2014年10月28日火曜日

DO測定

溶存酸素測定用に採水。

DOメーターがあったはずなのですが、見当たりません。2~3年前に買い換えたばかりなのですが、どこかに貸しているのでしょう。
今回はウィンクラー法で実施しました。超久しぶりです。

溶存酸素の固定は、以下の通りとされています。実際はもう少し複雑だと思われますが。

Mn2+ + 2OH- → Mn(OH)2↓(白色沈殿)
2Mn(OH)2 + 1/2O2 + H2O → 2Mn(OH)3↓(褐色沈殿)
Mn(OH)2 + 1/2O2 → MnO(OH)2↓ (褐色沈殿)

102ml瓶に、1液、2液を1mlづつ、海水であれば2mlづつだそうですが、オーバーしてもOK。
沈殿物の安定性については、4日程度ならOK、といった紹介もあります(ここでは、MnO2・2H2Oとされています)。
http://www.jesc.or.jp/environmentS/syoho/images/1-3.pdf

現場での固定作業では、溶存酸素が少ないと白色、多いと褐色になります。即時反応ですので、色の変化を見ているだけでも面白いですね。「なぜココの溶存酸素が少ないの?」などと疑問に思うこともあります。机上で結果をプロットするのとは、印象が違いますね。

この手法の流れを示されたのが19世紀末だそうです。見えないものを系統立てて発展させてきた無機化学者には脱帽です。

2014年10月26日日曜日

可視化ソフトの発達

地形+写真の可視化データをお客様に提示。

今回は見せるだけでしたので、C Tech 社の MVS で作成しました。高解像度の写真を地形メッシュに張り付けるだけなのですが、そのままでは不可。ソフトの仕様上、表示できる解像度に制限がありますし、大きすぎると Viewer で正しく表示されません。
写真の解像度を1/2~1/5程度にしてから取り込んでみると(それでもソフト的に解像度MAXかその次)、できたデータは70~100MB 程度と軽くなり、誤動作も少なくなりました。

プレゼン時、若干、動きが悪いかな?と思いましたが、お客様にとっては動きも、解像度的にも妥協していただける範囲のようでした。ま、一安心です。

その際、逆に見せられたのが他社さんの可視化結果。同じエリアだったのですが、私が持っていったモノより綺麗で動きも軽快。素晴らしい出来でした。話を聞けば、数千枚の写真を使用されたそうです。独自技術でしょうね。お客様にとって、私の作成したモデルでは妥協にしかならない分けです。

高解像度にすればするほど重くなるのは「当たり前」ではありません。アルゴリズムの改善でより軽く、より高解像度に扱うことは可能です(ソフト会社も大変苦労されていると思われます)。
他社さんは常に努力されています。私も特定のソフトにとどまらず、時代に応じたソフトを探し、表示の仕方を工夫する努力を続けなくてはいけないと、つくづく感じた1日でした。


2014年10月23日木曜日

GoPro HERO3+

USBケーブルが切れていましたので、HERO3+ だけを取り出しています。

以前より、車に載せて道路をモデル化できないか?と考えていましたので、試してみました。
0.5秒に1枚のタイムラプス。時速は60km。この条件でダッシュボード上に HERO3+ を設置し、高架区間の上下を走ってみました。

写真は案外細かく取れていました。条件は問題ないようです。前や横を走る車が気になりますね。通行の少ない時を選んだつもりですが、どの程度の影響が出るでしょうか?
早速、ReCap 360に放り投げました。

待つこと数十分。案外早いな?と思いつつ、出来上がったモデルを見ると、ボンネットだけがモデル化されていました。道路はナシ。そりゃ、そうですよね。やはり、車のグリルの前あたりに設置しないと、マズいようです。


もう一つ。
HERO3+ にはファインダーも液晶もついていません。
どのようにして視野を確認するのだろうと思っていましたが、調べたところ、アプリ経由でした。
Wi-Fi接続し、アプリを立ち上げると、FPV可能になります。シャッターもアプリからコントロールできそうですね。
通信できた距離は10mほどでしたが、これだけでも用途は広がります。ポールに付けて穴の中に突っ込むとか、水中撮影などに使えそうです(水中でもWi-Fi大丈夫なのでしょうか?)。

