2022年5月22日日曜日

地質の精度

新年度になってから、BIM/CIM 活用ガイドライン(案)の詳細を見ていませんでした。

4月に共通編令和4年4月版の地質に関する箇所をざっと確認し、 昨年度と大きく変更されていないことがわかったので、後回しにしていました。

改めて確認を進めていたところ、地質の照査の箇所で気になる点がありました。「補間アルゴリズム記録シート確認」です。これは昨年度版にも記載があるのですが、今年度は記載例が載っていました。
第一印象は”面倒”です。これ、10層作れば10層分のシートを要求しているのと同意です。流行らないでしょうね。

シートには最適化誤差も記入されていますが、塩野先生の文献を読んだ方でないと記号の意味すら理解できないでしょう。ちなみに、GEORAMA は最適化誤差を吐き出しません。非対応です。

最適化誤差も大事ではあるのですが、印象としては片手落ち。使用した関数に対しどの程度誤差を許容したかよりも、想定した関数が実際の分布とどの程度異なっているか(どの程度適切に表現しているか)の方が大事です。数値解析で言えば verification だけ示して validation に触れていないガイドラインになっているような印象を持ちました。

といっても、実際の分布との差を示すのは難しいでしょうね。いえ、技術的には地球統計学を使って確率で表現すれば良いのですが、不確かさのみを表現するためのモデリングが別途追加になります。地質分布の不確かさを定量的に取り込める設計法が生まれつつはあるものの、現状ではオーバースペックでしょう。そもそも、一般的には統計に耐えうるほどの数のボーリングを掘るわけでもないですから、相応の重要構造物でしか成り立たないでしょう。(余談ですが、地質リスク学会?があるのに地球統計学を利用している話が聞こえてこないのも、このあたりが関係しているのかもしれません。)

とは言え、使用アルゴリズムとパラメータの 伝達は参考になると思います。前段で作成された地質分布に対し、ボーリングの追加箇所以外の断面をなるべく変えたくない場合などに役立つかも。

私ならシートを簡略化して提出するでしょう。
何気なく掲載されたような1枚の図でしたが、引っかかる図でもありました。

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