地団研の「粘土鉱物と変質作用」を紛失。
買い直そうと思いネットで確認してみると、他にも面白そうな本がありました。
その中の一つ「ジオロジストの岩石磁気学」。少し古い図書ですが、今まで勉強したことのない分野ですので入門には良いかも、と思い購入。
早速読んでみました。
が、言葉が一度で頭に入りません。TRM とか CRM とか、なんだっけ?と何度も前に戻ります。で、整理してみました。
・NRM (Natural Remanent Magnetization) 自然残留磁化: = Primary + Secondry
Primary
・TRM (Thermal Remanent Magnetization) 熱残留磁化
:キュリー温度以下にて冷却時に獲得する残留磁化。PTRMの合計。
・PTRM (Partial Thermal Remanent Magnetization) 部分熱残留磁化
:冷却温度のある範囲で獲得する残留磁化。
・PRM (Pressure Remanent Magnetization) 圧力残留磁化
・SRM (Shock Remanent Magnetization) 衝撃残留磁化
・CRM (Chemical Remanent Magnetization) 化学残留磁化
:熱水変質、化学的風化、続成作用など。
・DRM (Detrital Remanent Magnetization) 堆積残留磁化
・PDRAM (Post-Depositional Remanent Magnetization) 後堆積残留磁化
:堆積後、一定時間たった後獲得した残留磁化。圧密など。
Secondry
・VRM (Viscous Remanent Magnetization) 粘性残留磁化
:ハンマーなど鉄製品での2次磁化←消磁
・CRM
その他
・ARM (Anhysteretic Remanent Magnetization) 非履歴残留磁化
:地球磁場程度の外部磁場化で交流磁場をかけて得た残留磁化。
非常に安定でTRMに近い。
一度整理してみますと、頭に入ってきました。
案外、繊細な話なのですね。数万年も残っている磁気なのである程度安定なのかと思っていましたが、やはり気を付けないといけないことは多いのでしょう。
後輩君が、海底地すべりに関し帯磁率異方性を使った研究の詳細を教えてくれました。学生時代に一時携わっていたようです。
・AMS (Anisotropy of Magnetic Susceptibility) 帯磁率異方性
帯磁率異方性を測定すると、すべり面付近で軸が揃うとのこと。文献も読みましたが、粒子配列を分析するのと同義のようです。文献ではAMS結果と対比させるためにSEM画像で粒子配列が示されていたのですが、どのようにして切断時に乱さずにコアからサンプリングしているのか不思議でした。後輩君に聞いたところ、樹脂で固めれば良いそうです。案外、簡単ですね。
そういえば、15年くらい前に XRD で配向度を測定してほしいと研究部署に依頼しましたが、「切断時に乱れるので無理。」と言われたことを思い出しました。文献では配向度を測定していたのでできるはずだったのですが、知識・経験がなかったようです。文献では同じように樹脂で固めていたのかもしれません。
AMSの測定器は買えません。まずは手ごろな帯磁率計で測定できる帯磁率から学びましょう。
2017年8月27日日曜日
2017年8月20日日曜日
QGIS で 走向傾斜
大量の走向傾斜データをCADにプロットする必要に迫られました。
以前、ArcGISで作図したときは非常に楽だったのですが、CADへ持ち込めないのが難点でした。https://phreeqc.blogspot.jp/2013/08/arcgis-101.html
それ以来、ずっとCADで作業をしていたのですが、今回は多すぎてウンザリ。
何とかならないかな?と調べてみると、以下のサイトが引っ掛かりました。
QGISを利用した地質図作成メモ
https://staff.aist.go.jp/t-yoshikawa/Geomap/QGIS_memo.html
QGIS で shp や DXF へ変換できれば儲けもの、と思い試してみることに。ついでに写真のジオタグから撮影位置をプロットしてくれるプラグイン Photo2Shape も入れてみました。少し引っ掛かりましたが、注意点の記載通りに作業すれば、すんなり動きました。
肝心の走向傾斜ですが、作業手順は Arc とよく似ています。ポイントを作って、走行傾斜の属性を与え、それを参照させてシンボルを回転させる、といった流れ。これなら大量のデータでも対応できそうです。
DXF出力もメニューにありました。できるかな?と試すと、すんなり吐き出しました。
が、CADで開くと、なぜか歪んでいます。JGD2011 を扱えましたので位置はあっているのですが、走行は別の方向を指し、傾斜も斜めになっています。
いくつかの設定を変えて試してみましたが、結果は同じ。ここまで来て、あきらめざるをえませんでした。
写真位置のプロットは DXF にしても問題なくできていました。撮影方向でシンボルを回転させていなかったので、上記同様の問題の発生する可能性が考えられますが、ま、とりあえず今回はQGISの動作確認ができたということで良しとしましょう。
結局、目的は達せず、前には進みませんでした。
何か良い手ないでしょうか?
