2016年2月28日日曜日

発注者の実力

最近、洪積層の圧密沈下に対し、先輩から2件の問い合わせがありました。

といっても、関空のように大型構造物を載せるような問題ではなく、一般の軽量構造物に対し「なぜ洪積層の圧密は考えなくてよいのか?」といったような基礎的内容。それをお客様に納得いただけるよう、その方のレベルに合った資料・図書を探されていました。「洪積は圧密しない」と明文化した資料は探しても出てこないでしょう(逆はありますが)。

最近、ネット検索や辞書を引けばわかる用語の定義から、高校レベルの数学の解説まで、報告書への記載を求められることが増えたように感じます。また、上記の例に限らず、大学の授業で習うような基礎事項や基準書の記載内容を「私達素人にわかるように記載すべき」「説明責任の範疇」と認識されているお客様も少なからずいらっしゃいます(記載すべき内容もありますが)。たまに、「基準を持っていないので報告書に添付すること」と仰る兵も。
また、現場に来られないので苦労・価値を分かっていただけない、現場へ指示をしながら後で「費用は出せない」など、サラッと言われる方も。
その他、支払えないが検討結果の記載は残して欲しい、支払えないが基準が変わったので新しい基準を適用してほしい、etc.。ま、ヒトの世です。このヒトの世を強かに生き抜いている技術者、経営者の方々は、さらに兵といった所でしょうか。

数年前、日経コンストラクションにて発注者実力ランキングが掲載されていました。法令遵守は勿論、上記のように経済性管理?のみでなく、総合的なマネージメントに長けている行政や会社が上位に入っているのでしょう。何らかの競争原理が働いているのかもしれません。
良いものを作るためには、双方の力が必要だと思います。

2016年2月27日土曜日

琉球石灰岩と地下水

最近、「ブラタモリ」を見るようになりました。
http://www.nhk.or.jp/buratamori/index.html

タモリさんが全国を散歩しながら、その土地の文化や歴史などに触れる番組です。最近は、地形・地質・地下水の話が毎回入っており、歴史上の人物や町のつくり方などとの関係を紹介されています。

今日は沖縄・首里でした。
首里城へは行ったことがないのですが、あのような高い位置にあったのですね。地質は透水性の低い島尻泥岩の上に透水性の高い琉球石灰岩が載っている構造だそうです。その境界から地下水が湧水している状況を分かりやすく説明されていました。

島尻泥岩・琉球石灰岩と聞いて思い出したのが宮古島。地下水の受け皿(地下水盆の底)になっています。地下ダムの建設でも有名です。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/tisitu/t_tikasui2/index.html
以前、水収支の関係で浸透流をかけたことがあるのですが、すっかり忘れていました。本島にも分布し、しかもあのような高い位置に分布しているのですね。


首里城から町に降りて井戸の中を覗いた映像にも驚きました。
井戸の中を地下水が流れています!
ま、石灰岩ですし、宮古島の崖からも流れ出てますので当たり前なのでしょうけど、絵的にプチ衝撃でした。浸透流かけたときには(スケールが異なったこともありますが)、ココまでイメージできていませんでしたね。ちょっと反省。
でも、昔の人はどうやって水脈を追って井戸を作っていったのでしょうか?現代のような探査機器はないですし、棒を叩き込んで耳をあてて音でも聞いたのでしょうか?やみくもに掘ったのでしょうか?死活問題ですから鍛えられたのでしょうねえ。水脈探しの効率的な技が残っているのなら、拝聴したいものです。

地形・地質・地下水、昔の方はうまく利用されています。残念ながらその知恵のいくつかは失われているのでしょう。
このような内容を紹介される番組はレアですし、仕事とは異なった目線で純粋に楽しめます。続いている間は見たいと思います。

2016年2月23日火曜日

LS-RAPID 2.1 の収束性

LS-RAPID Ver. 2.1 で、斜面横方向に向かう土砂の飛び出しが発生しました。

どうして急に勢いがついて飛び出すのか?は、以前から疑問でした。LS-RAPID で計算を行うと、頻繁に「粒子法?」と見紛う結果が出てきます。

今回のケースでは、メッシュ間隔(5m)を dt(0.01s)×v(500m/s) が超えたときに発生していました。これを起こさないように、v に応じて dt を自動設定してくれる機能があるのですが、こちらもうまく機能しないようです。いえ、機能しているのかもしれませんが、そもそも、500m/sなどと、自由落下を超えた異常な速度が発生してしまえば、dt をいくら細かく刻もうと速度はすぐに低下しないのでしょう。なぜ、このような異常値が出てしまうのでしょうか?

