2012年7月31日火曜日

起振点間隔

トンネル事前調査における弾性波探査の起振点間隔について、経験豊富(自称)な方より指摘がありました。

「はぎ取りの場合は30mでも良いけど、高精度解析の場合は25m間隔にするんだよ!(当然でしょ!)」
 
「知りません」と素直に答えて治めました。
 手法ではなく、「坑口部や地形、表層部の状況により」が正解だと思います。あえて言うなら、 はぎ取りの方が表層の影響を受けやすいので、間隔は密にすべきかと。(名称もトモグラフィー的なのか、高精度なのかも疑問です。)


しかし、過去を振り返っても、プロに頼りっきりでしたし、「その程度の間隔なのだ」と、ほとんど気にとめていない点でした。受振点間隔は5mで統一する場合もあれば、山中は10mと、混在させる場合もありました。起振点間隔は30~70m程度でしたね。土中発破で波が充分届く範囲かつ尾根-谷間を等間隔に近くなるよう複数の起振点を設けていたように思いますが、土被りの薄い箇所は密に、厚い箇所は粗にしたようにも思います。なぜ、その間隔にしたかは、きっちりとは理解していなかったですね。そういうものだと。
反省です。こういった指摘でも、考え始める役に立ちました。


 以下、参考書より関連箇所の抜粋。

・物理探査学会(2000)「物理探査適用の手引き」 p18より
受振点の間隔は、探査深度が浅い場合は5m、深い場合は10mにすることが多い。起振点は30~60m間隔に設置し、起伏の激しい地形の変換点などにも設けると解析精度が向上する。S波地震探査では受信点間隔ならびに起振点間隔とも、これより短く設定する。
 ・物理探査学会(1998)「物理探査ハンドブック 手法編 2」p126、127、129より
図2-17 尾根、谷で起振点追加
同図(b)のように起伏が激しい場合、起伏の頂部と底部に起振点(図中「s」)を設けることにより、起振点間を一様傾斜とみなせるようにしておくのが良い。
図2-19、20 1展開中の起振点  実際の解析では、表層から順次、速度と層厚を求めていく必要があり、それらの誤差が最下層の深度決定に大きな影響を与える。従って、測線内に適当な間隔で起振点を配置し、異なる起振点間隔の組み合わせで異なる層の速度値と層厚を精度良く決定できるよう計画するのがベストである。
・山岳トンネル工法Q&A検討グループ(2007)「山岳トンネル工法Q&A」 p49より
受振点の間隔は、探査深度が浅い坑口部では5m間隔とし、探査深度が深い中央部では10m間隔とするのが一般的である。また、複雑な地質状況が想定されるときには、測線全体について5m間隔で受振点が設定される事もある。起振点は100m以下の間隔で測線内に設定されることが一般的である。しかし、地形の起伏が大きい場合には、谷部や尾根部などの地形の変化点にも追加の起振点を設けることが望ましい。

明快な回答はないものですね。奥が深いのでしょう。
一度、プロに聞いてみましょう。




2012年7月29日日曜日

Relation between equilibrium and kinetic

以下の論文より、セメントの反応における Relation between equilibrium and kinetic について。

Matschei, T., Lothenbach, B., Glasser, F. (2007), Thermodynamic properties of Portland cement hydrates in the system CaO-Al2O3-SiO2-CaSO4-CaCO3-H2O, Cement and Concrete Research, 37(10), 1379-1410.
  • kinetic をまったく無視しているわけではない。例えば、CaO-SiO2-H2O 系では、stable phases である tobermorite と jennite が、準安定の C-S-H の生成によって抑制されている。C-S-H は熱力学特性の definite set を与えられ、その計算条件における他の安定な phases と共に反応に加わる事を許容されている。
  • kineticが重要であるという一方で、定量化に関与する部分は比較的小さい。そのため、熱力学的(平衡論の)アプローチが成功していると言える。
  •  反応に伴い、solid の bulk composition の変化するとタイプは、定量が難しい。1つのspecies がセメントに加わったり出たりすると、絶えず mass balance を再計算する必要がある。
  • kinetic is a best approach in conjunction with thermodynamic equilibrium calculations rather than as a separate exercise: the driving forces responsible for change have a thermodynamic basis and, moreover, comparison of calculation  and experiment shows that with few exceptions, the principal of local equilibrium is maintained, or nearly so, in the course of environmentally-conditioned reaction.
  • 多くの研究より、反応は数日~数週間程度と、比較的早い事が明らかになっている。
  • Thus while kinetics are important, much evidence indicates that, with the notable exception of C-S-H, the internal constitution of hydrated Portland cements tends to approach a thermodynamic equilibrium.