*************************************
20170918
とりあえずは PDF 出力、Civil3D 側の PDFIMPORT で解決。Ver.Up での修正を待ちましょう。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/09/qgis-2.html
以前、ArcGISで作図したときは非常に楽だったのですが、CADへ持ち込めないのが難点でした。https://phreeqc.blogspot.jp/2013/08/arcgis-101.html
それ以来、ずっとCADで作業をしていたのですが、今回は多すぎてウンザリ。
何とかならないかな?と調べてみると、以下のサイトが引っ掛かりました。
QGISを利用した地質図作成メモ
https://staff.aist.go.jp/t-yoshikawa/Geomap/QGIS_memo.html
QGIS で shp や DXF へ変換できれば儲けもの、と思い試してみることに。ついでに写真のジオタグから撮影位置をプロットしてくれるプラグイン Photo2Shape も入れてみました。少し引っ掛かりましたが、注意点の記載通りに作業すれば、すんなり動きました。
肝心の走向傾斜ですが、作業手順は Arc とよく似ています。ポイントを作って、走行傾斜の属性を与え、それを参照させてシンボルを回転させる、といった流れ。これなら大量のデータでも対応できそうです。
DXF出力もメニューにありました。できるかな?と試すと、すんなり吐き出しました。
が、CADで開くと、なぜか歪んでいます。JGD2011 を扱えましたので位置はあっているのですが、走行は別の方向を指し、傾斜も斜めになっています。
いくつかの設定を変えて試してみましたが、結果は同じ。ここまで来て、あきらめざるをえませんでした。
写真位置のプロットは DXF にしても問題なくできていました。撮影方向でシンボルを回転させていなかったので、上記同様の問題の発生する可能性が考えられますが、ま、とりあえず今回はQGISの動作確認ができたということで良しとしましょう。
結局、目的は達せず、前には進みませんでした。
何か良い手ないでしょうか?
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20170918
とりあえずは PDF 出力、Civil3D 側の PDFIMPORT で解決。Ver.Up での修正を待ちましょう。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/09/qgis-2.html
2017年8月19日土曜日
みちびき
今日、準天頂衛星システム「みちびき3号機」の打ち上げがありました。
成功したようですね。
これまでの2機は踏査時に携帯している eTrex20x に捕捉・表示されています。残念ながらこの機種は(というか garmin は)補強信号L1Sに対応していませんので、以前の機種に比べ劇的な精度向上はありません。が、劇的な低下が少なくなったと感じています。
GNSS View では、3機目の軌道も表示されています。長い時間、上空に衛星が飛来するようになりました。これでさらに精度低下が少なくなると思います。
3号機によるL1SB信号は2020年頃から配信予定となっています。eTrex20x は SBAS に対応していますので、これから発売の新機種だけでなく、旧機種もファームの Ver.up 程度で活用できるようになれば良いですね。
http://qzss.go.jp/overview/status/st32_170616.html
http://qzss.go.jp/overview/services/sv03_signals.html
日本の宇宙空間利用は始まったばかりだと思います。今後は「宇宙ゴミ」対策も含め、独自の発想・開発に期待したいところです。
成功したようですね。
これまでの2機は踏査時に携帯している eTrex20x に捕捉・表示されています。残念ながらこの機種は(というか garmin は)補強信号L1Sに対応していませんので、以前の機種に比べ劇的な精度向上はありません。が、劇的な低下が少なくなったと感じています。
GNSS View では、3機目の軌道も表示されています。長い時間、上空に衛星が飛来するようになりました。これでさらに精度低下が少なくなると思います。
3号機によるL1SB信号は2020年頃から配信予定となっています。eTrex20x は SBAS に対応していますので、これから発売の新機種だけでなく、旧機種もファームの Ver.up 程度で活用できるようになれば良いですね。
http://qzss.go.jp/overview/status/st32_170616.html
http://qzss.go.jp/overview/services/sv03_signals.html
日本の宇宙空間利用は始まったばかりだと思います。今後は「宇宙ゴミ」対策も含め、独自の発想・開発に期待したいところです。
2017年8月17日木曜日
1mメッシュ( LP) の精度
LP の 1m グリッドデータを使用してサーフェスを作成し、縦横断を切っていました。
その後、なぜか実測してもらう機会があったのですが、結果を見て LP の高さの精度に驚かされました。誤差10cm未満でした。
木や草を除去する技術が向上したのでしょうか?5m でなく 1m だからでしょうか?GPS の精度が向上したのでしょうか?
