2011年3月23日水曜日

断裂系の形成順序

ためていた文献の整理中、以下の報告に目が留まりました。
横山ほか「西南日本内帯の後期白亜紀花崗岩の系統的断裂系・風化帯構造と斜面変動」
断裂系の形成順を応力場の変遷とともに考察されています。古い広大の研究報告から発展したような内容でした。

私は数年間、地下深部の領家帯結晶質岩の観察をしていたことがあります。目的は変形解析のための亀裂構造・連続性の把握と、浸透流解析のための水理地質構造(湧水亀裂の成因と構造)の把握でした。(結局は十分な結果は出せませんでしたが。)
この調査の一つとして亀裂形成順の検討が必要だったのですが、出てきた結論はこの報告と一致するところが多くあります。異なる点もありますが、それは機会があれば述べましょう。

この論文を読んで感じたことは、以下の通りです。
①地表付近、風化花崗岩の露頭がメインでよくこれだけの結果が導きだせたと感心しました。私達のように新鮮岩ばかりの恵まれた環境ではないのに同じような答えを出せるのは、さすが研究者。
②我々はある問題を解決すると報酬に結びつくため、このような調査を行いますが、研究者は問題を解決するわけではないので報酬がありません。利用法があるのにもったいないことです。

理学系の存続が厳しいといわれつつも、こういった研究成果が出てくるのは喜ばしいことです。

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