2017年2月5日日曜日

表皮深さ その3

昨日、図書館に出向き、電磁気学の本をいくつか借りてきました。

午後にそれらを読んでいたのですが、分かりやすかったのが、以下の図書です。

新井宏之「基本を学ぶ電磁気学」オーム社

表皮深さの導出はp133~138。
正弦波を仮定し、マクスウェル方程式を書き下した後に平面波として導出していました。幾つか引っかかっている部分は残っていますが、思ったほど難しくはありませんでした。

この表皮深さの式は近似解でした。
厳密解に対し「金属は導電率が大きい」として一部の計算を省略されています。ま、金属のεを0やマイナスにすると、割れなかったり虚数が出てくるので、そうせざるを得ないといった背景もあるのでしょう。

では、岩石のような導電率が小さい物質でも近似解で良いのでしょうか?
どの程度の差が出るか気になったので計算してみました。周波数は NETIS (http://www.netis.mlit.go.jp/NetisRev/Search/NtDetail1.asp?REG_NO=KK-000014)に示されている5つ、それに対応する測定値(岩盤の比抵抗)は手元の図書から適当に数ケース設定しました。文献では比誘電率の幅が大きかったのですが、センシティブでなかったので7程度で固定。銅は便宜的に0に近い値として設定しました。結果は以下の通り。



案外、差が出ないですね。近似解を岩盤に適用する点は、数字上は問題ないでしょう。


残る疑問は以下の通り

①銅線の様なμmオーダーの話と、岩盤の数十~数百mオーダーの話を同じ式で扱ってよいのか?
② NETIS でいう 150m の探査深度は、ハードの制約?解像度の問題?
③深度 150m までだと、深度方向の解像度が粗すぎるのでは?上記の試算では、砂岩・泥岩などの低比抵抗を示す岩種で深度方向に2~3点、花崗岩の様な高比抵抗だと1~2点しかデータが得られない。
④地形の影響を受けないのか?

通常は、空中電磁探査で得られるセンサー毎の生データ(ppm)は示されず、そこから深度と見かけ比抵抗を推定し、さらにそれらを補完した断面図や平面図、数mメッシュのグリッドデータのみが成果として扱われているようです。断面では補間の手法の選択が大きく結果に影響することでしょう(平面はかなり密にデータがあるため補間は必要ないでしょうが)。

これまで、補間後の断面上の値をグリッド化し、差分等で解析されている文献を見てきましたが、本来は補間前のデータに対して検討すべきなのでしょうね(数が少なすぎて、できないのかもしれません)。どちらかというと、断面はおまけ程度と考え、表層部の平面データを利用する手法として割り切る方が、評価を誤らないと思われます。

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20170311追記

表皮深さを半分にして深度と比抵抗を求めた事例・手法がありました。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html
上記計算は端折りすぎですね。それ故、疑問点が的を得ていない物もあります。

①合わせ込みパラメータの節も見受けられますので、実務上は問題ないでしょう。
② 2つの文献の測定・計算結果を見る限り、両方の制約があるようです。理論上、用意された比抵抗モデルとNETISの周波数では、100~200mが限界となっています。これだとハードの制約になるのですが、測定例においては 900Hz、385Hz の測定値がノイズレベル以下となり、その2点の結果を定性的解釈に止めるよう強調されています。定量的解釈では3つの周波数しか使えていませんので、こちらは解像度の問題となります。
③上記の通り、理論では用意した周波数をすべて使える可能性がありますが、実際は3つしか使えず、深度方向の解像度が粗くなる例もあるということです。やはり、生データまで戻って確認する必要があるのでしょう。

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20190711追記
物理探査学会の講習会に参加。
深度を決めるには詳細法(インバージョン)と簡易法(表皮深さ)があるとのこと。通常はインバージョンにて決定。表皮深さの精度は悪く5倍とのこと。納得です。