いずれにしても、測量屋さんの技術と努力に脱帽です。
よく利用している国土地理院の 5DEM では、精度が50cm以内と感じています。こうなると、1m DEM を整備してほしいですね。
https://phreeqc.blogspot.jp/2012/11/5m_4.html
せっかく高品質の成果を提供いただいたので、最低限、それを損なわないようにしなくてはなりません。
LPだけでなく、UAVや3次元設計、その他のノベーションは続くと思います。それらの変化に遅れを取らず対応できるよう、こちらも努力して備えなくてはなりません。
その後、なぜか実測してもらう機会があったのですが、結果を見て LP の高さの精度に驚かされました。誤差10cm未満でした。
木や草を除去する技術が向上したのでしょうか?5m でなく 1m だからでしょうか?GPS の精度が向上したのでしょうか?
いずれにしても、測量屋さんの技術と努力に脱帽です。
よく利用している国土地理院の 5DEM では、精度が50cm以内と感じています。こうなると、1m DEM を整備してほしいですね。
https://phreeqc.blogspot.jp/2012/11/5m_4.html
LPだけでなく、UAVや3次元設計、その他のノベーションは続くと思います。それらの変化に遅れを取らず対応できるよう、こちらも努力して備えなくてはなりません。
2017年8月16日水曜日
簡易索道
設計者から計画変更の打診がありました。
「残念。モノレールを張り終えている区間ですよ。」と言っても、ポカンとされていました。案外、山中の調査のことは御存知ないようで、簡単にボーリングを追加できると思っていらっしゃいました。
モノレールを張ってしまうと、その途中から分岐を出せません。「追加がある」という可能性があればポイントをつけて張り進むのですが、今回は「ない」ことを確認してから施工していますので、変更には容易に対応できませんでした。
ま、現在の調査終了後に解体・架設を繰り返せば不可能ではないです。が、コスト高騰、工期遅延となりますので、お客様のためにも避けたいところです。
一昔前なら、モノレールから簡易索道を張って対応していたと思います。近年、これを張れるオペさんが引退され、対応できる方が少なくなりました。技術の伝承が途絶えつつある状態です(地域によっては現在もよく使われているのですが)。
幸い道具は残っており、手入れすれば使えるようになります。技術を有する方もまだ数名はいらっしゃいます。
途絶えてしまう前に、次の世代に技術を伝えてもらう場を設けないといけません。
「残念。モノレールを張り終えている区間ですよ。」と言っても、ポカンとされていました。案外、山中の調査のことは御存知ないようで、簡単にボーリングを追加できると思っていらっしゃいました。
モノレールを張ってしまうと、その途中から分岐を出せません。「追加がある」という可能性があればポイントをつけて張り進むのですが、今回は「ない」ことを確認してから施工していますので、変更には容易に対応できませんでした。
ま、現在の調査終了後に解体・架設を繰り返せば不可能ではないです。が、コスト高騰、工期遅延となりますので、お客様のためにも避けたいところです。
一昔前なら、モノレールから簡易索道を張って対応していたと思います。近年、これを張れるオペさんが引退され、対応できる方が少なくなりました。技術の伝承が途絶えつつある状態です(地域によっては現在もよく使われているのですが)。
幸い道具は残っており、手入れすれば使えるようになります。技術を有する方もまだ数名はいらっしゃいます。
途絶えてしまう前に、次の世代に技術を伝えてもらう場を設けないといけません。
GINA_OGS
OpenGeoSys に関する2冊目。
Thermo-Hydro-Mechanical-Chemical Processes in Fractured Porous Media: Modelling and Benchmarking
Benchmarking Initiatives
