iRIC Ver.3 に含まれている土石流解析ソルバーの Morpho2DH を使用。Ver.1.0です。
ソルバーマニュアルには、「Morpho2DH は平面二次元の土石流・泥流モデルを主体とした解析ソルバであり,斜面崩壊を初期条件とした土石流・泥流の流動・堆積過程を表現可能なモデルです」とあります。
まず、tutorial。前半は問題なく進みましたので、動くようです。
プレゼンで示されていたように、非常にお手軽に計算ができます。tutorial では xyz の csv データが用意されていましたが、iRIC のプレは基盤地図情報からのダウンロード機能を備えています。座標系を指定しておけば背景に地理院地図等を表示できますので、それを見ながら DL する範囲の指定が可能。範囲内に 5mLP がなければ、ある部分だけで点群を作ってくれます。この一連機能は秀逸。LandXML への吐き出しも実装されているようですので、土石流や河床変動以外の解析でも、この部分だけ利用する場面が出てきそうです。
次は、後半の固定床を飛ばして、実例をトレースすることに。
5mLP をインポートし、流下方向を考慮しながらメッシュを切る。空中写真を背景に頭部崩壊領域を作成し、メッシュに属性を付加、計算条件を入力したら設定完了です。
今のところ GUI は、こけていません。たまに属性のマッピングが反映されていないケースに遭遇しましたが、どういうタイミングで発生するのか掴めていません。念のため保存して終了し、再起動後に読み込んで入力値が入っていたらOKです。同じ類の Hyper-Kanako に比べ、操作性・安定性はマシマシです。
で、計算!
はい、結果が出ません。すぐに発散しています。ソルバーの中にタイムステップを自動調整してくれる機能がないようです。しかも並列化されていないので、計算が遅い。
タイムステップを 0.01 秒から 0.001 に切り替えてもダメ。
メッシュを 10m から 5m に切りなおすと、動きました。
ひとまず一つの流路では動いたので、同時多発を試行。地理院の空中写真を背景に切り替えて10か所超の頭部崩壊領域を設けました。発生時間をずらすように設定し、計算スタート!
結果はそこそこ。
建物の影響を考慮していない地形ですので実際の堆積域とは一致しません。が、計算は走りました。力技ですが、メッシュを細かく切り「障害物」として建物を指定すると、その影響は取り込めるようです(さらに計算は遅くなりますが)。
iRIC のポスト処理として、地理院の空中写真を背景に層厚や速度を重ねることができます。動画も書き出せます。操作が簡単で安定していることを含め、フリーのプリポストとしては作りこまれている感じです。
Morpho2DH としては、同時多発の土石流を一度に計算できることが特徴でしょう。改善要望としては、並列化と建物の崩壊を含めた影響検討ですかね。いつか実装されるかもしれませんので、気長に待ちましょう。
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