2012年7月28日土曜日

熊対策

「熊対策を実施しなさい」と指示を受けました。

隣接県が鳥獣駆除を本気ではじめたため、熊や鹿が県境を越えて逃げてきたようです。結果、熊の出現数は例年の倍だそうです。
で、そこへ調査に向かうわけですが、熊が迷惑というのは完全にこちらの都合でしょうね。熊にしたら人間が迷惑でしょうし、もともと彼らの住処ですからね。侵していくのはヒトの方です。


そういえば、入社試験の時、「構造物を作る事と自然破壊について論じよ」という内容の問題が出ました。何を書いたか忘れましたが、「自然を守りたいなら作らなければ良い」という他人事のような考えを書くわけにもいかないので、なかなか紙面が埋まりませんでした。
ヒトの都合で進められる事業にも理解できますし、地質屋ですから自然の理も理解しているつもりです。それらのバランスが崩れると、単に平衡点に戻るだけです。それだけです。

何事もやり過ぎはいけません。こちらに帰ってきます。
フィールドサインには気を付けて、進み過ぎない様にしましょう。


2012年7月27日金曜日

伸び盛りの技術者

伸び盛りの技術者は何でも吸収します。こちらも2件。

1人は現場作業ばかりで、 同年代の技術者に比べ自分は遅れているのではないか?と感じている若い方。大丈夫ですよ。教えた事はしっかり吸収しています。地質屋は若い内にこなした現場作業が財産になります。歳をとると、若い時のように馬力がなくなりますので、物理的に確認できる範囲が狭くなります。想像と知恵で補間できるかどうかは、若いうちの体験だと思います(と、偉そうに言っていますが、私が経験豊富なわけではありません。残念なのですが)。
当然、勝負する土俵に上がるために、そこで使用されている基礎理論は本を読んで自分で覚えないといけません。それが自分の体験している作業とどのように結びつくか、現場で丁寧に探せば良いと思います。

もう1人。
並列化のレクチャーを3時間でこなしました。短時間で並列化概要、使用方法からポスト処理まで説明できました。質問も的を得ています。打てば響くような感じの方でした。


この2人から感じた事は、自分も新しい事を吸収し続ける必要があるといった点と、知っている技術をより深くしないといけないという2点。知識を広げる、レベルを上げると言うのは簡単ですが、実践するのは難しいものです。が、その困難さは、頑張れとエールを送った若い方も同様なのです。彼らのように迷いながらも着実に進まなければなりません。

温故知新

困った技術者?の話を2件。

1件目は例の部長様。
理想や目標の高い事は良いのですが、そこへ向かって作業!となると、御自分では手を動かせません。いえ、昔なりには動かされるのですが、CADはできませんし、数値計算はもちろんムリ、3次元なんてとても、という状態。しかし、解析結果や可視化の結果はよく目にされているようで、「自分は”時間がなくて”無理だが、自分より若い世代なら誰でもすぐにできる」とでも思われたのでしょう。
3次元データ入力結果の引き継ぎをしたのが今日で4人目。説明時間は30分程度ですが、4回同じ説明を繰り返しています。部長様から次々と 人材が送られてくるのですが、説明の結果、皆、違う選択肢を選ばれ、部長様の思うように作業が進んでいません。世の中の出来るレベルと、現実論(時間、人材)で出来るレベル、着地点は違うのですが、なかなか妥協されないようです。