Olaf Kolditz, Uwe-Jens Görke, Hua Shao, Wenqing Wang, Sebastian Bauer
こちらの内容にはあまり興味がひかれなかったため、パラパラと眺めるだけになりました。日本のサイトの例が載っていたのは意外でしたが、ま、THMCといえば地層処分や貯槽のプラグ試験をまず思い浮かべますので不思議ではありません。日本人も海外のソフトを使用して頑張っているということでしょう。
最後の方に OGS と IPhreeqc の連携例が出ていましたが、これは1次元の輸送を試行されているだけでした。verification の一過程でしょうが、具体的な手順を示されていないので初心者の私には追いかけられません。 ま、tutorial ではなくbenchmarking なので、このような内容となったのでしょう。
引っ掛かったのは今回も Appendix。GINA といった pre & post が紹介されていました。検索してみると、こちらが開発を続けられているソフトのようです。
https://teambeam.bgr.de/my/?m=drive#!folder-68
Win10 にインストールしてみたのですが、動きません。マニュアルを見ると、いくつか OCX を要求しています。古い VB を引きずっていらっしゃるのでしょうか?
とりあえず 「Visual Basic 6.0 SP6 ランタイムファイル」を入れましたが、駄目。
http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/util/se342080.html
試行錯誤しましたが、以下のサイトの通り、VisualBasic6-KB896559-v1-JPN から Explzh (x64)で OCX を抜き、プロンプトから「regsvr32 comctl32.ocx」でOKでした。感謝。
http://g-taki.com/wordpress/web/6141.html
とりあえずはココまで。DXF の 3D face 等を読めるので期待しちゃいますが、機能確認は時間のあるときに持ち越しです。
*****************************
20170819追記
XYZ のポイントデータを読み込ませましたが、数が多すぎるとエラーを吐きます。簡易モデルだったのですが、この程度でダメなら使えません。
Gmsh のメッシュファイルもエラーで読めませんでした。
Thermo-Hydro-Mechanical-Chemical Processes in Fractured Porous Media: Modelling and Benchmarking
Benchmarking Initiatives
Olaf Kolditz, Uwe-Jens Görke, Hua Shao, Wenqing Wang, Sebastian Bauer
こちらの内容にはあまり興味がひかれなかったため、パラパラと眺めるだけになりました。日本のサイトの例が載っていたのは意外でしたが、ま、THMCといえば地層処分や貯槽のプラグ試験をまず思い浮かべますので不思議ではありません。日本人も海外のソフトを使用して頑張っているということでしょう。
最後の方に OGS と IPhreeqc の連携例が出ていましたが、これは1次元の輸送を試行されているだけでした。verification の一過程でしょうが、具体的な手順を示されていないので初心者の私には追いかけられません。 ま、tutorial ではなくbenchmarking なので、このような内容となったのでしょう。
引っ掛かったのは今回も Appendix。GINA といった pre & post が紹介されていました。検索してみると、こちらが開発を続けられているソフトのようです。
https://teambeam.bgr.de/my/?m=drive#!folder-68
Win10 にインストールしてみたのですが、動きません。マニュアルを見ると、いくつか OCX を要求しています。古い VB を引きずっていらっしゃるのでしょうか?
