2021年4月4日日曜日

コーダ波

地震のプロと議論していた内容で、噛み合わないところがありました。

地震屋サンは地震の評価を強振動部分(PS)を含めて使用されます。各地震の特徴や違いを把握する目的です。
一方、地盤屋サンは地震で損傷した地盤に注目したいので、地震後の波形に着目します。が、イベント波形データには含まれていません。連続データから切り出すのも手間。
折衷案として、「コーダ波を使うかな?」と言われていました。

先日、文献を整理していて関連する記述を見つけました。書き残しておきます。( ..)φ

澤崎 郁「大地震に伴う地下構造変化とその回復過程について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin/70/0/70_57/_article/-char/ja/

 ここで述べる非線形応答とは,地震動による動的歪に応じて地盤浅部の物性が変化し,地盤増幅特性が強震時と弱震時とで異なる現象のことである.典型的には,地盤に加わるせん断動的歪が大きくなると,地盤の剛性率が低下(したがってS波速度が低下)し内部減衰が増加するため,地盤増幅の固有周波数が低周波側に移動し,高周波帯域では増幅率が低下する.現在では,ある程度以上の強さの地震動が発生すると必ずと言っていいほど非線形応答が発生することが知られるようになった[例えば,Régnieretal.(2013)].地盤の非線形応答についての初期の包括的な報告については,翠川 (1993) やBeresnev and Wen(1996)などを参照されたい.通常,地盤の非線形応答の研究では,強震動の継続中に生じる地盤物性の変化を扱う.しかし,強震動により地盤が剛性を失い液状化(剛性率が0)に近い状態になった場合,その地盤の物性は強震動が収まった後も直ちには元に戻らず,長い時間をかけて回復することが,Aguirre and Irikura (1997) や Pavlenko and Irikura(2002)等の研究で明らかになった.本稿では,この長い時間をかけた回復過程を,強震動の継続中に生じる地盤の非線形応答とは異なる現象として扱う.

小地震記録を用いて速度変化を検出する際には,地震動の継続中に生じる非線形応答による速度低下と,強震後も残る速度低下とを区別する必要がある.そのためには,非線形応答が問題となるような振幅の大きい波形を解析に用いるべきではない.

 

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