なかなか、多彩。使う側の能力が試されるようなカメラです。

2014年10月20日月曜日

gmf ファイルからの推定

MVS で geo ファイルから地層分布を推定・可視化するのは、最もスタンダードな手法だと思います。

ただ、この方法では地表面まで推定結果となり、LPデータや測量結果を使えません。地表面と地層がクロスしている場合などでは、不都合が生じます。

何か方法はないかとForumをのぞいてみると、ありました。

簡単なのは前者。ツールを使って geo ファイルを gmf に変換、その後、地表面の座標を測量結果などに入れ替えれば OK です。今まで、csv を gmf 経由で表示させていましたが、こういった使い方のためにツールがあるのですね。

早速、付属のサンプルデータ「7_layers_dipping.geo」を変換し、gmf で表示可能か試してみました。
まずは geo ファイルからの推定。


次に、変換した gmf ファイルからの推定。




両者とも似たような推定になるはずが、最下部の面だけ大きく異なっています。
ボーリングでの short (延長不足)の取り扱いが2者で異なるためのようです。geo では、上層の傾斜をそのままコピーしているようですね。gmf では無視です(変換時にshortの情報が消失します)。

どちらが良いかというと、前者でしょうね。short を含む下位2層程度は、geo ファイルの推定結果を Write_Coordinates で csv 書き出し、地形と一緒にgmfファイル入れ替えで対応した方がよさそうです。

なお、推定した結果を地層面毎に write_CAD で書き出せば 3D 面になります。先の csv や 3D 面を Civil3D で指定すれば TINサーフェス になり、GEORAMA で扱えます。繋がって行きますね。


2014年10月19日日曜日

iPhoneでVPN その2

朝からVPN経由で会社にアクセスし、作業していました。

が、途中で繋がらなくなりました。

電話してみると機器担当の方が出られて、「今日はネットワークの工事があるので終日アクセスできない」とのこと。そういえば、先日より工事関係者が出入りしていましたね。

夕方、工事が終わってアクセスしたのですが、なんと iPhone からも リモートデスクトップが動作するようになっていました。以前より、老朽化したサーバーを入れ替えると聞いていたのですが、ようやく実施されたようです。
http://phreeqc.blogspot.jp/2010/09/iphonevpn.html

ま、「4年間不自由だった」ではなく、「これから快適になる」と考えるべきなのでしょう。


2014年10月18日土曜日

観測孔の洗浄

観測孔の洗浄をしてきました。

普段は観測孔設置時にオペさんにお願いしているのですが、天候の都合で中止。後日、私が実施することになりました。久しぶりです。

最初はコンプレッサーで吹かして、即日採水しようかと思ったのですが、全機材を段取りできず中止。洗浄だけ先に実施することにしました。

まずは注水洗浄。
ホースを突っ込んで注水。が、吹かせません。透水性が高く、ほとんど水位が上がらず。せっかくVPのチーズまで用意していたのですが、出番なく終了。

仕方ないので、揚水洗浄に切り替え。
エンジンポンプのホースをつなぎ変えてイザ!
が、ホースの継ぎ目からエアーをかんで、揚水しません。シールテープをどこかに入れていたはずなのですが、見つかりません。準備不足です。

仕方ないので、小口径の水中ポンプに切り替え(ここまで使うとは思っていませんでした)。
すぐに濁水が上がってきました。割と早くきれいになりそうでしたが、10分ほどで揚水停止。バッテリー切れです。充電していたのですが、バッテリー自体がだめになっていたようです。予備バッテリーを準備していなかったので、車のバッテリーにつなげて再開。
2時間ほどできれいになりました。

