2021年6月13日日曜日

Centroid Single Force Inversion

土砂移動と振動にかかわる文献を読んでいますと、Centroid Single Force Inversion という手法がよく出てきました。

周辺で観測された波形から崩壊の規模や方向を Inversion で求めようといった内容です。日本人が火山分野で報告された文献がよく参照されていますので、もともとは Made in Japan の技術でしょうか。そういえば、2011年の奈良県の深層崩壊に対して、当時、京大の方が報告されていました。が、それ以降まったく聞きませんので、海外の方がここ10年ほどで昇華されたのでしょう。

ベースは地震分野で震源を求めるのに開発された手法のようです。CMT 解というキーワードはよく聞きますが、内容は知りません。良い機会なので調べてみました。キーワードは以下の通り。概要は理解できますが、手を動かせるまでには理解できていません。

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共立出版「地震学」p114-116
地震波はすべり量と等価な力系(単力源(シングルフォース)とモーメント)で表現される。
モーメント:力の強さ×軸と作用線の距離
作用線:力の作用点から力の向きに引かれた直線
モーメントテンソル:偶力のモーメント9成分
偶力(couple):強さが等しく向きが反対で作用線が異なる2つの単力源 (single force)
単偶力 (single couple)):1組の偶力・・・回転する
双偶力 (double couple)):2組の偶力・・・回転を打ち消す方向

丸善出版「地震 どのように起きるのか」p37-38
グリーン関数:Gin(xi,t;ξi,ζ)
連続体の運動方程式の非同次項ρfiに強制振動としてのデルタ関数(インパルス=震源)を与えた場合の解
=ある方向のインパルスが時刻ζに瞬間的に位置(ξ1,ξ2,ξ3)に働く場合に現れる、同方向の地震動(変位)
δ(xi-ξi):xi=ξiの位置にインパルスが発生。iは地震動(変位)の方向。
δ(t-ζ):t=ζの時間にインパルスが発生。
ρfi=δinδ(xi-ξi)δ(t-ζ):体積力n=iの方向にインパルスが発生

共立出版「地震学」p120-122
発震機構の推定
・P波の極性による方法
・セントロイドモーメントテンソル(CMT)インバージョン(波形を利用した方法)
震源、観測点の位置、構造が既知であれば、シングルフォースやモーメントテンソルごとに理論的に変位波形を計算することができる。
u(xi,t)=Σj,k∫Gij,k(xi,t;ξi,τ)Mjk(ξi,τ)dτ
ξiにある点震源に働くモーメントの各成分は共通の時間関数T(t)と振幅αjkで表現(Mjk(t)=αjkT(t)) されるとすると
u(xi,t)=Σj,k[∫Gij,k(xi,t;ξi,τ)T(t)dτ]αjk
となる(変位uは振幅αの線形結合)。正確なGが既知であれば、最小二乗法を使うことでモーメントテンソル6成分の振幅を求めることができる
時間関数を仮定しなくても、両辺をフーリエ変換すれば観測変位スペクトルとモーメントテンソル各成分のスペクトルを線形結合の形にできる。
得られたモーメントテンソルをλ1=-λ3、λ2=0となるように回転させることで断層面の向きがわかる。
これらの手法では、構造の影響を正確に評価できるグリーン関数を用いる必要がある。
震源領域のモーメントの重心 (centroid) と規模も同次に求めることになる。=CMT解

朝倉書店「地震と地盤振動」p1
u(xi,t)=Σj,k∫Gij,k(xi,t;ξi,τ)Mjk(ξi,τ)dτ
周波数領域では、畳み込み積分は2関数のスペクトルの積となる
U(ω)=G(ω)M(ω)

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