2012年7月14日土曜日

梅雨と災害

今年の梅雨は適度に法面を壊していったなあと思っていたのが先週だったでしょうか。

しかし、先週末の雨により表層崩壊が多発。
それでも昨年のような大きな地すべり災はありませんでした。
 河川周辺も影響は少なく、農地の再生も簡単そうでした。こうやって氾濫を繰り返し、肥沃な土地ができるなどと考えていました。

そして梅雨も末期になり、その数が増えて行っています。 「肥沃な土地が・・・」などと考える余裕はなくなりました。

今日も強い雨。これでは、すべりがなかなか止まりません。
いまでこそ自動観測機種が多く販売されていますので、警報メールを自動で即時、多人数に出せますし、多くの現場の状況も一度に把握することが可能です。安全管理には有効な手段です。昔は一人一現場張り付きか、毎日データ回収をして判断していたのでしょうね。
ポール横断の写真も慣習で残っていますが、レーザー距離計を使えばすぐに横断が作成できます。現場へ行って、数分で座標を取り、携帯で事務所へ連絡、帰社すると応急対策工の絵が出来上がっている、なんてことも当たり前になってきました。

現場に行く時間を他現場にあてがえられるようになり便利になったのか、それとも多現場を同時並行で抱えなくてはならなくなり忙しくなったのかは、分かりません。昔の人に聞いてみましょう。



2012年7月11日水曜日

流向流速測定

流向流速を測定する機会がありました。

ボーリング孔内にカメラを入れ、粒子を追いかけるタイプの機械があったのですが、随分前に壊れていました。今回はヒーター付きのゾンデをレンタルしました。

測定自体は無事終わったのですが、 結果をチェックするにあたり、色々と分からない事が出てきました。
特に流速。孔内流速を測定しているわけですが、それをダルシー流速や実流速に変換する係数が分かりません。レンタル会社よりメーカーに問い合わせていただきましたが、係数はなく変換できないとのこと。まあ、仕方ありません。
次に流速の算出法について問い合わせたのですが、これも良く分からないとのこと。ブラックボックスだそうです。文献を送付いただいたので、そこに書いてある通りに流速を算出してみましたが、まったく合いません。仕方ないので、どのパラメーターと相関が高いかひとつづつチェックする事にしました。結果、振幅でした(相関係数Rの二乗が0.999でしたので間違いないでしょう。)。熱の移流拡散を流れにのせて解いているのかと思いましたが、案外簡易な算出法なんですね。まあ、方程式を解いていれば変換係数も出ているでしょうけど。

所詮は孔内流速なので、流向以外は気にされないのでしょうね。

2012年7月8日日曜日

重金属の挙動

重金属の挙動に関する水-反応連成計算の事例を読んでいました。

重金属を含む地盤に雨が浸透した場合の、非定常・30年間の計算でした。境界条件(浸透・移流分散)と反応のモデルコンセプトがきちんと記載されており、計算による検証の信頼性は高いと思います。

この中で、一時期、地表部の重金属濃度の増えている結果が示されていました。一瞬、?でしたが、理解できました。蒸発です。上昇流が発生し、増えていたのです。納得。地表近を扱う場合は、こういったことまで考慮しておかないといけないのでしょう。土壌の分野は表層数十cmを相手にするため、より細かいオーダーの調査がいるのでしょうね。

こういった水-反応連成の文献は海外で多く出ていますが、日本ではほとんどありません。地層処分分野のみでしょうか? (海外では反応による porosity の変化まで扱うものも出ているんですけどね。)
たまに一般土木分野での適用例も見ますが、工学屋さんがやっているのか、反応部分のモデルコンセプトがほとんど述べられておらず、信頼性の乏しいものが多いように思います。扱う元素やその濃度だけ表示されていても、それがどういう形態で土に含まれ、どういう形態で地下水に取り込まれていくか、あるいは沈殿していくかを記載しなければなりません。計算はあくまで自分の考え(モデルコンセプト)を検証するツールに過ぎないのです。

やはり、地質屋さんがリードしないといけない分野のでしょう。

2012年7月7日土曜日

Decalcification

CEMDATA を PHREEQC で使用してみました。

選んだ問題はDecalcification。Benchmarking of the cement model and detrimental chemical reactions including temperature dependent parameters より、セメントからの溶解プロセスを再現することにしました。

1000回シフトさせるadvectionでモデルを組み、計算!
が、結果は合いません。何度チェックしても input に問題ないのですが、ダメでした。
本家の GEM-Selektor で試せば手がかりを得られるか?と思い、そちらでも試算してみました。が、結果は合いません(こちらは水和反応も合いません)。

