2021年12月12日日曜日

個別要素法でのパッキング

初めて3次元で DEM を扱っています。

理論は連続体に比べて単純。小さなモデルは特に問題なく流せました。
が、数万~数十万の粒子を扱いだしてから、パッキングで躓きました。結果が初期状態に大きく依存するのです。パラメータよりも、影響が大きいのかもしれません。

パッキングについて具体的なノウハウが書かれている図書、文献は見当たりません。手元の資料で関連する記述があったのは以下の通り。

伯野元彦「破壊のシミュレーション」よりDEM のパッキング方法です。
a) 規則的に配置する方法
b) ランダムに配置する方法
1. 棄却法
2. 局所移動法
3. 割込法
4. 落下法
5. 成長法

Catherine O'Sullivan 原著「粒子個別要素法」より
1. ランダム生成(半径拡大法、段階圧縮法)
2. 構築法
3. 三角分割
4. 重力堆積法

高橋ほか「個別要素法によるアスファルト混合物解析の要素パッキングに関する一検討」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalpe1996/2/0/2_0_229/_article/-char/ja/
規則的にパッキングする場合、配置条件によって変形に方向性が現われやすい。
規則的な配置では、単一粒子径が望ましい。
粒子分割の粗密、すなわち粒子半径も解析結果に影響する。その程度は要素モデルによって異なる。
必要とする精度を満足する範囲で最も大きい粒子径を選定するのがよい。
要素モデルの組成(バネ要素とダッシュポット要素の組み合わせ)と、その物理定数のみではなく、パッキング方法も含めて個別要素の集合体モデルを構築しなければならない。

 

パッキング状態によって結果が大きく異なる事象は、DEM 界では良く知られているようです。この、「何とでもなる」という自由度が辛い。地盤を DEM で適切に模擬するのは、連続体で初期応力状態をつくるよりもかなり難しいと感じます。選択するパッキング方法、その組み合わせ、ノウハウは技術者の経験で培われているといえるでしょう。
が、逆に以下のような考え方もあるようです。

地盤工学のための個別要素法_7_パラメータの設定と土と地盤の作り方(その2)
「その作業ができるところがDEM解析の強みでもある。解析者はその地盤作成の深淵を感じながらも、速く、効率的に解析対象となる供試体や地盤をつくる必要がある。」

経験を積んで深淵を俯瞰できるようになりたいものです。

**************************************
20211217
粒子個別要素法の記述を追記。

0 件のコメント:

コメントを投稿