2017年2月3日金曜日

表皮深さ その2

続きです。

空中電磁探査に用いる周波数-深度変換で、図書や文献に載っている式は以下の通り。

d= 503√(ρ/ f )

私が見た地球物理のすべての文献で、この式の導出は省かれていました。が、おそらく次の通りでしょう。

The skin depth d (meters) = √(2/ωσμ )=√(2ρ/ωμ )

 ω = 2πf、非磁性体はμr≒1より、

d= √(2ρ / 2πfμ )
 = √(ρ/ πfμ )
 = √(ρ/ πf(1*4π×10^-7) )
 = √(10^7*ρ/ 4π^2*f )
 = √(2.53*10^5*ρ/ f )
 = 503.3√(ρ/ f )

 σ : conductivity
 ρ : Resistivity
 μ : magnetic permeability =μrμ0
 f : frequency


この係数 503 を半分にして使われている方がいらっしゃいました。今まで、その方以外で使われているのを見たことがありません。その出典や適用範囲、制約条件などを聞いても、返答はあいまいでした。

そもそも、この表皮深度の式を使えばこれ以上入らないと言った最大深度は出ますが、実際にその深度まで交流磁場が届いている保証にはなりません。その点が空中電磁探査結果の説得力の弱い一因に思われます。ま、他の手法と組み合わせて真実に迫るという点では、他の物理探査手法も同じですが。

とりあえず、まだ電磁気学をマスターしていない身です。それ故、上記の考えは私の誤りかもしれません。d=√(2ρ/ωμ )までの導出もまだ理解していませんので、とっとと補強して土俵に上がりましょう。

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20170311追記

表皮深さを半分にして評価している事例・手法がありました。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html



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20170325追記

物理探査ニュース「わかりやすい物理探査」電磁法3)にて、表皮深度の説明があります。
http://www.segj.org/letter/%E7%89%A9%E7%90%86%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9-06.pdf
電磁探査を実施する際に、概略の比抵抗とターゲットの深度が分かれば、その深度までの探査に必要な周波数が推定されます。
これが本来のあり方なのでしょう。

John M. Reynolds 「An Introduction to Applied and Environmental Geophysics, 2nd Edition」 p413には以下の記述がありました。
A realistic estimate of the depth to which a conductor would give rise to a detectable EM anormaly is ≈δ/5
根拠は描かれていませんが、おそらく経験則でしょう。


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