2018年12月11日火曜日

タンクモデル その3

菅原正巳「続・流出解析法」1979年

自動最適化の話がメインです。というか、そこに至るまでの経緯が書かれていました。

序文にて悲しみに共感、読み始めて考え方に共感。人物像にひかれて googling すると、2011年に鬼籍に入られたようでした。

技術図書というよりか、読み物として面白かったです。
以下、印象に残った個所です。

p41
絶対誤差では流量の大きい箇所で大勢が決まってしまう。
相対誤差の利用: √((log推定流量ーlog実測流量)^2の平均)
p113
これは、ペナルティ関数で対応していた問題です。
誤差関数の選択肢は試してみましょう。

p67
自動最適化プログラムは試行錯誤法で十分良いパラメータが得られた後に用いるものである。
p69
試行錯誤が不十分な段階で自動最適化を行うと、あるいは収束しなかったり、非現実的な解に収束したりする。
p102、103
タンクモデルのパラメータはかなり鈍感で、かなり異なったパラメータの組が、似たハイドログラフを与えるのである。
これも心当たりがあります。妥当な値に収まるよう、探索範囲に制限をかける作業が必要でしょう。

p73
3段目タンクは15日とか1月を単位とし、4段目タンクは6か月とか1年を単位として入出力を解析する。
妥当な値の範囲として使えます。

p76
(α0+α1)が減衰の仕方を決める
α0:α1が流出量を決める
先日覚えた根本的な理論ですね。

p78、p97
出発モデル
気象庁のモデルと共に、出発点として使いましょう。

p105
最適解が得られることは審美感を満足させるし、実用上からは説得に便利であるから、重要視されるのは無理もないが、ある種の最適解は不安定で、条件や評価法のわずかな変化により、大きく揺れ動く。最適解と大差がない多くの解が広範囲に分布しているときは、前提条件や評価を少し変えることによって、最適解が広い範囲を動き回るのである。
 難しいですね。
p143
私には、自動化は現代の必要悪の一種に思われる。自動化によって、人間の考える自由、したいことをする自由、ものを創り出す喜びが失われ、感受性、判断力、行動力が失われていく。便利や、省力化の代償として、失われるものが時としてはあまりに大きいことがある。
この自動化プログラムを、試行錯誤法の際の一つの道具として使うことにより、人間の思考力、洞察力、感受性などが損なわれることなしに、能率が増進することになれば、手間が省けることにより、パラメータ探し以外の、大切な水文学的問題に、人間の思考力、洞察力、感受性等が向けられることになるならば、私としてはこれに過ぎたる幸せはないし、またそうなることを切望している。
前半は「流出解析法」を読んだ際に痛感させられた内容です。
最近読んだ文献では、パラメータの全自動最適化のみでなく、段数や横孔数といった構造まで自動で求めようとしていました。時間を作るために自動化されたものが、素人に考えるチャンスを奪ってしまう道具になりかねません。
後半は、まさにその通り。考える時間を生むために省力化を図るのであって、大量消費・高速処理自体が目的になってはいけません。これはすべてに共通する考え方です。

この方の話、直接伺ってみたかったですね。

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