2014年1月3日金曜日

降雨に対する斜面崩壊の慣れ

普段、「雨慣れ」という言葉を便宜的に使うことがあります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2013/08/blog-post_29.html<気象庁の警報の話

雨が多い地域と少ない地域を比較すると、後者の方が同じ雨でも崩壊しやすいということです。雨の多い方が、風化の進行と同時に土砂が流されているため、土層(素因)が育ちにくい。雨が少ないと土層が育ち、崩壊しやすい素因が形成される、というものです。感覚で使っていた言葉なのですが、この本(飯田智之「技術者に必要な斜面崩壊の知識」)ではしっかり説明されています。

p10には、最大日雨量と崩壊面積の関係が、多雨地域と非多雨地域に分けて図化されています。1970年の論文からの引用ですが、古くからこの考え方はあるのですね。知りませんでした。用語も“降雨に対する斜面崩壊の慣れ”となっています。このような考え方が暗黙知でなく、書き物として残っていることを知ったのはこの本が初めてです。

この本では、一貫して土層の成長(素因)と、降雨イベント(誘因)を関連付けて崩壊を論じられています。両者を定量的に扱おうという姿勢も読み取れます。
“雨慣れ”といった感覚で片付けず、論理的な手法、姿勢でコツコツ進めることが重要なのでしょう。

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