2018年7月15日日曜日

ハザードマップとバイアス

先週の西日本豪雨がトリガーとなり、ため池が決壊or決壊の危険性が続いている報道を見ました。

中には、上流の崩壊土砂がため池に流入した後に破堤したものもあったようです。そうなると、土石流に近くなるのでしょうね。
自治体はため池が決壊した場合のハザードマップを公開しています。が、その危険度は浸水深さと範囲、到達時間として表現されていました。静水と流水では、同じ水深でも威力が違いますし、土砂を含むとさらに違います。過去には、石を含むと深さ20cmでも歩けなくなる人を見てきました。ハザードマップ1枚で伝わる内容は、見る側の経験に依存するでしょう。

手元に日本地すべり学会誌5月号(No.3)があります。H26年8月豪雨で斜面崩壊が発生し、ため池に流入した事例が記載されています(研究報告の趣旨は異なります)。斜面崩壊から破堤といった事例は、マイナーケースのようでした。自治体にとって、おそらくマイナーケースまで率先して予防措置をとる財力はないでしょう。ハザードマップで一律に危険性を伝えたうえで、弱い堤防から補修していく方針だったのでしょうね。

ハザードマップを作る側も、見る側も課題の克服が必要です。課題は日本地すべり学会シンポジウムH30年6月の中でも指摘されています。多くありますが、個人的には、活用する側のバイアス除去が難しいように感じます。
根本的には、幼少時からの教育が効果的でしょう。短期的な効果を求めるのであれば、極端ですが、人命へのリスク表記、例えば○○警報が出てから〇時間までは避難可能かつ軽傷で済む範囲、〇時間で命の保証はない範囲、などと表記すれば、見る側の意識も変わるのではないでしょうか(技術論で考え出すと難しいと思われますが)。現状ダメならどうにかして克服するしかありません。

考えさせられますね。

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