2011年6月9日木曜日

Dating of Groundwater

温泉に対するトンネル掘削の事後評価業務の中で、後輩がトリチウムを測定することになりました。

「年代が求められない場合もあるので、事前のデータを見ておかないといけない」と言ったところ、「半減期が短いからですね」といった答えが返ってきました。過去に書いた報告書を渡しておきましたが、トリチウムを使った事後評価の手法、事前データのチェックの必要性は理解できたでしょうか?

後輩は話題の放射性というキーワードにはまって、地下水流動まで頭が回らなかったようです。前回測定した地下水がそこに留まり続けることはありません。そのため、トリチウムは単順に減少はしないのです。次々、新しいトリチウムを含んだ地下水がやってきます。増える場合もあるでしょう。

もうひとつ。トリチウム濃度は大気と非平衡になった時点から減少します。例えば、2000年測定時に10T.U.であれば1960年前後、もしくは1970年前後での降雨浸透となります。そのため、浸透個所から測定個所までの滞留時間は40年か30年になります。地盤の透水性や地下水年代のコンター図を描けばどちらかはっきりするでしょう。
仮に滞留時間が30年だった場合、今年測定して年代をきめるのは困難です。水爆実験のピークを過ぎて天然レベルに近付く傾向となり、年代が一義的に決まらないのです。今後、ますます困難になっていくでしょう。

そのため、現在では酸素同位体やヘリウムなどの測定を併用しているようですが、私はやったことがありません。地下水を専門とする他の技術者がやっていますので、この際、聞いてみましょう。

ちなみに、池のトリチウム濃度も測るようです。地表水と地下水の混合を計算する必要があるのでしょう。福井県や愛媛県の公開されているデータを見れば、使えるかもしれませんが。

そういえば、以前、PHREEQCでisotopeをMIXできないと書きました。
http://phreeqc.blogspot.com/2010/08/phreeqcisotopemix_09.html
本当にできないのか再度チェックしたところ、あっさりできました。トリチウムを含むデータベース”iso.dat”を選択し、適当な濃度を入力、mixさせたところ、ちゃんと計算してくれました。逆解析もできそうなんですけど。何をやってたのでしょうか?
でもこれで、水質試験結果と併せてMIXでチェックできますね。

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