2015年10月31日土曜日

岸壁と常時微動

物理探査学会の133回講演要旨集に、面白い事例発表がありました。


鈴木ほか「岸壁付近で観測される常時微動の特徴-焼津漁港の観測結果例-」

港湾で微動を計る場合に、岸壁からどの程度の離隔を取ると、構造物自体の影響を取り除くことができるか?という視点で測定をされた事例です。港湾だからでしょうか、応用さんなのに JU を使用していらっしゃいました。

結論としては、「高さ10mの岸壁なら、30m離れると良い。」かつ「岸壁と平行方向の成分に着目すれば良い」と言うもの。岸壁に近いと、サイト増幅特性をあらわすピークから低周波側のノイズが取れないようですね。また、離隔が30mなのか、高さの3倍なのかは結論づけられていません。今後のデータ収集に期待です。

2015年10月26日月曜日

GSFLOW のモデル作成手順

USGS の GSFLOW が Ver.1.2に up しました。

残念ながら、PRMS、MODFLOW を含め統合された GUI にはなっていないようです。前 Ver. 同様、必要に応じて個々の GUI 等を利用すれば良いという考え方でしょう。

モデルの作成方法は以下に詳細が掲載されています(以前からあったのでしょうか?知りませんでした)。ここでは、ArcGIS が活用されています。丁寧に書かれていますので、理解しやすいですね。
http://wwwbrr.cr.usgs.gov/projects/SW_MoWS/GSFLOW%20-%20Instructions%20for%20Input.html
https://wwwbrr.cr.usgs.gov/projects/SW_MoWS/GSFLOW.html


地表部のデータセットが揃っているとありがたいですね。
現場レベルだと、色々なサイトを巡って収集する必要があります。ある程度揃うかもしれませんが、手間でしょうね。

サンプルデータで計算後、可視化しようとして躓きました。
Model Viewer が MODFLOW の name ファイルを読み込みません。エラーを吐きます。おかしいなあと思って input フォルダーの nam ファイルを確認すると、相対パスになっていました。
input ファイルと output ファイルを一つのフォルダにまとめ、パスを外すと読みました。MODFLOWは相対パスで良くても、Model Viewer はダメなのでしょうか。あるいはパスの長さ?

とりあえず、手元で GSFLOW を動かせる環境は整っていますし、操作上の不明点もありません(実際は、手を動かし始めると出てくるのでしょうが)。
あとは気力でしょうか。地表流に地下水、モデル作成からキャリブレーションまでを考えると、二の足を踏んでしまいます。
どなたかやる気のある方、簡素化できるノウハウをお持ちの方、いらっしゃいませんかね。

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20200523修正
リンクが切れていたので、張り直しました。

2015年10月25日日曜日

測量の課題

最近、3次元で設計をしたい、CIMの実積を作りたいと言われる設計者が出てきました。

現段階で、CIMの本質を担う設計は数として少ないと思われます。それでも、国やソフトウェアベンダーがCIMを推進してきた影響(ブーム)が浸透しつつあるのかもしれません。

当然、要求と課題は前倒しになり、調査段階、測量段階に投げられます。最初からCIMのモデルケースというのが決まっておれば、3次元データを作る前提で各段階の計画もなされるのでしょうが、現状そうでないことの方が多いでしょう。
過年度まで測量・調査が順に終わってきて、いきなり3次元設計をしたいというようなケースもあります。その場合、設計会社の地質屋さんが3次元データを作成する必要に迫られます。当然、2次元地形から3次元を起こすのですが、これが手間。通常、測量実施会社に問い合わせても、3次元データで再提供されることはほぼありません。コンターや縦横断、一部の地形や端点は3次元になっても、各種構造物やその間の現況道路、水路など勾配を有するものの作成はマンパワーになります。

測量屋さんも腕に良し悪しがあり、2次元成果でも、その差は歴然となります。当然、腕の良い熟練者に依頼するのですが、その場合、使用されるソフトが3次元に対応していなかったり、3次元の経験がなかったりします。ま、当然ですね。設計側で「3次元地形が必要」と言い出したのは、ついこの間からですので。
3次元地形を取得するのに地上レーザーが良いか?というと、そうでもありません。構造物などは腕の良い測量屋さんに書いていただいた方が信頼できます。
一方、3次元地形に関するノウハウ習得は若い方の方が早いかもしれません。が、測量の腕がついてこないかもしれませんし、初期投資の実権を握っているのは経験のない executives でしょう。

全国測量設計業協会連合会では、CIMの推進に向けた情報共有・検討を行っているようです。
今後、3次元化を前倒しする上での測量段階での課題、要求精度と手法の整理など、何とかしなければなりません。

2015年10月22日木曜日

fractional step 法

太田ほか「混相流の数値シミュレーション」を読んでいて、本論と全く関係ないところに、ふと目が留まりました。

1点目、ナビエ・ストークスの解き方です。
既知の un から仮速度 u* を出し、そこから Pn+1 を出し、さらに un+1 を出すといった方法。これ、以前気になったのでよく覚えています。
この手法、名前があったのですね。fractional step 法というそうです。しかも1960年代に発表されていたようです。古いですね。