結局、無駄にした時間は2時間弱。慣れないことはするものではない、イエ、慣れていないとダメなのですがです。サボりすぎですね。反省です。


2014年10月17日金曜日

UAV とルーチンワーク

今日は Phantom 2 を飛ばしてきました。

会社にある1台は墜落により修理中、2台目を他支店から取り寄せて飛ばしてみました。

「墜落したのはPhantomの暴走だ!落ちたんだ!(私は悪くない)」と墜落させた executive が言い張ったため、今回は保全物件からかなり離れた位置での撮影となりました。もっと対象に近づきたかったのですが、仕方ありません。


撮影は快適ですね。
今回は GoPro HERO3 でタイムラプス。7分ほどの飛行で400枚強の写真を撮影しました。
1台目は確かに不安定なところがあったのですが、2台目は全く問題なし(GPS環境のせいかもしれませんが)。キャリブレーション、通信は一発でしたし、離陸も着陸もスムーズです。風があっても問題なし。素人でも簡単に撮影できるのですが、着陸させるまでは、まだ緊張しますね。
唯一引っかかったのは、時々アプリが落ちた点。LightBridge がクサイのですが、原因は不明です。他の撮影者に確認しておきましょう。

帰社後、HERO3 から MicroSD を抜こうとして USBケーブルを外したら、ブチッ。ケーブルを切ってしまいました。カメラのマウントにつなぐ薄っぺらいケーブルで、普段は気を付けていたのですが、今回は撮った画像を早く見たいと焦っていたのでしょう。
すぐに通販でケーブルを注文しましたが、注文先の臨時休業もあり、1週間ほど FPV ができなくなりました。空撮仕事が入っていなかったのは幸いです。

気を取り直し、写真200枚程を UP し、ReCap 360 でモデル化。待つこと数時間で、きれいなモデルを仕上げてくれました。

UAV + FPV + SfM = 3Dモデルの完成。既にルーチンワークです。その利用法など、今後の展開が楽しみですね。


2014年10月15日水曜日

これからの ICT

今後のインフラの維持管理に関する講演を聞いてきました。
過去にも、似たような内容を聞いたことがありました。が、今回は衝撃的でした。

私の中期的目標が、「多くの現場で経験をつむ」です。が、あまり進んでいません。
施工時には理論より経験を重視しますし、幾多の情報より大事なものを抽出することが可能となります。その感覚は調査・設計でも重要です。

しかし、その経験がもっと足りなくなるのは、これから技術者になる若い方たちだと。新設より維持管理にシフトすると、作ったことがないのに、あるいは作った当時のデータがないまま維持管理を担当する技術者が増えるとのこと。ま、時代を考えるとわかることなのですが、言われるまで気づきませんでした。

ではどうするか?というと、ICT を活用し、重要な情報をそこから拾うタイプの人材を育成するそうです。経験は少なくても、熟練者と同じ着目点を示すことの可能な能力= ICT 利用技術 といったことのようでした。例えば、傾斜センサーを落石源1個毎に貼り付け、すべてを遠隔管理する、移動体を使った3次元計測の差分で変位を自動抽出する、堤体の打音検査を維持管理ロボットに実施させ面的な状況を把握する、などといった事が挙げられます。現段階で高価だと考えられているそのような ICT を、安く、平易に作り、使うことができる技術者を育成するとのこと。国からも大学へ要請があり、お金もついているそうですね。これからの学生たちは土木の基礎知識はもちろん、電気工事屋さんの様な知識も身に付ける必要があるようです(当然、受け入れる側も)。

ロボットが開発され、あるいはそれを作り、使うのが当たり前になってくると、発想を転換しないといけなくなるでしょうね。まさに温故知新。経験も重要ですが、新しい ICT を普通に使えることも重要です(新しいといっている段階で、古い技術者になっていますが)。
ま、受け入れる側として、心づもりはしておきましょう。

2014年10月14日火曜日

粒子法セミナー

先日、MPSを用いた粒子法ソフト 「Particleworks」のセミナーに参加してきました。
http://www.sbd.jp/product/netsu/particleworks.shtml

