAN では1カラム分取っているようです)。しかし、初期濃度がそれ以下、例えば1×10^-6ではどうなるでしょう?
G-TRAN は濃度0で吐き出します。そのため、施工ステップ毎に解析ファイルを作っていくと、そこで不連続な濃度分布ができてしまいます。

では、薄い濃度を扱えないのか?というと、そうではありません。Dtransu 付属の mkcinit.f を使用し、指数表示のテキストにすれば良いのです。それをG-TRANから他ソルバー出力で吐き出した input ファイルにコピペすれば終わりです(ただし、こちらも完璧ではありません)。

計算には input, output ファイルの桁数以外にも、濃度やソルバー自体の収束判定値が関係しますので、バランスを考える必要があります。特に濃いものから薄いものまで、幅広い濃度分布を有するモデルを扱う場合には、留意すべき点でしょう。

2011年9月4日日曜日

pointless argument

先週末、全支店の地質をコアとする技術者との討論会・技術交流会がありました。
初めてお会いした方も数人いらっしゃいますし、数年ぶりに会う方もいらっしゃいました。

私は技術的な議論と懇親会以外は参加しませんでしたが、他の議論も活発であったようです。良いことです。少なくとも、熱く思いを論じあう場があり、人がまだいることは良いことだと思います。

ただ、残念なことは、議論と呼ばれるものの中には往々にして権力に比例した結論に陥るものがあります。pointless argument です。特に経営方針が絡むと、若い側の意見(主に批判、方針転換)は通じません。当然だと思いますし、今後のビジョンなく議論をさせる側も問題だと思います。若い方々の情熱を踏みにじり、そして人材流出へとつながる結果を招きます。たいていの場合、どこへ行っても同じことだと思いますが。

もう少し年をとると、pointless argument にはできるだけ参加しないといった態度(私が今この段階)になり、さらに賢くなると、pointless argument でも方針から外れないそこそこのきれいな答えを出せるようになります。害のないきれいな答えを出せるのが日本のサラリーマンを続けていくコツなのかもしれません。

もし、変えたいと思うなら、10~20年後に権力を手に入れてから、次の世代のために働けば良いと思います。

技術者とは別の話です。どこまで賢くなれるでしょうか。

スマートフォンによる3次元可視化のニーズ

iOSをあげたので、古い3Gでもipmファイルが動くかどうか試してみました。


Autodesk WSで重たいdwgは見ることができないため、どうかなと思いつつ、Autodesk IPM Viewerをインストール。PC側でAutodesk Photo Scene Editor から ipmファイルを書き出し、メールでiPhoneへ送付。

動きましたね。5MB程度のモデルでしたが、大丈夫でした。サクサクとはいきませんが、それなりにモデルを回転させることができます。画像もとてもきれい。指で動かすので、直観的で良いですね。

地すべり学会でiPad2による3次元可視化を展示された方のブログを読みました。結果は思わしくなかったようです。展示内容はわかりませんが、地すべり地形やすべり面などの3次元データを、iPadで見たいというニーズが少なかったのかも知れません。

ただ、文化財や立ち入り禁止の坑道、景勝地などを3次元データで残しておきたいというお客様はいらっしゃいます。お客様が管理されている観光地などで、安全管理上立ち入り禁止にせざるを得ない場所などもあると思います。観光客の方が出発前や現地で3次元モデルをタブレット、スマートフォンに自由にDLできるようにしておけば、喜ばれるのではないでしょうか?そういった文化財の公開方法や観光ビジネスモデルの一部の御提案までお手伝いできれば良いなあと思います。
地すべり学会で展示された方も、そういった隠れたニーズのある場所で発表すれば、結果は変わっていたのでしょう。

どのような御要望が来た場合でも、最適な御提案ができるように、ツールは多く知っておく必要がありますね。




2011年9月3日土曜日

iOS 4.2.1


今日は久しぶりに時間ができたので、気になっていたiOS(iPhone)のアップデートを行うことにしました。

私の使用モデルは古い3Gで、以前、4.0にアップデートした際に絶望感を味わい、3.1.3へダウングレードしていました。最近、iOS4以上でないと動かないソフトが多くなってきたので買い換えようかと思っていたところでしたが、今朝、softbankからのアップデート催促メールが来たことにより、よし、やろう!と思い立ったわけです。(まさかこのようなメールが来るとは・・・このメールで起こされました。)

