微動計を用いた衝撃の測定に呼ばれました。
今まで他の方が頑張っていました。が、得られたデータがイマイチだったということが判明。で、地盤を対象に微動計を使っていた私も御一緒することに。
どうも、微動計に備わっていたフィルタの周波数特性をうまく活用できていなかったのが一因のようでした。
その選定から見直そうとしたのですが、私も応用が利くほど詳しくありません。調べていくうちにわからない用語が出てきました。標準モード、群遅延特性、デシメーション。
使うツールの詳細を理解していないと、正しい調査ができないのは共通。いままでプロの指導でうまくいっていただけのことであり、場を変えると途端にダメになるのは同じ。
ちょうど週末で時間があり、この機会に理解することにしました。
用語自体は信号処理分野で広く使われているようです。いくつかの図書を見ましたが、基礎中の基礎といった感じでした。
わかりやすかったのが図書よりも以下のサイト。確かに、音響ととらえると理解しやすい(ホールの設計者はこのようなことまで考えていらっしゃるのですね!)。
以下、解釈した内容を( ..)φメモメモ。
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ヤマハサウンドシステム
短期集中連載 超解説FIR!第1回~第3回
https://www.yamaha-ss.co.jp/published-articles/journals-04.html
1.用語
1-1.周波数特性・位相特性・群遅延特性
入力したインパルス信号の応答を周波数領域で見る(フーリエ変換)と各周波数のエネルギー応答がわかる。これが周波数特性。
各周波数が時間的にどのくらい遅れて到達しているかを見たものが位相特性。
位相を周波数で微分したものが群遅延特性。
周波数とその位相の変化量(遅れ)が比例していれば群遅延は一定(直線位相特性)。
ex.
1Hz→1波長(2π、1秒)
2Hz→2波長(4π、1秒)
3Hz→3波長(6π、1秒)
1-2.インパルス応答、伝達関数
システム(ブラックボックス)にインパルスを入力した時に出力された信号がインパルス応答。
インパルスは全周波数で同じエネルギー量持っているため、インパルス応答を見ただけでブラックボックスの特性=伝達関数が分かる。
インパルス応答を周波数の観点で見ると周波数特性が分かり、周波数ごとの到達時間を調べれば位相特性が分かる。
インパルス応答、伝達関数、周波数特性、位相特性等は、データの見方を変えただけ。
2.特性を作る(リバーブエフェクトなど)
2-1.FIR フィルタ
FIR の Tap にある乗算器の係数はフィルターのインパルス応答そのもの。
係数操作でインパルス応答を人工的に加工することが可能。IIR のように最小位相として位相が変化するインパルス応答などを作ることも可能。
目的とする周波数カーブを描いてそれを逆フーリエ変換すれば、カーブのインパルス応答が得られる。
そのインパルス応答を乗算器の係数に入れることで目的の周波数カーブのフィルターを作ることができる。
FIR フィルタは入力信号(サンプルデータ)とインパルス応答波形の2つを畳み込んで新たなデータを作り出す。つまり「畳み込みをするための演算器」。
2-2.FFT と窓関数
入力信号も IR も共に FFT して周波数領域のデータに変換。
畳み込み積分は周波数領域に変換すると単純な掛け算として非常に高速の計算が可能。
その結果を逆フーリエ変換(IFFT)して元の時間領域のデータに戻す。
ただし、FFT を行なうため処理するデータを切り出す際にサイドローブ(雑音)が発生。
窓関数でサイドローブの軽減処理をしているが、軽減しようとすると反対に周波数分解能が悪くなるという二律背反の関係がある。
周波数分解能: 〇 △ ×
サイドローブ軽減: × △ 〇
窓関数: ハミング ハニング ブラックマン
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インパルスにδ関数が使われているのは当然なのに新鮮。つながりますね。
次は、これらの処理順序について。
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