2点目、密度の変化がある場合の補正計算。
非圧縮流体だと密度を気にしなくて済むのですが、以前実施した深層崩壊などは密度変化が必ず伴います(考慮しないと再現できません)。
付録Aに密度変化を考慮する場合の補正法が載っていました。∇・u = 0でなく、∇・u =  -1/ρ・Dρ/Dt として上記の Pn+1 算出に組み込むというものでした。Dρ/Dt は取り扱う現象に合わせて考えて組み込みなさいということだと思いますが、ま、そこがミソなのでしょう。

肝心の本論はと言うと、ほとんど?といった状態。
まだまだ先は長そうです。


2015年10月18日日曜日

微動探査とボーリング深度

工学的基盤の深度が事前にわからないか?という課題に直面。

既往資料では不明、近隣のボーリングだと、掘削深度が100m級になりそうな現場です。
こういった場合、アレイを組んで S波速度構造を押さえておけば良いのでしょうが、川辺では欲しい位置に組めませんし、そもそも微動計の数も未だそろっていません。

こういった問題、他社さんも抱えられているようで、いろいろ工夫していらっしゃるようです。基本は常時微動にアレイ、表面波などを組み合わせ、事前に計算しておくパターンのようです。基盤岩分布を知りたいのであれば、重力異常を併用することもできるようですね。これは知りませんでした。どの程度のスケールまで妥当性が担保できるのか、知りたいところです。

常時微動と1/4波長則を使えば、ある程度重要な深度は出るでしょうね(と言いながら、1/4の意味を理解し始めたのはホンの4年前ですが)。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/11/blog-post_29.html
例えば、H/Vから推定される1次固有周期が1Hz程度であれば、平均Vs=100m/sとして、1/1=4H/100でH=25m、という目安にはなると思います。地震屋さんに言わせると「あてにならない」そうですが、目安が何もないよりは良いでしょう。ま、この深度が工学的基盤に該当するかどうかはまた別の話なのですが。

なんにせよ、アレイを組めない状態では話になりません。
微動計、数が欲しいですね。

地質断面図と工学的判断

久々に、頑固なおじいさん地質屋と出会いました。

私見ですが、おじいさん地質屋の傾向は、以下でしょうか?

長所
・よく山を見て、よく歩く。効率が良い。
・地質が好き。
・地質図を書くのが上手。思想が分かる図面が書ける。

短所
・経験論のみに頼りがち。
・思い込み(思い入れ)が強い。
・変化に弱い。聞かない。曲げない。
など

今回の地元のおじいさん地質屋さんは、切土用の断面図を作成されていました。が、純粋な地質分布の表現。思想を感じる断面図なのですが、土軟硬など掘削区分は入っていません。いろいろ言い訳をされていましたが、結局、設計者とお客様が、地質断面図ではなく工学的断面を書くように説得して、土軟硬対応のシンプルな絵を追加していただくことになりました。
自信あったんでしょうね。最後は怒っていました。おじいさんなのに。いえ、おじいさんだからでしょうか。

若い地質屋さんは逆でしょうね。
「省力化」という名のもと現場に行く機会が少なくなり、経験に裏付けされた判断に乏しくなるのは仕方ありません。一方、数学・化学・物理学などをベースとした知見やシミュレーションなどの工学寄りの技術をある程度携えてるようですし、順応が早いと思います。

熟練の方と若い方、組んで動いている会社もありますが、そういった会社は将来が楽しみです。
思想図だけではダメ、思想をベースとしない工学的断面だけでもダメ。設計者や施工屋さんは、その本質や作成過程は分からずとも、結果だけを利用されます。地質屋が思想図の上に工学的判断を載せられるようにならないとダメということです。

2015年10月13日火曜日

Vs と 密度

設計者と話をしていて、不思議に思ったことがありました。

地震応答解析に使うせん断剛性率 G を算出するのに、「PS検層は必要」と言われるのですが、「単位体積重量は一般値でOK」と言われます。ρに関し一般値を用いるなら、S波速度もN値からで良いのでは?と思うのですが、そうでもないそうです。
聞くところによれば、昔、言い始めた方が「PS検層は必要」の意見をお持ちだったそうで、それはその分野で常識となった。しかし、密度に関しては言われなかったので一般値のままであった。とのこと。最近、その方がおやめになったか何かで、「本当にそれでよいのか?」と振出しに戻りつつあるそうです。何事も得てして、そのようなものです。結局、「PSやるなら密度検層もやったほうが良い」という個人的な考えは崩れませんでした。

ところが今日、國生「地震地盤動力学の基礎」を読んでいて、「密度検層はPS検層より重要でないかも」という考え方に傾きました。以前、地震屋さんが言っていたことにも関連します。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/09/blog-post_45.html

考えが変わったのは157ページあたり。増幅率がVsの比に比例するという例が出ています。これがすべてではないでしょうが、こういったデータがあるなら、密度は一般値でもPS検層は必要!と述べられる理由が出てきます。要は感度の問題なのでしょう。
その後数ページはS波およびその速度比が利用されています。地震屋さんの世界では常識なのかもしれません。

調査計画を立てるにも、もう少し経験と知識が必要です。