2017年2月3日金曜日

表皮深さ その2

続きです。

空中電磁探査に用いる周波数-深度変換で、図書や文献に載っている式は以下の通り。

d= 503√(ρ/ f )

私が見た地球物理のすべての文献で、この式の導出は省かれていました。が、おそらく次の通りでしょう。

The skin depth d (meters) = √(2/ωσμ )=√(2ρ/ωμ )

 ω = 2πf、非磁性体はμr≒1より、

d= √(2ρ / 2πfμ )
 = √(ρ/ πfμ )
 = √(ρ/ πf(1*4π×10^-7) )
 = √(10^7*ρ/ 4π^2*f )
 = √(2.53*10^5*ρ/ f )
 = 503.3√(ρ/ f )

 σ : conductivity
 ρ : Resistivity
 μ : magnetic permeability =μrμ0
 f : frequency


この係数 503 を半分にして使われている方がいらっしゃいました。今まで、その方以外で使われているのを見たことがありません。その出典や適用範囲、制約条件などを聞いても、返答はあいまいでした。

そもそも、この表皮深度の式を使えばこれ以上入らないと言った最大深度は出ますが、実際にその深度まで交流磁場が届いている保証にはなりません。その点が空中電磁探査結果の説得力の弱い一因に思われます。ま、他の手法と組み合わせて真実に迫るという点では、他の物理探査手法も同じですが。

とりあえず、まだ電磁気学をマスターしていない身です。それ故、上記の考えは私の誤りかもしれません。d=√(2ρ/ωμ )までの導出もまだ理解していませんので、とっとと補強して土俵に上がりましょう。

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20170311追記

表皮深さを半分にして評価している事例・手法がありました。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html



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20170325追記

物理探査ニュース「わかりやすい物理探査」電磁法3)にて、表皮深度の説明があります。
http://www.segj.org/letter/%E7%89%A9%E7%90%86%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9-06.pdf
電磁探査を実施する際に、概略の比抵抗とターゲットの深度が分かれば、その深度までの探査に必要な周波数が推定されます。
これが本来のあり方なのでしょう。

John M. Reynolds 「An Introduction to Applied and Environmental Geophysics, 2nd Edition」 p413には以下の記述がありました。
A realistic estimate of the depth to which a conductor would give rise to a detectable EM anormaly is ≈δ/5
根拠は描かれていませんが、おそらく経験則でしょう。


2017年2月2日木曜日

表皮深さ

空中電磁探査の周波数→深度変換式を調べておりました。

どうも文献や図書と若干異なる式を使われているようで、どうしてそのような式になったのか、その式の適用範囲(深度)はどの程度なのか?と疑問に思い、1950年代の文献まで遡って追っていました。

で、たどり着いた(というか元に戻ってきた)のは「表皮深さ」。
以前、VLF の理論を調べた際にも出てきたことを思い出しました。電磁気学をベースとした理論式のようですが、引用文献には導出も適用範囲(深度)も書かれていません。
そもそも、電磁気学を理解できていません。いい加減に理解しておかないといけないでしょう。

ということで、大学の物理の教科書を引っ張り出して見ていたのですが、なかなか読み進めません(興味があれば既に大学時代にトントンと理解していたでしょう)。

で、ネットに分かりやすい解説は転がっていないかな?などと思い探しておりますと、(本題とは異なりますが)面白いページに目が留まりました。最も基本的なマクスウェル方程式のイメージについてユニークに説明されています。高校生でも理解できるのではないでしょうか?

