今年度は、アンカーに問題の生じた斜面にいくつか遭遇しました。
切断されたモノを見たのが2か所、写真や話だけで済んだのが2か所。
4か所中3か所は、点検を始めて見つかった現場でした。また、同じく4か所中3か所は施工中に問題が生じていました(残り1か所は問題が生じてから施工に入っています)。旧タイプだけではありません。これからまだまだ出てくるでしょう。
人が山から土を切り取った分だけ、その背後を支えるのに必要な力をアンカーに分担させています。が、その力が年とともに軽くなることはないでしょう(逆はあり得ます)。人が無理を通そうとしても、山は道理をひっこめてくれません。アンカーが老朽化して機能を果たせなくなるまでじっと待っています。永遠に。
また、山の評価やすべり面の推定を誤っていた場合には、考えていたよりも大きな力の加わることにがあります。今年度遭遇した問題はこれでしょう。
また、「永久アンカー」は永久ではありません。数十年たてば老朽化して壊れるものと考えた方が良いでしょう。若いころは元気に山を支えますが、年を取ると支えられなくなります。メンテナンスをすればいくらか寿命は延びますが、いつかはダメになります。寿命が尽きる前に若いアンカーをもう一度打てば、そこからさらに数十年もちます。が、それも年を取ります。もう、次に打てる場所はないでしょう。
近年、メーカーがお考えの寿命100年だとすると、2回の打設で200年。既に1回目の打設から年月が経ち老朽化が始まっています。
残された時間で「永久アンカーは仮設」と言えるくらいの代替え案の開発が必要ということです。
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