午後にそれらを読んでいたのですが、分かりやすかったのが、以下の図書です。
新井宏之「基本を学ぶ電磁気学」オーム社
表皮深さの導出はp133~138。
正弦波を仮定し、マクスウェル方程式を書き下した後に平面波として導出していました。幾つか引っかかっている部分は残っていますが、思ったほど難しくはありませんでした。
この表皮深さの式は近似解でした。
厳密解に対し「金属は導電率が大きい」として一部の計算を省略されています。ま、金属のεを0やマイナスにすると、割れなかったり虚数が出てくるので、そうせざるを得ないといった背景もあるのでしょう。
では、岩石のような導電率が小さい物質でも近似解で良いのでしょうか?
どの程度の差が出るか気になったので計算してみました。周波数は NETIS (http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/Search/NtDetail1.asp?REG_NO=KK-000014)に示されている5つ、それに対応する測定値(岩盤の比抵抗)は手元の図書から適当に数ケース設定しました。文献では比誘電率の幅が大きかったのですが、センシティブでなかったので7程度で固定。銅は便宜的に0に近い値として設定しました。結果は以下の通り。
案外、差が出ないですね。近似解を岩盤に適用する点は、数字上は問題ないでしょう。
残る疑問は以下の通り
①銅線の様なμmオーダーの話と、岩盤の数十~数百mオーダーの話を同じ式で扱ってよいのか?
② NETIS でいう 150m の探査深度は、ハードの制約?解像度の問題?
③深度 150m までだと、深度方向の解像度が粗すぎるのでは?上記の試算では、砂岩・泥岩などの低比抵抗を示す岩種で深度方向に2~3点、花崗岩の様な高比抵抗だと1~2点しかデータが得られない。
④地形の影響を受けないのか?
通常は、空中電磁探査で得られるセンサー毎の生データ(ppm)は示されず、そこから深度と見かけ比抵抗を推定し、さらにそれらを補完した断面図や平面図、数mメッシュのグリッドデータのみが成果として扱われているようです。断面では補間の手法の選択が大きく結果に影響することでしょう(平面はかなり密にデータがあるため補間は必要ないでしょうが)。
これまで、補間後の断面上の値をグリッド化し、差分等で解析されている文献を見てきましたが、本来は補間前の
***********************************
20170311追記
表皮深さを半分にして深度と比抵抗を求めた事例・手法がありました。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html
上記計算は端折りすぎですね。それ故、疑問点が的を得ていない物もあります。
①合わせ込みパラメータの節も見受けられますので、実務上は問題ないでしょう。
② 2つの文献の測定・計算結果を見る限り、両方の制約があるようです。理論上、用意された比抵抗モデルとNETISの周波数では、100~200mが限界となっています。これだとハードの制約になるのですが、測定例においては 900Hz、385Hz の測定値がノイズレベル以下となり、その2点の結果を定性的解釈に止めるよう強調されています。定量的解釈では3つの周波数しか使えていませんので、こちらは解像度の問題となります。
③上記の通り、理論では用意した周波数をすべて使える可能性がありますが、実際は3つしか使えず、深度方向の解像度が粗くなる例もあるということです。やはり、生データまで戻って確認する必要があるのでしょう。
***********************************
20190711追記
物理探査学会の講習会に参加。
深度を決めるには詳細法(インバージョン)と簡易法(表皮深さ)があるとのこと。通常はインバージョンにて決定。表皮深さの精度は悪く5倍とのこと。納得です。
0 件のコメント:
コメントを投稿