表皮深度の式までたどり着くには時間がかかりそうです。が、避けては通れないようです。週末、補強に取り掛かりましょう。


2017年1月31日火曜日

表層部の簡易CU

水底より 2m 程度の薄い飽和粘性土に対し、設計者から簡易CUの実施を求められました。

確かに、砂分を多く含む粘性土ですので一軸だけでは心もとないでしょう。が、難しいでしょう。

層の中心でサンプリングしたとすると、土被り1m、粘性土の飽和単体が16kN/m3とすると、有効土被り圧が6kN/m2になります。拘束圧はその 2/3 で 4kN/m2。小さすぎます。
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/11/blog-post_2830.html
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/11/2.html

先輩は2mからのサンプルで”厳しいながら”実施したこともあると言われていました。が、それなりの準備をしないと、正しい評価は難しいでしょう。

試験一つにしても、多面的に検討し、提案しないといけません。難しいですね。

2017年1月30日月曜日

ロッド自沈を計上?

先輩より「液塑性限界試験で NP の場合、試験数量として計上しているか?」と聞かれました。

私は基本計上しています。「見ただけでわかるでしょ」は通じません。お客様や設計者は土を見ませんので。それで良いとも思えませんが、そのような試料であったことを伝えることも、この御時世、求められているのかと。

これについて歩掛で何か触れられていないか?と確認しておりましたが、特に記載は見つかりませんでした。が、他の種目について触れられていたものがありました。
「港湾土木請負工事積算基準」では、標準貫入試験の計上方法について細かな取り決めが書かれています(恥ずかしながら初めて知りました)。概要は以下の通り。

・ロッド自沈は計上しない。モンケン自沈は計上してよい。
・貫入区間内で層変わりしている場合、本打ち区間で厚い方の土質で計上。(予備打ちは含まれていません)
・同層厚の場合は上層で計上。

あくまで、モンケンでたたく行為について代金を支払うといった考え方のようですね。サンプラーの上げ下げの手間は考慮されていないように読み取れます。

シンウォールサンプリングについても記載があります。
これまで試料の脱落したものは計上していませんでしたが、計上しても良いとのこと。

技術論とは無関係の細かなルールですが、覚えておくとつまらないところで躓きません。
忘れないようにしましょう。


2017年1月29日日曜日

風速10m

悪天候による作業中止は、山の中ではあまり発生しません。しかし、海上ボーリングなどでよく発生します。

労働安全衛生規則では、悪天候による作業中止項目が多く決められています。
このサイトが比較的よくまとまっているでしょうか?規則は度々改正されますので、時点での決まりを確認する必要はありますが。
http://isabou.net/soft/petit/common/PipeStage/Staging/ReferBadWeather.asp

通常、「風速 10m/sec 以上」で判断したり申請したりすると思われますが、この数値は労働安全衛生規則には出てきません。「強風」と書かれているだけです。
その根拠は通達によるのですが、これも改廃が繰り返されています。
最新では林業関連で更新されおり、以下に掲載されています。

厚生労働省労働基準局 基発0115第4号 平成26年1月15日

足場やクレーン関連では、これのようです(古い通達で内容を見たことがありませんので、誤っているかも知れません)。
基発第101号(昭和 34年 2 月18日)
基発第309号(昭和46年 4 月15日)
http://www.to-gisi.com/magazine/51/doc05.pdf


吹き流しを警戒船などに配置する理由は、風速10mの判断を分かりやすくするという目的があるように思います。真横に吹き流され続けると、10m/sec を超えているとみなすとか。
ただ、風速6m位になると真横を向き始めるので、風速計によるチェックも必要でしょう。最近は UAV が流行ですので、お持ちの方も多いと思います。

いずれにしても、安全に対する学習・予測・準備は怠らないようにしましょう。

心配

危険な現場や、海上ボーリングなどモロに自然の影響を受ける現場では、夜も一抹の不安を抱えています。いくら対策をしていても、自然相手に完璧ということにはなりません。ま、できる対策は実施していますので、あとは仕方のない領域になるのかもしれませんが。

昨日、そのような心配も終わり、遠方からやってきた仲間を含め遅めの新年会をしていました。
が、そこでまた大きな心配事が発生。飲んでいても心から楽しくなく、今も胸の一部を支配しています。

受け入れざるを得ないのですが、なかなか、スッキリしませんねえ。