まず疑うのは反復計算の収束判定値が甘い点。
これについては以前、五大さんのサポートに問い合わせたことがあります。が、残念ながら、五大さんはソルバーの中身にはノータッチだそうです。京大の先生の制作になっていますから、著作権含め分担・契約がきっちりあるのでしょう。

再度、サポートさんに詳しい話を伺ったところ、LS-RAPID では「反復回数だけ決めて、収束判定をしていない」とのこと。驚愕です。ま、サポートさんも詳しいことは御存知ないのかもしれませんので、真偽のほどは分かりません。ですが、どのような異常値が出ても発散せずに(途中で計算が止まらずに)、計算が最後まで続くことや、体積がどんどん増えていくこと(支配方程式が解けていないこと)などを考えると、辻褄は合います。収束判定値が甘いといったレベルでなく、「反復回数だけ決めて、収束判定をしていない」といった理解の方が正しそうです。

そうなると、不自然でない計算結果が得られても、途中の計算で収束しているかどうか、現状では判断できません。サポートさん曰く「それなりの形になれば収束していると判断している」とのこと。つまり、異常な速度が出たり、土砂が飛び出すような結果になれば、途中で発散、収束していないと判断するそうです。うーん。
一つの手としては、計算中に体積変化をチェックし、増え出したら OUT と判定する方法があるでしょう。ただ、増えなかったことはありませんし、判定できても対策はありません。つまり、現状、お手上げです。

緩い地すべりでは体積も増えないそうです。LS-RAPIDは、このような緩い、ゆっくりした動きでないと、本来適用できないのかもしれません。急斜面での崩壊や土石流などの問題に適用するにつれ不具合が生じ、それを押さえ込むパラメーターを追加していった、という経緯のようです。支配方程式やアルゴの点では、崩壊に対しても比較的安定して答えの出せる LSFLOW の方が、現段階では優秀ということでしょう。
LS-RAPIDは、次の Ver. に期待することにして、当分寝かせておきましょう。


2016年2月18日木曜日

崩壊の順序

土砂移動シミュレーションにおいて、その予測は難しいと思います。

過去の再現と今後の予測では同一地形を用いないため、厳密には同一のパラメーターを用いることができません(問題にならない精度の現場が多いように感じていますが)。実務では目的に応じ安全側を配慮して同定値を評価・予測に利用するわけですが、本来なら地形勾配や曲率でパラメーターの相関を探るといった一手間を加える必要があるのでしょう。古い技術ですが、これらに関し十分に議論されてきたとは言えません。まだまだこれからの分野だと思います。

予測は難しいのですが、過去の崩壊の分析には非常に有効なツールだと感じています。
何度か再現解析を行っていくうちに、「ココが先に崩れないと、この堆積形状にならない」「ココの小さなすべりを無視すると、土砂の流下方向が全く異なってしまう」などといった事例に遭遇しています(以前に書き残しているかもしれません)。 つまり、現況再現をする過程で、崩壊の位置・順序などが決まる場合があるのです。
また、崩壊面の位置・形状などといった根本的な3次元地質モデルが、結果を大きく支配することを示しています。地質屋さんの力量が非常に重要になってくるのです。

シミュを行うことで、地質解釈上の2事項のあいまいさが解消します。提示した地質モデルの妥当性と推定したメカニズムの妥当性です。これらを自身で検証できるのです。これは土砂移動のみならず、浸透流や弾塑性シミュなどにも共通します。
言いっぱなしでは技術力の向上は見込めません。観察・推定・検証・修正、これの繰り返しで地質屋になれるのだと思います。

土砂移動シミュ、ありがたく利用しましょう。


2016年2月16日火曜日

LS-RAPID の通常値

LS-RAPID のマニュアルには解析パラメーターの通常値が掲載されています。

参考にされたと書かれている文献を確認してみましたが、大きく外れている値もありました。

Sassa et al.(2010)An integrated model simulating the initiation and motion of earthquake and rain induced rapid landslides and its application to the 2006 Leyte landslide, Landslides, Volume 7, Issue 3 , pp 219-236