2件目。
 こちらの方もCADはできませんし、計算ツールもダメ。でも、アカデミックな事例や3次元は好き。自分で生産できないし、今のツールの使い方、選定法も分からないので、他人にあいまいな指示だけします。そのため、周りから避けられているのですが、それに気付かれていない点は同情にも値しません。
今回、私の担当している業務に非常に興味があるようで、向こうから近づいてこられました。やんわりと断ったのですが、気付かれないようです。仕方ないので、その方に任せる内容を、同年代の方(こちらの方はキレキレ)に相談しました。結論としては、見張員ぐらいしかないという寂しいもの。

 この2件から感じた事は、自分の立ち位置を正しく知り、今も、これからも、手を動かし続けないといけない!ということでした。ツールを使える事自体が偉いと思えませんし、時代遅れの技術者?が不要とも思いません。本質的な経験と、それに基づく適度な自信は重要です。ただ、それを表現する手段は、取り巻く環境に応じたものでないといけないということです。環境は常に変わりますので、手を動かし続けないといけないのでしょう。
古いだけでもダメ、新しいだけでもダメ、両方必要だということです。
温故知新にも通じます。




2012年7月25日水曜日

SGSim

「Sequential Gaussian Simulation で透水係数の3次元場を作る業務が出ていますよ」と連絡がありました。

いえ、会社としては実績がないので参加すらできません。

今後、この手の手法が一般の土木分野でも使われ始めるのでしょうか?
まあ、統計的手法として確立したものをトレースするだけですから、技術レベルはそれほど高くなく、お金もあまりかりません。流行り出すと広まるのは早いでしょうね(そういえば地質リスク学会はどうなったのでしょうか?全く、その活動を聞かないないですね。)

前にも書きましたが、地質屋もこの程度の事はできておいた方が無難です。
で、以前整理した250個程度の透水係数をSGSimで補間してみました。realizationは10と少なめ(教えてもらった業務は10,000 realizations)。 


 うーん。この程度。やはり、統計的手法は興味をそそられませんね。人によるのでしょうけど。


場の発生まではすぐにできますが、この後が大変ですよね。浸透流への取り込みはどうするのでしょう。要素に番号振って、それに透水係数を力技で当てはめて行けば終わりなんでしょうか。ソース、簡単に触れるでしょうか?

この辺が技術力の差のように思えます。



2012年7月24日火曜日

測量図面

測量屋さんはその仕事柄、きちっとした図面を作られる方が多いと個人的に思っています(適当に作る方が難しいと言われる方もいらっしゃいます)。しかし、中にはとんでもない方がいらっしゃいます。

先日、年配の測量屋さんと現場で打ち合わせをしていたのですが、その話し方が自信満々。その時はよく知っておられる方なのかなあ?程度に思っていました。次の日の午後に現場に行くと、既に作業を終えられていましたので、流石だなあと感心。

しかし、待てども成果が上がってきません。
結局、出てきたのが、1週間後。とんでもない図面でした。単点の表示が無い、マンガのような崩壊跡、横断と平面がまったく合っていない等々。そりゃ、早く済むはずです。ほとんど測っていないのですから。


もう一つの現場では、急いでいます!というのに、移動杭の初期値を測ったっきり、なかなか現場に現れない測量屋さん。しかし、成果を見て驚きました。地盤の細かい段差や亀裂、セメントの分離や移動位置をきっちり拾われてました。一目見ただけで、現場のイメージが再現できるのです。すばらしい図面でした。欲しい内容を理解されているのでしょうね。

腕が良いので忙しい、腕が悪いのでヒマというのは、どの職にもある程度共通すると思います(実際はその上に商売上手・下手が加わって分かりにくくなるのでしょうけど)。
ボーリング屋さんもそうですよね。難しい現場、サンプリングの重要な現場ほど、腕の良いオペさんに話が行きます。
地質屋も設計、工事の事を知っている、何を求められているのかを理解している人ほど、話が来るのでしょう。

そのような事を感じた、2枚の測量図面でした。