結果を見せてもらいましたが、比較的きれいに鉱物変化(ゾーニング)が出ていました。Chlorite の消失、Smectite、カオリンの生成、Plagioclase の減少等々。別途測定していたpH、pe も調和的です。化学的風化過程を理解しやすいでしょう。
良い素材でしたので、これなら簡単な計算ででも傾向は再現できると思い、手を動かしてみました。
使ったのはPHREEQC。database は wateq。
EQUILIBRIUM_PHASES は Albite、Anorthite、Chlorite、Kmica、Montmorillonite3種、Pyrite、Quartz。新鮮部の XRD 結果で量比を決め、exchangers を教科書を見ながら適当に入れて、雨を transportで流してみました。
結果は上々。
最初に Ab と An が溶解。Na, Ca 上昇。
実際は kinetic なので最後まで残るのですが、モデルは単純に瞬時平衡として取り扱いましたので、しばらくすると溶け終わりに近づき減少。緩衝機能が低下し pH がやや低下。同時に溶液中と交換基の Na、Ca が減少。
Chl が溶解し Mg が代わりに上昇・付着。M 生成。
さらに雨が入り上部で Chl が消失すると、pH さらに低下。M はやや減少しMgやAlを放出。Alは吸着されていますが、実際は gibbsite や Kaolinite に過飽和になっていますので、それらが析出していると思われます。
XRD結果 ではこの Smectite(とカオリン) のバランスの崩れている部分があるので、そこが abnormal (すべり面や水みち)と判断できます。「XRDかけました」だけで計算なしでは標準パターンをつかめませんので、異常は抽出できないでしょう。それは多くの場合、 XRDA 側ではなく、解釈する側のレベルの問題です(私も含め)。
そういえば、と思い後輩に千木良先生の「風化と崩壊」の話を振りましたが、後輩は知りませんでした。泥岩の風化過程が読み易く書かれており、当時ブームになった図書です。化学の苦手な地質屋さんも、「硫酸ができる!」などとよく言われていました。が、出版が22年前。後輩はまだ幼稚園~小学生。知らなくて当たり前です。
ま、地質屋さんのレベルが22年前から進歩したとは言い難い状況です。計算で根拠づけたり判断したりする地質屋さんはレアですので、図書や関連文献をよめば(幸い?)追いつけます。
一方、洋書では教科書レベルで熱力学計算による鉱物のゾーニングが表現されています。できれば、理論と現象の両面から物事を追える地質屋さんに育ってほしいところです。
0 件のコメント:
コメントを投稿