基本的にはメッシュを切る必要がない分、操作はFEMよりも容易です(理論もはるかに容易ですが)。落下・移動や混合の取り扱い可、剛体との連成可、ビジュアルも良い。土石流への適用事例もあり、すぐにでも導入したいところでした。

が、販売価格も超BIG。自動車や食品など、市場が大きく、力のある企業でないと手が出せない価格設定でした。これは無理です。

ま、同業他社も手が出せないなら、そのまま寝かせておきましょう。いずれ、火がつけば、executives も何とかしろというでしょうし。

2014年10月12日日曜日

ボーリングオペさんの意識

サイエンスチャンネルで、ボーリングオペさんの動画が公開されています。
http://sc-smn.jst.go.jp/D000502/detail/D020502056.html

公開は今年の1月です。が、見た瞬間、違和感。
川崎さんはこのようなコアが標準?などと思ってしまいました。
答えは簡単。制作が古いですね。2002年制作ですので、12年前です。ちょうど、穴あきビットが使われだした頃の動画なのでしょう。記録という点では、貴重です。
動画への違和感は、コア品質への要求が高くなり、道具が改善され、オペさんもそれに応えるよう努力し続けられた証拠だと思います。動画中のコアやその扱い方は古く見えても、オペさんの心意気は昨日の話のように生き生きと聞こえたのは、そういうことなのでしょう。


私はというと、三連休 & 台風接近中なのですが、休みなく現場です。
今日もボーリングオペさんと孔内水平載荷試験の工夫をしていました。オペさんが培った孔の作り方、ゾンデの入れ方、手順などを教えていただき、また、どうしようもなくなった時にはこちらの思いついたことを試してもらい、試行錯誤で進めていました。結果、ガラガラの砂礫層や均質な飽和砂層でも、清水で(ベントなしで)、しかも一発で品質の良いデータを取ることができました。この年になって、このような経験をさせてもらえるとは思ってもみなかったです。オペさんの経験とその高い意識に脱帽でした。


オペさんに共通するのは、道具やコア、試験の品質にこだわっていらっしゃること、それにプライドを持たれて仕事をされていることだと感じます。それにこたえられるよう(少なくとも邪魔しないよう)、段取り、計画し、皆で良い現場にしたいと思います。



2014年10月10日金曜日

一軸 or 三軸UU

一軸圧縮試験か、UU 三軸圧縮試験の選定についてです。

一般的には、砂分を多く含む場合や硬質粘性土(クラック型の乱れ)で UU と言われています。が、砂分が何%、あるいはどのように(パイプ状?ブロック状?層状?)含まれていると UU なのか、整理された書き物は見たことがありません(研究成果としてあるのかもしれません)。土を見て、「これはUUじゃないとダメ」などと経験的に判断しているのが現状でしょう。

地盤工学会の基準書では、IP利用の紹介があります。が、ばらついていますよね。
また、砂分を多く含むとサクションが切れて空気が入る → 1軸ではquが小さくなる、といった流れが書かれています。そのような試料で UU を実施すると、空気圧縮による有効応力が加わり、1軸より高く出るとも(これが、UU でφを有する一因。UUは水を回しませんからね)。
先輩は CUU が良いといわれていましたが、掘削の場合は UU を選択するでしょうか?

以下の図書にも記載があります。
現場における地盤調査の基本「ジオテクノート16 現場における地盤調査の基本」p84
①砂分の多い粘性土(中間土)や特に大深度から採取した洪積粘性土
応力開放の影響などにより、qu が過小評価されることとなり、c=qu/2 によりcを設定すると過度に安全側の設計になってしまう。そのため、UU 三軸試験によりcを設定することが基本であるが、現位置の鉛直有効応力に相当する圧力で圧密させたのちに UU 三軸試験を行う CUU 条件での三軸圧縮試験によりcを評価することも行われている。
地盤工学会と同様の内容です(一部引用もあり、当然ですが)。
写真やスケッチが併記してあれば、お客様にも説明しやすいのですが、ないですね。「経験上」は有効ですが、説明する手段としては限りなく非力です(お客様が、関係者に説明し難くなります)。その辺整理されている書物、ないですかね?

