2011年6月12日日曜日

ホーキング、宇宙と人間を語る

今日、本屋で「ホーキング、宇宙と人間を語る」という本を見かけました。

天文台に遊びに行くこともあり、宇宙に興味がないわけではないですが、最新理論を知りたい!というほどではありません。表紙の写真に目が行って、手に取った次第です。

これが当たりでした。哲学的でしたね。

特に「モデル依存実在論」です。
私が常々思っているのは博士が言うほど高尚ではありません。次元が違います。しかし、似たようなことです。
我々が日常行っている解析は真理ではないでしょう。真理を得ることが重要なわけではありません。作り上げたモデルが真理であるかどうかも重要ではなく、そのモデルが観測結果をよく説明するかどうかが重要であり、予測の根拠となるのです。
いくら高度で複雑な理論を実装したソフトで3次元解析を行っても、パラメーターは2次元モール・クーロンや3軸圧縮試験などで求めた理論的に異なる強度を初期条件とし、キャリブレーションを行うのが常でしょう。高度な解析で再現できたモデルこそ真理ではなく、観測結果を矛盾なく再現できることに意味があるのです。どうでしょう。似ていませんか?
結構、勘違いしている人がいます。手間がかかる解析ほど真実に近い高度なことをやっていると思われる方もいます。だからといって、上記を力説することはありません。
これは先輩の受け売りですが、シャンデリアが欲しいと買いに来られたお客様に、あなたの家には蛍光灯で十分ですよと力説する営業マンはいません。技術論とは別で、仕事はサービス業であり、人と人との関係で成り立つものであり、難しいのです。

また、良いモデルの条件として、以下の点が挙げられていました。(再度言いますが、考えているレベルは違います。)
  1. 簡潔である。
  2. 任意の、あるいは調整のできる要素が少ない。
  3. すべての観測事実を矛盾なく説明できる。
  4. 将来の観測に関する予言、特にその内容が観測結果の合わなければモデルが間違っているとわかるような詳細な予言ができる。
痛い点がありますね。
矛盾が出てきた場合にどうするかというと、まず既存のモデルを修正します。新たに別のモデルを構築する人は少ないでしょう。そしてだんだん複雑になっていきます。

浸透流や移流分散、熱伝導などは非常にシンプルなPDEです。数十年前から理論は変わらず、同じPDEが使われ続けています(手を加えられているのは解くためのツール(FEM)の方です)。こういったモデルは「実在する」と考えて良いのでしょう。
それに比べて変形は複雑・多肢ですね。分かっていないことが多いことの表れかもしれませんが、根本的に理論を見直すべきなのかもしれません。今後、発展の余地ありと考えるべきなのでしょうね。

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