主にSDは圧密促進、SCPは液状化対策や構造物基礎の支持力増加といった目的を持って採用されていると思うのですが、事例をみると混在しているようです。また、以前読んだ高速道路建設時の事例では、SDの沈下促進効果をほぼ否定されていました。
これらの本質について、残念ながら私は理解できていません。整理しておきましょう。
まずは、一般的な違い。この辺は多くの方が疑問に思わないところでしょう。
工法について。
http://www.umeshunkyo.or.jp/108/prom/236/page.html
護岸、岸壁、防波堤、構造物の基礎等、液状化現象対策、地盤沈下対策
砂質土:液状化防止、地盤沈下低減、せん断強度増加
粘性土:圧密促進、残留沈下の低減、せん断強度増加
http://ja.wikipedia.org/wiki/サンドコンパクションパイル工法
護岸・埋立地・盛土の沈下促進等
粘性土:圧密沈下促進、せん断強度増加
http://ja.wikipedia.org/wiki/サンドドレーン工法
→盛土による圧密効果(強度増加)よりも大きく、地盤変形を抑制できるSCP(p105)
バーチカルドレーンによる盛土安定管理のフロー(p107)
地盤工学会「地盤工学・実務シリーズ11 地盤改良効果の予測と実際」
ここから、あいまいな点です。
SDと低置換SCPの違いについて。
SDの砂杭も排土杭であり、サーチャージをかけなくても圧密した例がある。
境界はどこ?違いは砂杭の硬さ?
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003975531
阪神・淡路大震災ではSDで液状化に効果あり。
http://www.nikken.co.jp/ja/archives/pdf/0575-01.pdf
高速道路の事例
バーチカルドレーンは、ほとんどの場合、実測データから明確な沈下促進効果(残留沈下低減効果)を確認することができず、実際には強度増加促進効果を狙った安定対策工として用いられてきた。ただし、長期間の沈下追跡調査によって、SDによる沈下促進効果が確認される事例が出てきた。(p56)
「高速道路の軟弱地盤技術」鹿島出版会
やはり、何が工法の本質で、どのような地盤への適用が正解かよくわかりませんね。調査時に何に着目すれば良いのか絞れません。
余談ですが、上記の地盤工学会の図書に、面白い記載がありました。バーチカルドレーンの最終沈下量は一般的に以下の通りとなるようです。
mv法 ≦ e-logP法 < Cc法ただし、実測沈下量はそれぞれ0.8~1.6倍にばらつくので、圧密定数(特にPcやe0)をいかに適切に設定するかの方が重要(P61)
層厚によりますが、圧密試験は他の物理試験ほど数多く実施されることはありません。その割に、結果のばらつきが大きく、定数設定時に悩むことが多いと思います。数多く実施しても、ばらつきますので、結果的に平均的かつ安全側の値を決める事になると思います。その結果、0.8~1.6倍となるのでしょう。
SD、SCPが、液状化や強度増加に効果ありというのは感覚的にも理解できます。圧密も理解できますが、現場調査・室内試験から施工に至るまでの定量的な判断は、まだまだ難しいのでしょう。
こういった課題が残っているのは、面白いと思います。
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