すべり面の運動時の摩擦係数の設定値が書かれていませんが、試験結果は39°程度になっています。

他の文献も高めです。
広島の土石流が37.5度。

佐々ほか(2014)高速長距離土砂流動現象の発生メカニズムと地すべり発生運動統合シミュレーション(LS-RAPID)を用いた広島土砂災害の再現, 国際フォーラム「都市化と土砂災害」p85

雲仙眉山は40度です。

Sassa et al.(2014)A new high-stress undrained ring-shear apparatus and its application to the 1792 Unzen –Mayuyama megaslide in Japan, Landslides, Volume 11, Issue 5, pp 827-842

通常値が25~35度とされていますので、公開されている文献は全て高めの値となっています。
土石流の運動時の摩擦係数37.5度は、一見、違和感があります。飽和時の有効応力表示としての試験値かもしれませんが、流下する段階で物性は変化しているでしょう。ま、谷部で計算に使う値は飽和のτss に設定されているでしょうから、実際、φmほど刺激は強くないと思われます。

それにしても、公開されている文献、まだ少ないですね。


2016年2月14日日曜日

維持管理時代の落とし穴

維持管理、メンテナンス、点検、予防保全。聞こえの良いキーワードです。

高度経済成長期に多く作られたと言われる土木構造物ですが、これまで十分な維持管理がなされていたとは言えない状況でした。事故を契機に、これから本格的な点検・メンテナンスを受けることになるでしょう。

喜ばしいことだけではありません。
そこで露呈するのが、手抜き工事。

施工業者が分からない古い構造物はさておき、近年の施工業者が分かるもの、検査し合格を出した方が分かるものは、お困りになるでしょうね。いえ、困りませんか。ヒトの世です。
ま、補修+対策を行う、という結果は変わらないと思います。

これから始まる維持管理時代。上記以外にも、新たな問題は出てくるでしょう。


深層学習の適用

記憶や経験を何かに蓄積させておくというのは、必要だと感じています。

既に老化が始まった身ですので、これからは記憶がどんどん失われていくと思います。ある特定分野に対し deep learning が利用できるというのは、後身だけでなく、己にとっても役に立つかもしれません。

といっても、1から実装する能力・気力もなければ、うまく利用できる保証もありません。
といっても、手を動かさなければ何も始まりません。

ということで、今日はネットに転がっているコンパイル済みのバイナリと画像データセットを拾ってきて、テストしてみました。

まずはトレーニング。手元にGPU搭載機がないため、CPUのみで実施。数が少ないので3時間程度で終わりました。

で、学習させた区分の中にある「ゾウ」のデータを新たに拾って、判別させてみました。結果は以下の通り。

画像1・・・ゾウ90%
画像2・・・ゾウ40%
画像3・・・サイ40%

サイって。ま、画像を見ると何となくわかります。保育園入園前位の知能ですか。
ゾウの学習データは 数十枚程度であったため、様々なバリエーションに対応するにはもっと数が必要なのでしょう。

次は、iPhone。
ガラケーの画像は覚えさせましたが、どのように反応するか?

画像1・・・携帯電話 40%

それなりの答えですね。何をどう判別しているのでしょうか?

次は猫。これは学ばせていませんし、体全体が入っていません。どのように反応するでしょうか?

画像1・・・ザリガニ20%

なるほど。両耳がピンとなっているところを ザリガニのハサミと判定したわけですね。
案外、面白い。


当然ですが、正答率を上げるには、判定させたいカテゴリーの画像を事前に数百枚程度用意しておく必要があるようです。効率的に利用するとすれば、以下の通りでしょうか?

