「PS検層(ダウンホール)結果とN値からの推定で、表層部のS波速度が合わない。なぜ?」
なぜ?と問われても、知らない現場の話です。一般論を伝えました。
・盛土の不均質性
本試験30cmのN値は不均質性の影響を検層よりも受けやすい。
・手法上の問題
ダウンホールではoffsetが必要。表層は深さ方向の速度でない。
・補助的な探査
上記の理由により、補助的な探査を実施する場合がある。
・技術者のミス
初動走時の認定ミス。
個人的には、検層のS波が正解で、N値のばらつきが推定誤差の原因と判断すべきと考えます。平均的でないN値からS波速度を推定しても一致するわけがないのです。
先日、物理探査学会のH30講演論文集を読んでいて、それと同じことを発表されている方がいらっしゃるのに気づきました。
稲崎富士「PS検層をめぐる技術的課題(その3)S波速度データの活用と地盤物性との関連性検討」
「N値10の場合、Vsが100~350m/sの間でばらついており、推定精度が低いと言わざるを得ない」という趣旨のの指摘を受けた。
これに対し筆者は上述の標準貫入試験に関わる重大な問題点の存在を指摘するとともに「Vs200m/sの場合N値が2~50程度の間でばらついており、N値の測定精度が極めて低いことが端的に示されている」と反論した。うまい表現だと思います。N値信仰もほどほどにしないとダメですね。
この論文のほかにも、手法の比較や信頼性の表現についての発表が掲載されていました。まだ数年はPS検層にかかわる検討を続けられるようですので、今後の報告を楽しみにしておきましょう。
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