2014年10月8日水曜日

観測孔の設置

観測孔の設置は、多くの場合、ボーリング孔を利用します。

水位だけであれば、使用されていない打ち込み井戸の利用や、新たな打ち込み井戸の設置、耐用年数を考えなければ、簡易貫入後に細い VP を入れて仕上げることがあります。
土研と応用さんが、ミニラムを使用した設置手法も開発しているようです。使用したことはありませんが、特許をかけていること、契約先が応用さんになっていることなどから、きっと高いのでしょうね。
http://www.pwri.go.jp/jpn/seika/newtech/bui/img/01.pdf

設置の仕様としては、地盤工学会基準でしょうか。他には、地すべりを対象とした土研地すべりチームの共同研究、学会の口頭発表などがあります。前者に示されるように、ノウハウとして伝わっている部分が多いと思います。
http://www.pwri.go.jp/team/landslide/outcome/C457.pdf
http://www.web-gis.jp/e-Forum/2013/PDF/2013-006.pdf


水質を観測する場合には、よりいっそう気を使います。
接着剤は使用不可ですので、ネジきりタイプの保孔管が必須です。水質測定用に特化した市販品もありますが、水道用塩ビ(JIS K6742)をネジ切り加工して使用しても良いと思います。それらをシールしながら埋設します。
遮水材も、水質に全く影響のない材料を選びたいのですが、なかなか完璧なものはありません。ペレットやセメント、ナイスシール程度しか選択肢がないのも一因でしょう。揚水量を多くし、影響を小さくすることを考えていますが、良い方法はないでしょうか?

ペレットや豆砂利を充てんする場合、挿入する VP の大きさと孔壁とのクリアランスを考慮する必要があります。水質試験等で揚水が必要な場合、VP50 程度のほうが効率良いので、φ86mm 以上で掘削することが多いですね。水位だけなら、VP40 より小さくても可能です。土研の報告ではVP30 を1孔に多段で入れて、帯水層別の水位観測孔に仕上げている例も報告されています。

ストレーナー周りはフィルター巻き、底はキャップ等で土砂の流入を防ぎます。フィルターに関しては、防虫網や繊維フィルターを使用していることが多いようですね。これも、主目的が水質なのか、水位なのかで選択が変わるところでしょう。それでもいくらか土砂が孔内に入ってくるため、延長は少し長めに設置し、泥だめを作っておきます。

洗浄が一番時間のかかる作業です。また、充てんとともにノウハウに頼るところでしょうか?
上がってくる水が綺麗になるまで、注水・揚水するのですが、通常、数時間~1日は実施しています。岩盤の場合、多くが山中ですので派手に注水して洗浄します。が、都市部では排水不可のケースが多々あり、大量の揚水・注水による洗浄が困難となります。その場合、用意したタンクに少量の排水、注水を続け、時間をかけて洗浄します。コンプレッサーで吹かすこともありますね。
もっと良い方法があると思いますが、誰に聞いても我流です。案外、井戸屋さんに決まったノウハウがあるかもしれません。さく井の分野では地盤に応じた砂利の大きさの選定も目安がありましたので、そちらの方が進んでいると思います。

調査孔と観測孔を併用する場合、泥水の使用は避けたいところです。先輩によれば、ウエルクリーナー等を使用して泥壁を取り除くことも可能だそうですが、目の細かいフィルターを設置していたり、近くに利用中の井戸があれば適用困難です。保孔管挿入前にケーシングを回して孔壁を壊しながら洗浄をしておくことが必要となりますが、それでも完全には取れません。水質観測用の場合は、別途掘る方が良いと思います。オペさんによっては、ポリマー材のほうが後で通水させやすいので、そちらを選択される方もいらっしゃいます。