・判定の必要なカテゴリー数の少ない分野で利用
・同じようなスケール、画角で判定できる方が効率的


そう考えると、ぴったりの分野がありますね。
トンネルの支保判定です。
通常、判定に必要な項目の選定と重みづけを、実績支保でチューニングした結果を利用しています。 このチューニング作業、まさに deep learning が得意とするところでしょう。支保パターンも数種類ですし、画像は切羽正面、天端、側壁の3種程度でしょうから。

面倒ですが、そのうち試してみますか。

2016年2月11日木曜日

深層学習

先月末、Google の開発(買収)した AI が 囲碁のヨーロッパチャンピオンに5局全勝したニュースが流れました。

先輩がとても興味を持たれていたようで、「これ、○○に応用できないか?と考えている」などと話されていました。それ、できるかもしれませんが、豪華すぎです。

話題の深層学習(Deep Learning)ですが、個人的には興味のないところです。あえて言うなら、GPU を使用する、といったところに興味をそそられる程度です。

といいつつ、 今日は近くの本屋さんで「深層学習」を探してきました。
1冊は機械の棚に、 もう1冊は地質の棚にありました。何か地質に関係する内容が記載されているのかな?と中を見ましたが、特になし。後で考えると、「深層崩壊」と似たフレーズなので誤って並べられたのでしょう。
結局、興味をそそられず、購入しませんでした。

深層学習を身近なところで導入するとすれば、岩石鑑定でしょうか?
サーバーにアップされた画像を判別し答えを返す、といったようなシステムは現段階でも構築できるでしょう(正答率は別として)。そのような作業は情報地質学会にでも任せればよいでしょうし、個人的には面白みのない話に映ります。正しく判別できたとしても、そこに根拠はありません。やはり、鉱物の種類、形状、組み合わせを見て岩石名を決めるところに面白みがあると思います。

一方、工学屋さんにとっては正答率が高ければ問題ないわけですから、一定のニーズが生まれると思います。岩盤を掘って、ハンマーでたたいた音と写真をサーバーに送るだけで、岩石名や土軟硬区分とその確率を返してくれると、使いたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。もともと経験工学ですから、学習が進むほど正答率を上げて標準化されることは想像に難くないところです。

機械の強みは単純作業を長時間、繰り返し実施できることです。世代間で技術の伝承が途切れるというようなことはありません。酒を飲んで憂さを晴らす必要もありません。常時、トップスピード付近で何十年もブラッシュアップを続けることが可能です。経験工学分野では勝ち目のないような気がします。

囲碁で AI が人に勝利するのはあと10年かかると言われていたそうです。それが実現しました。さあ、3月の韓国での対戦はどうなるでしょうか。

2016年2月10日水曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その6

既に満足気味なのですが、本体の KScan3D 1.2 もテスト。

Driver Switcher から PrimeSense を適用後に KScan3D 1.2 を立ち上げますと、右側に画像、左側にScan のボタンがあります。「Scan」を押してみると、写真のように画像が取り込まれます。batch scan の設定もあります。
複数枚撮影後に、「Align」 で合成してくれます。自動で重ならない画像はマウスで近くに移動させてから「Align」すると、認識してくれます。

SCENECT と異なり、近くの人物や物をスキャンする用途に向いてそうです。Recap Photoで人物を作るのと似た感覚です。
書き出しは 3ds、stl、plyに加え、fbx も対応しているようです。十分ですね。

これで、ドライバーを容易に変更可能で、SCENECT、Fusion、KScan3D を使用できる環境が整いました。とりあえず、初期設定はココまで。


このKinect、AR (計測データの合成表示など)としての使い道も開発されています。地盤といった大きなモノには使いづらいですが、部屋ぐらいの大きさなら、流体解析結果(熱、空気の流れなど)と併せて表示させる使い道もあると思われます。というか、モデリングが楽ですよね。好きなものを好きなところに配置して、スキャンして取り込むだけですから。カーテンとか、椅子や壁に掛けた服とかでも容易にモデル化できますから、解析の幅が広がりそうです。

Kinectセンサー、まだまだ可能性はありそうですね。


2016年2月9日火曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その5

MS のドライバーで Fusion 以上のスキャン性能を提供してくれるソフトがあれば、解決です。

次はコレ。KScan3D http://www.kscan3d.com/

インストール中に、runtime などのサポートファイルが必要か聞いてくるのですが、その中に「PrimeSense」がありました。残念ながら、こちらも OpenNI のようです。ま、メッシュジェネレーターでもある点で、SCENECT と使い分けができそうです。
サポートファイルは既にあるものばかりでしたので、チェックを外して本体のみインストール。