これ、時間がかかるんですよね。1回でまともに更新できたことがありません。
原因はいろいろあると思いますが、それを突き詰めると時間がなくなりますので、とりあえずサブPCのiTunesでDFUモード認識後、firewallとネット接続を切り、3.1.3へ復元。最後のエラー1015は無視しRecBootでリカバリーモード脱出、メインPCのiTunesでアクティベーション、再度サブPCで4.2.1へ復元、メインPCでアクティベーション、過去のバックアップから同期といった作業です。
かれこれ6時間かかりました。いろいろと不都合も生じますが、今日はこれ以上作業する気になれませんので、とりあえずここまで。当分はノーマルの限界を見てみましょう。数カ月後にはiPhone5への買い換えか、Android、Win携帯への乗り換えを検討すると思いますが。

こういったツールの良さを使っていない人に対して説明するのは難しいですね。
昔、メール、ウェブ、EXCEL、CADなどを使っていないオジサマたちに、その良さを理解させ導入してもらうのが難しかったように、今、スマートフォンやタブレットの良さを説明し、導入するのは同じように難しい。ただ、一般的な流れをみると、おしゃれ、流行というテクノロジー以外の要素も加え、爆発的に普及しています(商売上手)。会社の携帯全てがスマートフォンに切り替わるのは案外早いかもしれません。

ま、気付かない人たちに、無理に勧める必要もないのでしょうけど。

2011年9月1日木曜日

FLAC3D でひずみ軟化


FLAC3D のマニュアル中の Example Applications を眺めていました。

BASICと同様、モデル作成からプロパティ―の設定、境界条件の設定まで全て命令文で実行する形になります。英単語の頭がコマンドとなっているようで、何をどのようにしているかは何となく読めます。が、自分で作成できるようになるまでは程遠いですね。コマンド多すぎ。最初は似たようなモデルのパーツを寄せ集めて、数字を変えて動かしていくといった手法でしょうか?それでも最初はまともに動かないでしょうね。

 Example Applications の2番目に、ひずみ軟化のプロパティ―の与え方が載っていました。塑性ひずみが2%を超えたらφを5度低下させ、cは0とする設定です。

prop bulk 14.1e9 she 8.87e9 fric 35 coh 4e6 ten 5e5 ftab 1 ctab 2
table 1 0 35 0.01 32 0.02 30 .5 30
table 2 0 4e6 0.01 0.5e6 0.02 0 .5 0

簡単ですね。
ヘルプを見たら、他のパラメーターも変化させることが可能でした(多すぎて使えませんが)。


多様な問題に柔軟に対応することの可能な点がソフトの売りでしょうし、それを使いこなせるプロのスキルが商品となっているのでしょう。


The Verification Problems of FLAC3D

FLAC3Dのマニュアルを読み始めました。
ソフトの特徴がわかりやすいのは、やはり実際の問題を解いている章ですね。

Verification Problems の章では、理論との検証を行っています。まず引き止められたのが、最初の検証 Cylindrical Hole in an Infinite Mohr-Coulomb Material です。マニュには以下のような概要が記載されています。
Stresses and displacements are determined numerically for the case of a cylindrical hole in an infinite elasto-plastic material subjected to in-situ stresses. The material is assumed to be linearly elastic, perfectly plastic, with a failure surface defined by the Mohr-Coulomb criterion, and both associated (dilatancy = friction angle) and non-associated (dilatancy = 0) flow rules are used. The results of the simulation are compared with an analytic solution.
これ、理論解があったんですね。知りませんでした。
孔内水平載荷試験(岩盤)では弾性域で厚肉円筒理論が使われていますが、ここで紹介されている式は塑性領域まで含まれており、導出が異なっているようです。単純な問題ですが、手法が複数あるというのは面白いですね。

また、ここでは理論解との検証が目的で計算を行っています。結果は、当然理論解と近い値を示していますが、関連・非関連流れ則で応力-ひずみ曲線が異なっているようです(グラフしか載っていませんので、正確な値は不明)。以前書いたように、孔内水平載荷試験結果を再現し、ψを同定するというのも、目的は異なりますが同じ手法で良いでしょうし、FLAC3Dで可能ということでしょう。

ただ、理論解があるなら、ψの同定はそれで十分ですね。
文献、取り寄せてみましょう・・・と思いきや、仏語。
どうしましょう。
ま、数式を追いかけるのがメインなので、なんとかなるでしょう。