とりあえず 「Visual Basic 6.0 SP6 ランタイムファイル」を入れましたが、駄目。
http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/util/se342080.html
試行錯誤しましたが、以下のサイトの通り、VisualBasic6-KB896559-v1-JPN から Explzh (x64)で OCX を抜き、プロンプトから「regsvr32 comctl32.ocx」でOKでした。感謝。
http://g-taki.com/wordpress/web/6141.html
とりあえずはココまで。DXF の 3D face 等を読めるので期待しちゃいますが、機能確認は時間のあるときに持ち越しです。
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20170819追記
XYZ のポイントデータを読み込ませましたが、数が多すぎるとエラーを吐きます。簡易モデルだったのですが、この程度でダメなら使えません。
Gmsh のメッシュファイルもエラーで読めませんでした。
2017年8月13日日曜日
OpenGeoSys
OpenGeoSys Tutorial
Computational Hydrology III: OGS-PHREEQC Coupled Reactive Transport Modeling
Authors: Jang, E., Boog, J., He, W., Kalbacher, Th.
上記図書の発売案内が引っ掛かりました。
熱-水-応力-化学連成のできるソフトです。が、他のソフトより GUI が弱いため使用していませんでした。PHREEQC と連成できるようになったなら試してみたくなります。どのような例題が載っているのか気になりますね。
OpenGeoSys の最新版を確認がてら、手元にあった1巻を読み直してみました。
ジオメトリに利用しやすいのは shp ですね。境界やボーリング位置をラインやポイントとして読み込み、それらから2Dメッシュを作る流れ。メッシュができたら、それに複数の層を追加し asc 等で高さを与え、さらにメッシングします(メッシャーはGmsh)。
ここまではGUIで対応できます。が、残りの属性を設定するのはエディタ。やはり、実務では不利ですね。ま、メッシング~計算~ポストまで open source で対応できるのは喜ばしいことです。日本の研究者も頑張ってほしい。
基本的には他のソフトと同じで、各層毎に高さを用意しておけば成層構造のモデル作成は容易。が、全域にわたって高さを持たせないといけないタイプだと、レンズや断層などの表現が困難になります(今回は用意した asc を認識しなかったので確認できませんでした)。サーフェスの LandXMLがあるので、それを2Dメッシュとして読み込む機能を標準化してくれれば良いのですが、案外、この形式を扱えるソフトは少ないですね。USGS の DEM とか ArcGIS のshp や asc 等はよく見かけますので、海外のデファクトスタンダードに近いのでしょう。
見逃していた情報もありました。
appendix に地表流との連成の話が載っていました。これは MODFLOW とは異なり、stream 以外の領域も考慮するようです。MATLAB ベースの J2000 というツールを使うようですが詳細は不明。早速、作者にコンタクトをとってみました。楽しみですね。
不飽和輸送も扱えるのであれば、PHASTより多機能。モデル作成に労力は必要ですが、試してみたいところです。
Computational Hydrology III: OGS-PHREEQC Coupled Reactive Transport Modeling
Authors: Jang, E., Boog, J., He, W., Kalbacher, Th.