開いてみると、興味を引くソフトが一緒にインストールされています。

「KScan3D Driver Switcher」

ひょっとして、ドライバーの切り替えができるのか!と期待してマニュアルを読んでみますと、できそうです。
http://manual.kscan3d.com/1.0/index.php/KScan3D_Driver_Switcher

まず立ち上げて、新しいプロファイルを作成し、add device で 個々にPrimeSense のドライバーを適用、保存。次にまた新たなプロファイルを作成し、MS のドライバーを適用 、保存。これで切り替え用の2つのプロファイルができました。

PrimeSense のプロファイルを Load し、Apply すると、数秒で適用でたようです。

SCENECT を立ち上げてみますと認識、Fusion はダメ。

次に MS のプロファイルを適用してみますと、

SCENECT はダメ、Fusion は認識。

完璧です!切り替え可能でした。すばらしい!
さすがに正攻法でのドライバーの入れ替えは不便なので、どなたか考えますよね。ラッキーです。

まだ続きます。




2016年2月8日月曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その4

Kinect V1 対応の Kinect for Windows SDK 1.8 を MS のサイトより DL。

インストールすると、デバイスマネージャーの表示が変わりました。Xbox 360 Kinect センサーを付けても「for Windows」で表示されています。


とりあえず、先の動画のリンク先より kinect-kamehameha_1.0b_for_KinectSDK を DL。解凍して動かしてみると、OK、カメハメ波が撃てました。SDK 1.8経由でも Windows10 で動作するようです。

続いて、Windows Developer Toolkit v1.8 をインストール。
Developer Toolkit Browser から Fusion Explorer を起動。カメハメ波でなく、こちらの機能が見たかったわけです。

残念ですが、結果はイマイチ。SCENECT の方が良かったですね。
STL やPLYで書き出せるのは良い点です。

ただ、この状態だと V2 対応の 3D SCAN はダメですし、SCENECT も当然認識せず、といった状況です。ドライバーの切り替えができないのでしょうか?

さらに続く。

2016年2月7日日曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その3

準備ができましたので、SCENECT起動。

ライセンス登録は後回し。
プロジェクトの設定を行って、start live tracking!


おお、画像が撮れています!部屋の中がスキャンできています!
4年前には既に見ていた Kinect の能力ですが、自分で実際にやってみると、あらためて驚きです。

とりあえず部屋の中をスキャンをして、PC内で見まわしてみました。できたモデルは微妙に傾いていますが、短時間でここまでできるのは非常に手軽ですね。扉などの大きさをPC内で測定してみましたが、大体あっています。スキャンだけで大きさが合う点は、写真から作成するモデルと決定的に異なります。Depth センサーのなせる業でしょう。

Recap photo などのSfMでは、通常、撮影対象を中心にカメラを移動させてモデルを作成します。一方、Kinect を使用したスキャンでは、それに加え、カメラを中心に外周をモデル化可能です。この点も、ユニークな特徴と言えるでしょう。

SCENECT は、スキャンが終わってからモデルを組み立てる仕様のようで、完全にリアルタイムとはいきません。が、結果はすぐに確認出来ますし、XYZの点群データとして書き出せます(DXFはCADで読めませんでしたが)安価なセンサー とソフトの組み合わせにしては、高機能だと思います。
バッテリー、インバーター、ノートPC 、Kinect を台車に載せるか、肩にかついで移動すれば、比較的自由に様々な対象をスキャンできそうです。屋外はダメですが、屋内や坑内で使えそうです。PCの代わりに、Raspberry Pi を使用して小型化されている例もあるようです。先の動画のように、ラジコンに載せてリアルタイムスキャンも、いつか実施してみたいですね。


ケーブルは大丈夫でしたね。Windows 10 で Xbox 360 Kinect センサーを認識できました。
次は、OpenNI でなく Kinect for Windows SDK での動作をチェックしてみましょう。

さらに続きます。

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20160208追記
Civil3D では DXF を開くことが可能でした。ソフトの性能なのか、マシンパワーなのか。

2016年2月6日土曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その2

地上レーザーのメーカーから Kinect V1 に対応したキャプチャーソフトが配布されています。
FARO SCENECT
http://www.faro.com/faro-3d-app-center/stand-alone-apps/scenect

