日本の研究者が日本の Landslide Susceptibility Map を AHP を用いて作成されています。
崩壊データとしては、「地すべり地形分布図」を利用されています。主として30~40年の期間しか扱えない災害データよりも、数百~数千年程度のイベントを反映した地すべり地形分布図の方が、susceptibility を見出す点で適している部分があるでしょう。
また、国外の研究者が作成するよりも地質を細かく取り扱われています。このあたりは国内の研究者の方が有利でしょう。このような文献を見ると、安心します。
この文献もそうですが、LSM を作成している文献では、基本的にはオープンデータが利用されています。検討ツールは異なるものの、どれも同じようなアプローチです。既に LSM の作成方法や考え方はある程度確立されていると言えるでしょう。
問題は、どの作り方、どの特徴量の選び方が良かったのか比較する場がないことです。文献では、当然「自分たちの提案手法は良い性能を出したよ」「今後も改良していくよ」で終わっており、他の文献と同じデータを使って手法を比較する、優位性を示すまでには至っていません。画像分類における ImageNet のように標準的なデータセットがなく、ILSVRC のように比較する場もありません。このようなデータセットや場の提供を学会等が担うべきだと思います。
機械学習を使えば信頼性の高いマップができるわけではありません。研究者が切磋琢磨できるような場ができて初めて、マップや機械学習の信頼性が向上し始めるのです。まだまだこれからです。
0 件のコメント:
コメントを投稿