上記図書の発売案内が引っ掛かりました。
熱-水-応力-化学連成のできるソフトです。が、他のソフトより GUI が弱いため使用していませんでした。PHREEQC と連成できるようになったなら試してみたくなります。どのような例題が載っているのか気になりますね。
OpenGeoSys の最新版を確認がてら、手元にあった1巻を読み直してみました。
ジオメトリに利用しやすいのは shp ですね。境界やボーリング位置をラインやポイントとして読み込み、それらから2Dメッシュを作る流れ。メッシュができたら、それに複数の層を追加し asc 等で高さを与え、さらにメッシングします(メッシャーはGmsh)。
ここまではGUIで対応できます。が、残りの属性を設定するのはエディタ。やはり、実務では不利ですね。ま、メッシング~計算~ポストまで open source で対応できるのは喜ばしいことです。日本の研究者も頑張ってほしい。
基本的には他のソフトと同じで、各層毎に高さを用意しておけば成層構造のモデル作成は容易。が、全域にわたって高さを持たせないといけないタイプだと、レンズや断層などの表現が困難になります(今回は用意した asc を認識しなかったので確認できませんでした)。サーフェスの LandXMLがあるので、それを2Dメッシュとして読み込む機能を標準化してくれれば良いのですが、案外、この形式を扱えるソフトは少ないですね。USGS の DEM とか ArcGIS のshp や asc 等はよく見かけますので、海外のデファクトスタンダードに近いのでしょう。
見逃していた情報もありました。
appendix に地表流との連成の話が載っていました。これは MODFLOW とは異なり、stream 以外の領域も考慮するようです。MATLAB ベースの J2000 というツールを使うようですが詳細は不明。早速、作者にコンタクトをとってみました。楽しみですね。
不飽和輸送も扱えるのであれば、PHASTより多機能。モデル作成に労力は必要ですが、試してみたいところです。
ラベル:
MATLAB,
MODFLOW,
OpenGeoSys,
PHAST,
PHREEQC,
熱-水-応力-化学連成
2017年8月11日金曜日
泥岩の風化
後輩が泥岩のボーリングコアで、XRDをかけていました。
結果を見せてもらいましたが、比較的きれいに鉱物変化(ゾーニング)が出ていました。Chlorite の消失、Smectite、カオリンの生成、Plagioclase の減少等々。別途測定していたpH、pe も調和的です。化学的風化過程を理解しやすいでしょう。
良い素材でしたので、これなら簡単な計算ででも傾向は再現できると思い、手を動かしてみました。
使ったのはPHREEQC。database は wateq。
EQUILIBRIUM_PHASES は Albite、Anorthite、Chlorite、Kmica、Montmorillonite3種、Pyrite、Quartz。新鮮部の XRD 結果で量比を決め、exchangers を教科書を見ながら適当に入れて、雨を transportで流してみました。
結果は上々。
最初に Ab と An が溶解。Na, Ca 上昇。
実際は kinetic なので最後まで残るのですが、モデルは単純に瞬時平衡として取り扱いましたので、しばらくすると溶け終わりに近づき減少。緩衝機能が低下し pH がやや低下。同時に溶液中と交換基の Na、Ca が減少。
Chl が溶解し Mg が代わりに上昇・付着。M 生成。
さらに雨が入り上部で Chl が消失すると、pH さらに低下。M はやや減少しMgやAlを放出。Alは吸着されていますが、実際は gibbsite や Kaolinite に過飽和になっていますので、それらが析出していると思われます。
XRD結果 ではこの Smectite(とカオリン) のバランスの崩れている部分があるので、そこが abnormal (すべり面や水みち)と判断できます。「XRDかけました」だけで計算なしでは標準パターンをつかめませんので、異常は抽出できないでしょう。それは多くの場合、 XRDA 側ではなく、解釈する側のレベルの問題です(私も含め)。
そういえば、と思い後輩に千木良先生の「風化と崩壊」の話を振りましたが、後輩は知りませんでした。泥岩の風化過程が読み易く書かれており、当時ブームになった図書です。化学の苦手な地質屋さんも、「硫酸ができる!」などとよく言われていました。が、出版が22年前。後輩はまだ幼稚園~小学生。知らなくて当たり前です。
ま、地質屋さんのレベルが22年前から進歩したとは言い難い状況です。計算で根拠づけたり判断したりする地質屋さんはレアですので、図書や関連文献をよめば(幸い?)追いつけます。
一方、洋書では教科書レベルで熱力学計算による鉱物のゾーニングが表現されています。できれば、理論と現象の両面から物事を追える地質屋さんに育ってほしいところです。