坑口部は無孔管+止水、車道などでは跳ね上げ防止のため鍵付きの耐圧蓋を設置します。


これだけ気を使って設置しても、失敗する場合があります。経験と技術が必要ですし、時間も費用もかかる作業です。経験豊かなオペさんには、まだまだ頑張っていただかないといけません。


2014年10月4日土曜日

急傾事業の補助対象

全国地すべりがけ崩れ対策協議会「がけ崩れ対策の手引き」H16

この図書は急傾斜地事業を進める上でのバイブルのようですね。

国庫補助対象事業として都道府県で実施されているものは、以下の通りとあります。
・急傾斜地崩壊対策事業(通常事業)
・災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業
・災害関連急傾斜地崩壊対策特別事業(がけ特)
市町村では、以下の通り。
・災害関連地域防災がけ崩れ対策事業

さらに、通常事業については以下の文言が示されています。
「急傾斜地崩壊対策事業実施要領の制定について」昭和42年 建設省河砂発第121号 事務次官通達
・おおむね30度を超える角度をなし、その高さが 10 メートルをこえる急傾斜地

なるほど。急傾斜地の指定要件は高さ 5m 以上ですが、国の補助金は 10m 以上必要なのですね。崩壊した 5m 以上の崖を急傾斜地に指定していないのは技術者の単純ミスかと思いましたが、この通達が暗に関わっていたのかもしれません。ヒトのやることですからね。

採択要件では事業費7000万以上の縛りもあるようですね。また、地元負担についても5%~20%の間で細かく規定があるようです(がけ崩れ対策の手引きp91)。そういえば、先輩も「高さ10m」「民家10戸以上」「事業費」などによっても細かい取り決めがあると言われていました。

調査時には、がけ高により決まる崩壊土量も参考に対策を決定する流れになります。この「高さ」をきちんと把握するために、昔の通達まで紐解きました。指定の法令・通達や、事業採択・運用の通達を頭に入れておかないと、急傾斜地の調査はできないようです。


2014年10月3日金曜日

急傾斜地崩壊危険区域指定基準

急傾斜地事業で救えない?箇所が出てきました。

現地へ行くと崩壊していますし、5m以上、30度以上、民家5戸の要件もクリアーしています。基礎調査におけるレッドゾーンにもなっています。対策に反対されているわけでもありません。が、急傾斜地崩壊危険区域を設定しようとしている範囲には含まれていません。
よくわかりませんので、指定基準に特例があるのかと、再度調べ直すことにしました。

まずは以下の図書。

南ほか「現代砂防学概論」古今書院

砂防関係の法令・事業体系が整理されています。急傾斜地関係では、p30 に以下の文言がありました。

「急傾斜地崩壊危険区域指定基準(昭和44年8月)」

滋賀県のHPでは、河川局長の通達とあります。
http://www.pref.shiga.lg.jp/h/sabo/kyuukeibinran/files/01sousoku.pdf

国交省の告示・通達システムでも、掲載されています。
http://wwwkt.mlit.go.jp/notice/index.html
法第三条の規定による指定は、次の各号に該当するものについて、行なうものとする。
一 急傾斜地の高さが五メートル以上のもの
二 急傾斜地の崩壊により危害が生ずるおそれのある人家が五戸以上あるもの、又は五戸未満であっても、官公署、学校、病院、旅館等に危害が生ずるおそれのあるもの。

以下の本にも関係法令・通達などが詳細に記されています。

全国地すべりがけ崩れ対策協議会「がけ崩れ対策の手引き」H16

この協会、民間だと思っていたのですが、新潟県庁内に事務局がありました(16年版では県知事が会長になっています)。確認したところ、16年版が最新でした。新潟県は地すべりのイメージが強いのですが、急傾斜地の崩壊も多いのでしょうか?


法で30度、通達で 5m と 5 戸。これ以上の情報は出てきませんでした。
結局、砂防課に運用上の細則を問い合わせてみました。この部分で、都道府県によって違いが出てきますので。


結果、どうも区域の設定ミスのようでした。設定された方は商売と割り切っていたのでしょうね。