結局、1週間かかりましたが答えは出ませんでした。下図のように、大まかには合っているんですけど、ちょっと違います。鉱物の消失と pH buffer の関係は良いですけどね。


 
まあ、CEMDATA では kinetic の見通しがついていませんので、もう一つの方法、PHREEQC の標準 DB を利用した論文の到着を待ちましょう。

2012年7月6日金曜日

掘削前の地すべり形状

カーブした切土法面の、吹付け前の写真を頂きました。

見事に円弧上のすべり面が形成されています。幅は100mを超えているでしょうか。

それらの位置を5か所選んで断面上にプロットし、GEORAMA で形状推定。結果、見事に掘削前の道路際に抜けました。冠頭部のすべり面勾配をややきつくすると、尾根手前の古い滑落崖につながりますし、全体的にも古い地形図より推定していた地すべりブロックにハマります。古いボーリングや物理探査結果にも調和的です。裏が取れたと言えるでしょう。ただ、想像より緩勾配で見た目より直線的(そりゃ、そうです。カーブした法面に傾斜した平面が交わると、交線が円弧上になります)。そのため層厚も想像よりかなり薄い。層理面の方向をBTVでチェックしておく必要がありそうです。

5点で推定できたのはラッキーですし、PCが 無理のない結果を出してくれたのは見事だと思います。法面がカーブしていましたので、ソースの位置情報を効率よく利用できたのでしょう。
掘削後に以前の現地確認はできませんので、こういった使い方は効果的だと思います。今日は皆で感心していました。

雨、崩壊、施工者

ここ最近、雨が良く降ります。土砂崩れも多くなってます。

先日は掘削中の現場にて、すべるかどうかの議論。
地盤自体は問題なかったので、法勾配の変更はありませんでした。施工屋さんはどうしても変えたかったようで、暗くなるまで引きとめられました。
「ただ、大きなすべりは無くても、表流水が掘削面に流れ込んだり、乾燥させると表面は崩れて行きます。掘削後はブルーシートなどで養生してください」とお願いしておきました。施工屋さんからは「それは当然」とのお返事。
が、数日過ぎて見てみますと、ほったらかしでした。気にするところが違います。崩れるまで放置でしょうか?

もう一つは岩盤の切土法面。
最初は表層崩壊かと思いきや、背後に滑落崖が連続。すぐに、間詰め、ブルーシート、丁張りをお願いしておきました。
当日にはお願いしておいたことは全て実施され、2日後には大型土のうの設置まで終わっていました。 迅速。しかも、丁寧。

すべり、崩壊、雨、養生などに対する考え方も、施工者によって随分と変わってくるようです。そういう意味では人災もあるのでしょうね。

2012年7月1日日曜日

C-S-H gel models

C-S-H gel のsolubility model について整理していました。

文献は多く集めていたのですが、系統立てて把握しておりませんでしたので、誰が、いつ頃、どのモデルを、どのコードで計算したかを整理しました。

モデルが世に出始めたのは1990年代 後半です。
日本では地層処分分野で、2000年頃より研究結果が出ています。核燃料サイクル開発機構、電力中央研究所、太平洋セメント、日本原燃等より発表されていますが、基本的には熱力学データベースの整備と、どのようにすれば計算にモデルを取り込めるか、実験結果を再現できるか?といった所に注力されていたようです。使用コードは PHREEQC がメインです。
一段落ついたのは、2005年の電気事業連合会・核燃料サイクル開発機構「TRU廃棄物処分技術検討書-第2次TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ-」のように見えます。Atkinsonモデル、Berner モデル、杉山モデル を PHREEQC、RAIDEN3 で計算し差違が顕著でない事を確認しています。
http://www.jaea.go.jp/04/be/docu/tru/TOP.htm


その後、2007年ごろまでは、その流れで杉山モデルでの発表が出ていますが、2009年に The Belgian Nuclear Research Centre SCK • CEN の D. Jacques. (HP1の作者)が Benchmarking of the cement model and detrimental chemical reactions including temperature dependent parameters という資料を公表してからは、EMPA の CEMDATA の利用が目立ちます。PHREEQC に取り込める事が分かったからでしょうか? 2010年の日本原子力研究開発機「平成21年度 地層処分技術調査等委託費 高レベル放射性廃棄物処分関連 地下坑道施工技術高度化開発報告書」でも CEMDATA の中のデータを利用(JNC-TDB.TRUを拡充)しています。

また、使用されているコードはPHREEQCはもちろん、移流分散との連成が目立つようになりました。


さらに、Webでは過去の20モデルのほとんどを PHREEQC でモデル化できるといった趣旨の資料も見られます。数年前は計算上のコンクリートの取り扱いに悩んでいましたが、もうその必要はなさそうです。