結果を見せてもらいましたが、比較的きれいに鉱物変化(ゾーニング)が出ていました。Chlorite の消失、Smectite、カオリンの生成、Plagioclase の減少等々。別途測定していたpH、pe も調和的です。化学的風化過程を理解しやすいでしょう。
良い素材でしたので、これなら簡単な計算ででも傾向は再現できると思い、手を動かしてみました。
使ったのはPHREEQC。database は wateq。
EQUILIBRIUM_PHASES は Albite、Anorthite、Chlorite、Kmica、Montmorillonite3種、Pyrite、Quartz。新鮮部の XRD 結果で量比を決め、exchangers を教科書を見ながら適当に入れて、雨を transportで流してみました。
結果は上々。
最初に Ab と An が溶解。Na, Ca 上昇。
実際は kinetic なので最後まで残るのですが、モデルは単純に瞬時平衡として取り扱いましたので、しばらくすると溶け終わりに近づき減少。緩衝機能が低下し pH がやや低下。同時に溶液中と交換基の Na、Ca が減少。
Chl が溶解し Mg が代わりに上昇・付着。M 生成。
さらに雨が入り上部で Chl が消失すると、pH さらに低下。M はやや減少しMgやAlを放出。Alは吸着されていますが、実際は gibbsite や Kaolinite に過飽和になっていますので、それらが析出していると思われます。
XRD結果 ではこの Smectite(とカオリン) のバランスの崩れている部分があるので、そこが abnormal (すべり面や水みち)と判断できます。「XRDかけました」だけで計算なしでは標準パターンをつかめませんので、異常は抽出できないでしょう。それは多くの場合、 XRDA 側ではなく、解釈する側のレベルの問題です(私も含め)。
そういえば、と思い後輩に千木良先生の「風化と崩壊」の話を振りましたが、後輩は知りませんでした。泥岩の風化過程が読み易く書かれており、当時ブームになった図書です。化学の苦手な地質屋さんも、「硫酸ができる!」などとよく言われていました。が、出版が22年前。後輩はまだ幼稚園~小学生。知らなくて当たり前です。
ま、地質屋さんのレベルが22年前から進歩したとは言い難い状況です。計算で根拠づけたり判断したりする地質屋さんはレアですので、図書や関連文献をよめば(幸い?)追いつけます。
一方、洋書では教科書レベルで熱力学計算による鉱物のゾーニングが表現されています。できれば、理論と現象の両面から物事を追える地質屋さんに育ってほしいところです。
2017年8月6日日曜日
MT3D-USGS
ここ1週間ほど、現地踏査をしていました。
少し範囲を広げた予備踏査です。どのような地質が出ているか、構造の傾向は?等の確認段階です。あと、調査計画立案も兼ねています。どこをどのように調査するか、搬入はどうするか?など。どちらかというと純粋な地質踏査に近いこともあり、暑いけれども足は進みました。猛暑の中、私以上に動かれている現場の方、尊敬です。
今日は家でのんびり。
クーラーの効いた部屋でUSGSのサイトを見ていて気付いたのですが、MT3D の USGS 版が昨年9月に公開されていました。https://water.usgs.gov/ogw/mt3d-usgs/
MT3D-USGS capabilities and features include:
ゴロゴロしながら解説を読み進めていたのですが、反応計算では PHAST の方が詳細にモデル化できますね。残念ながらこれは圧倒的で、比較になりません。
一方、移流分散としては transport within streams and lakes が加わった分、適用範囲が広くなっています。SFT は1次元の例しか載っていませんでしたが、3次元でも理想的に動けば Dtransu より扱える問題が多くなるでしょう。GUI のプレができると実務でも使えそうです。もう少し待てばModelMuseに加わるかもしれません。
なかなか、all in one のソフトは出てきませんね。問題ごとにソフトを使い分けるだけなのですが、非効率と感じます。いえ、言い訳ですね。備えましょう。
少し範囲を広げた予備踏査です。どのような地質が出ているか、構造の傾向は?等の確認段階です。あと、調査計画立案も兼ねています。どこをどのように調査するか、搬入はどうするか?など。どちらかというと純粋な地質踏査に近いこともあり、暑いけれども足は進みました。猛暑の中、私以上に動かれている現場の方、尊敬です。
今日は家でのんびり。
クーラーの効いた部屋でUSGSのサイトを見ていて気付いたのですが、MT3D の USGS 版が昨年9月に公開されていました。https://water.usgs.gov/ogw/mt3d-usgs/
MT3D-USGS capabilities and features include:
