DOI: 10.1007/s10654-019-00494-6
URL: https://doi.org/10.1007/s10654-019-00494-6
書誌: VanderWeele, T. J. (2019). Principles of confounder selection. European Journal of Epidemiology, 34(3), 211–219.
AI要約
【背景】
- 観察研究の因果推論では、調整すべき共変量集合の選択が決定的である。Pearlのバックドア基準は、全共変量間の因果構造(完全なDAG)の知識を要する。この知識は、実際には得られないことが多い。
- 実務でよく使われる「処置前の全変数を調整する」基準は、コライダー調整によるM-biasを招きうる。「曝露と結果の共通原因のみを調整する」基準は、本来バイアスを消せる変数の調整漏れを招きうる。
- 統計的な変数選択(10%変化基準、前進/後退選択など)は、交絡因子と媒介因子を区別できない。実質的知識の代替にはならない。
【手法】
各共変量について「曝露の原因か」「アウトカムの原因か」だけが分かると想定する。この完全なDAGより弱い知識の下で、実用的な交絡選択基準を提案する。まず、反実仮想の記法で交絡制御の条件(Ya⊥A|C)を定義する。次に、2つの通説的基準の失敗例をDAGで示す。処置前基準の下では、コライダーである処置前変数Lの調整がバックドアパスを開く(M-bias)。共通原因基準は、未測定共通原因の代理変数Cの調整を見落とす。そのうえで、disjunctive cause criterion(曝露またはアウトカムの原因である共変量をすべて調整する基準)を導入する。理論的根拠は次の性質である(VanderWeele & Shpitser 2011)。測定共変量のいずれかの部分集合で交絡制御が可能なら、この基準で選んだ集合でも必ず制御が可能になる。さらに、実用上の2つの修正を加える。第一に、操作変数と分かっている変数を除外する。除外の目的は、未測定交絡下でのバイアス増幅(Z-bias)の回避である。第二に、未測定共通原因の代理(proxy)変数を追加する。加えて、共変量の測定タイミングの問題を論じる。BMIと運動の例では、同時測定は交絡と媒介を区別できない。処置より前の時点の測定値の調整が望ましい。最後に、統計的選択法(前進/後退選択、change-in-estimate、高次元傾向スコアHDPS、TMLE等の機械学習)を体系的に評価する。評価の観点は、交絡制御の妥当性・選択後推論・非崩壊性である。
【結果】
- 「修正disjunctive cause criterion」を定式化した。すなわち、曝露またはアウトカム(または双方)の原因である共変量をすべて調整する。既知の操作変数は除外する。未測定共通原因の代理変数は追加する。
- disjunctive cause criterionは次の性質を持つ。測定共変量のどこかに交絡制御に十分な部分集合が存在すれば、この基準の選択集合も必ず十分になる。処置前基準と共通原因基準は、この性質を持たない。
- 操作変数の調整は、未測定交絡の下でバイアスをむしろ増幅しうる(Z-bias)。このため、判明している操作変数は調整から除外すべきと整理した。
- change-in-estimate基準は、オッズ比・ハザード比の非崩壊性の下で不適切である。また、データ駆動の変数選択後にそのまま当てはめた信頼区間は無効になる。
- 統計的選択を使う場合も、初期共変量集合そのものが交絡制御に十分であることが前提になる。したがって、実質的知識は省略できないと結論した。
【考察】
- ・完全なDAGの知識なしでも、理論的裏付けのある調整集合を設計できる。ただし、各共変量が曝露/アウトカムの原因か否かという実質的知識は依然として必要である。
- ・TMLE等の原理的な機械学習ベースの選択は有望とされる。ただし、小標本での性能は未解明とされる。
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