信頼できそうですし、マニュアルに以下のように書いてありますので、最初はこれを入れることに。
・OpenNI 1.5.4
・SensorKinect driver (version5.1.2.1)
If these drivers are not available on your system, they will automatically be installed when installing SCENECT (if enabled during installation).
インストール後、早速立ち上げてみましたが、まだ駄目。Kinect を認識しません。

デバイスマネージャーを見てみると、「Xbox NUI Motor」のドライバーが入っていません。さらにドライバーが必要なのか、それともケーブルがダメなのか。

ネットで探して追加のドライバーを入れてみることに。

そのままでは署名なしドライバーをインストールできませんでしたので、BIOS で secure boot を off、立ち上げてから管理者権限でコマンドプロンプト、「bcdedit /set TESTSIGNING ON」を打ち込み再起動。

これでテストモードに入りました。
デバイスマネージャーから先ほどのドライバーのありかを指定すると、


あっさり認識しました。


先ほどとは逆手順で元に戻します。

bcdedit /set TESTSIGNING OFF
secure boot をon。



と、ココまでやって気付きました。「C:\Program Files\OpenNI\Driver」にドライバーがあるのですが、これ、SCENECT インストール時にコピーされています。SCENECTインストール時はテストモードでなかったのでインストールに失敗した、ということでしょう。順序としては、テストモード、SCENECT インストール、ですね。


続きは後日。


2016年2月5日金曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10

3D Builder に 「スキャン」のボタンがあります。

これをクックすると、3D Scan といったアプリ(こちらは Windows 10 のデフォルトで入っていません)と連動するようです。この3D Scan、センサーは Kinect なんですね。そりゃ、そうでしょう、両者ともMSです。HPを見てみると、V2 が必要のようですね。

そういえば、Xbox 360 Kinect センサーが眠っているな、と思いだしました。以前、PCにつなげようかと思い AC アダプターを購入しかけましたが、高かったのでやめていました。
この頃ですね。もう4年前ですか。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/02/kinect-hack.html

時が経ちましたので中古でも出ているかな?と思い調べてみると、OEM 製品が1000円で出ていました。動作するのか不安もありましたが、注文しました。


今日、届いたので、早速接続。
古い機種なのでドライバーがインストールされるかも、と淡い期待を抱きましたが、案の定、認識しません。ま、そうでしょうね。ドライバを入れないと。

続きは後日。


2016年2月1日月曜日

3D Builder

Windows10 にデフォルトで入っているアプリ「3D Builder」が、どのようなものか気になりつつ、寝かせていました。

先日、時間ができたので触ってみました。
簡易モデラーのようですね。入力フォーマットは STL だけでなく、FBX や DXF にも対応しているとのこと。良いですね。

これ、ビューアーとして使えないか?と思い、Civil3D やV-nas Clair のデータを読み込んでみました。

STL はダメですね。やはり色が落ちます。
DXF もダメ。 概ね再現できていますが、一部で修復が必要と表示され、余計な面ができます。修復すると地形が崩れます。文字やポリラインなども表示されないですね。
地層を見回そうとしましたが、180°以上回りません。残念ながら、お客様に dxf を渡しただけでは自由に見ていただけないようです。
 
やはり現状では、CAD データは Bentley View で 3D PDF に変換し、お渡しする方法が良いようです。オブジェクト表示の on • off が可能ですし、dwg の再現性も、そこそこあります。3D PDF Reader などのアプリを利用すれば iPhone ・ iPad の様な携帯端末でも閲覧できます。また、断面形状の確認なども可能です。現場での持ち歩きと説明が楽になりますね。
多くの方が手にしているツールで、見たい箇所をいつでも、どこでも、自由に閲覧できるようになったのはありがたいです。

4、5年前では、土木分野での3次元化のニーズは小さかったように感じます。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/09/3.html
最近は i-Construction や CIM 推進の影響を受け、地形・地質・構造物などの3次元モデルが利用されつつあるようです。が、その閲覧、データの共有については、依然、個別の対応が必要になっています。3D PDFの利用は現段階での1手段にすぎません。対応できないモデルもあります。

今後さらに進展し、モデル閲覧・共有の敷居がグッと下がこと期待しましょう。