- unsaturated-zone transport;
- transport within streams and lakes, including solute exchange with connected groundwater;
- capability to route solute through dry cells that may occur in the Newton-Raphson formulation of MODFLOW (that is, MODFLOW-NWT);
- new chemical reaction package options that include the ability to simulate interspecies reactions and parent-daughter chain reactions;
- ・・
ゴロゴロしながら解説を読み進めていたのですが、反応計算では PHAST の方が詳細にモデル化できますね。残念ながらこれは圧倒的で、比較になりません。
一方、移流分散としては transport within streams and lakes が加わった分、適用範囲が広くなっています。SFT は1次元の例しか載っていませんでしたが、3次元でも理想的に動けば Dtransu より扱える問題が多くなるでしょう。GUI のプレができると実務でも使えそうです。もう少し待てばModelMuseに加わるかもしれません。
なかなか、all in one のソフトは出てきませんね。問題ごとにソフトを使い分けるだけなのですが、非効率と感じます。いえ、言い訳ですね。備えましょう。
空調服
7月末から9月末まで外業の連続です。
夏が来た途端に、毎日外歩き!?とというのは昨年も同じ。で、す、が、空調服のおかげで夏場の作業も相対的に楽になりました。
その威力を忘れかけた先日、今夏初めて空調服を着ずに普通の作業着で山歩きをする羽目になりました。作業が終わると、昔はこんなに汗が出ていた?と思うくらいベトベト & 心臓バクバク。上半身は当たり前ですが、下半身も汗の量が違います。慣れって恐ろしい。もう空調服はなくてはならないアイテムになってしまいました。
先日、「今年はフード付きでも買おうかな」と店に出かけたところ、合うサイズは既に売り切れ。代わりに薄手のシャツとスペーサーを購入しました。スペーサーは昨年、当ブログ上で勧めて頂いたものです(148さん、ありがとうございました)。https://phreeqc.blogspot.jp/2016/08/blog-post_6.html
確かに、首からひもをぶら下げていても風が止まりにくくなりました。あとは袖口への通風が強化されればありがたいのですが。
もう一つ、ヘルメット。
タジマさんの風雅ヘッドフルセットが店においてあり、試着してみました。が、頭頂から前半分では、それほど効果を感じませんでした。しかも重い。最初だけかもしれませんが、モーター音も気になります。
毎晩、痛くなるのは後頭部で、そこが冷えれば儲けモンかもしれません。が、少し悩んで購入しませんでした。試すにはやや高価でしたので。
今年は現場で空調服を着ていらっしゃる方が増えたように思います。
少しでも良い環境を作り、夏を乗り切りましょう。
夏が来た途端に、毎日外歩き!?とというのは昨年も同じ。で、す、が、空調服のおかげで夏場の作業も相対的に楽になりました。
その威力を忘れかけた先日、今夏初めて空調服を着ずに普通の作業着で山歩きをする羽目になりました。作業が終わると、昔はこんなに汗が出ていた?と思うくらいベトベト & 心臓バクバク。上半身は当たり前ですが、下半身も汗の量が違います。慣れって恐ろしい。もう空調服はなくてはならないアイテムになってしまいました。
先日、「今年はフード付きでも買おうかな」と店に出かけたところ、合うサイズは既に売り切れ。代わりに薄手のシャツとスペーサーを購入しました。スペーサーは昨年、当ブログ上で勧めて頂いたものです(148さん、ありがとうございました)。https://phreeqc.blogspot.jp/2016/08/blog-post_6.html
確かに、首からひもをぶら下げていても風が止まりにくくなりました。あとは袖口への通風が強化されればありがたいのですが。
もう一つ、ヘルメット。
タジマさんの風雅ヘッドフルセットが店においてあり、試着してみました。が、頭頂から前半分では、それほど効果を感じませんでした。しかも重い。最初だけかもしれませんが、モーター音も気になります。
毎晩、痛くなるのは後頭部で、そこが冷えれば儲けモンかもしれません。が、少し悩んで購入しませんでした。試すにはやや高価でしたので。
今年は現場で空調服を着ていらっしゃる方が増えたように思います。
少しでも良い環境を作り、夏を乗り切りましょう。
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