2012年1月30日月曜日

地質の基本

久しぶりにセクションを見ました。3、4年ぶりだと思います。

例の sericitization した岩石です。
http://phreeqc.blogspot.com/2012/01/blog-post_23.html
http://phreeqc.blogspot.com/2012/01/jarosite.html
さすがに、セクションを見たら原岩が決めやすいですね。流紋岩質凝灰岩でした。長石類はほぼ全てSeに置き換わっているようです。
セクションを作ること自体、最近なかったのですが、これ、XRD よりもはるかに安上がりで、効果的ですよ。分からない岩石が出てきたら作るべきですね。

XRD のバルクでは、Qz 、Se が検出されました。細脈は Qz,、Se、Py、Chl、±Ca でした。
風化部では表面にK-Jaが吹いています。
実体顕微鏡では、Py も粒界や脈状部で存在しています。キュービックもあります。
セクションでは石基にもCaができていました。

さて、これらの岩石に雨水が反応するとpHはどうなるでしょうか?

流紋岩の場合、水質を支配しているのは主に亀裂にある鉱物です。そこには pH に大きく関与するCa、Py があります。今回の場合、溶解速度は一般的に前者が大きことなどから、初期は弱アルカリになるでしょう(実際、新鮮岩の pH 試験は弱アルカリになりました)。しかし、時間がたてば Ca が先に枯渇するため、強酸性となるものと予測されます。もちろん、比表面積によっては最初から下がり始めるということもあるかもしれません。
いずれにせよ、pH の最終値は、脈部の含有量比を測定しておけば PHREEQC で計算可能です。さらに、亀裂を含めた岩石の透水性を測っておくこと(困難ですが)、カラム試験などでpHの変化を時系列で測定しておくことが重要でしょう。時系列のデータがあれば、計算上のパラメーター(比表面積)をフィッティングで同定させることができます。そして、観察結果より導いた上記のモデルを検証することができるようになります。

これらのベースになるのは、地質です。
トンネルや切土による水位変化予測は、地質屋の作成する3次元水理地質モデル次第ですが、水質予測もこういった偏光顕微鏡観察、XRD 分析、実体顕微鏡観察といった地質の基本的要素の積み重ねが重要になります(当然、計算に乗せるための物理、化学、数学などの基礎も必要です)。

3、4年ぶりといったところが、基本をおろそかにしていた証拠です。気をつけましょう。

2012年1月29日日曜日

落石防護補強土壁

社内でアナウンスのあったTV番組「ほこ×たて」を見ました。

Geo BANK工法研究会の「落石防護補強土壁工法」に、「壊せないものは無い!」という職人が作った解体用の5tの鉄球を30回強繰り返しぶつけ、はたして壊れるか?壊れないか?を競わせる内容でした。(落石防護補強土壁のPR動画は研究会のHPにあります。http://www.geo-bank-sr.com/video/index.html

結果は惜しくも壊れてしまいましたが、これ、技術者へのPRは十分だったのではないでしょうか?
番組では同じ個所へ繰り返し鉄球をぶつけましたので壊れてしまいましたが、通常は落石が数10回も同じ場所に当たることはありません。また、緩衝材が壊れた段階で補修を行うと思います。
視聴者には「負けた壁」のイメージがつくかもしれませんが、プロにはその性能を示したように思います。

こういった番組に出演するということは、技術や商品への信頼、愛情があるのでしょうね。
技術者として見習いたいところです。

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2/1追記

今日、設計技術者とこの番組の話をしました。
この壁、土砂を中身に使っているので価格が安そうだと思っていましたが、やはりそれも利点の一つだとのこと。安くて施工が早いそうです。難点はやはり幅をとること。
破壊については、「最後は上向きの力をかけるように、えぐるように鉄球を当てていた。さすが破壊専門の職人。うまい。あの壁は落石用だから、下向きの力しか想定してないからね。」と仰っていました。そういう見方もあるんですね。

Optical Flow

OpenCV の optical flow 抽出を試しています。

2枚の画像より、輝度の勾配で抽出点をピックアップし、その移動量をベクトル表示させるアルゴを動かせるようになりました。といっても、アルゴは OpenCV が提供してくれますので、入出力を整える程度です。公開されているサンプルコードも、ほとんどが同じ流れです。

結果は、イマイチ。地すべりの傾斜量図、地上開度で試してみたのですが、アルゴとの相性がダメなのか、材料がイマイチ(LPでないものが含まれていた)なのか分かりません。単純に考えれば、両方ですが。

前者については、今回試した sparse な方法 (Lucas - Kanade 法)でなく、密な方法(block matching)を使えば改善するかもしれません。後者はレーザー測量限定で試してみれば分かるでしょう。

ひとつづつ潰していきましょう。

2012年1月27日金曜日

地質図を持ち歩く

今日、検尺立会に来られたお客様が地質図を持ってこられました。

地質が好きな方は過去数名いらっしゃいましたが、地質図を持って来られた方は初めてでした。聞けば、県内の地質図のセットを、常に持ち歩かれているようです。

これは良い!と思いました。
石を見れば地質が分かること、事前に調べる時間がなく現場に来てしまったこと等々、つい地質図を見るのを後回しにしがちです。しかし、一式打ち出して持ち歩けば、端末で調べる面倒さもありませんので、車中より気になった露頭が何かをすぐ確認できます。近くに変わった地質があれば少し足を伸ばして見に行くことも出来ます。広域の構造を現場で頭に入れられる点が大きいかもしれません。

その方、何十年も県内の地質を見てこられたため、分布を良くご存知です。しかも、土木が御専門で、地下水やグラウトなど土木工学と地質を対応させて覚えていらっしゃいます。素晴らしいですね。

私も真似して、現場道具の中に入れておきましょう。

2012年1月25日水曜日

BTV 観察

今日は午前中、BTV 観察を実施しました。

来週まで現場は休止中でしたので、気兼ねなく実施できました。いつもは試験や観察をすると掘進を止めることになりますので、気を使ってしまいます。

ボーリングマシンのワイヤーを巻き上げ、プーリーをセット。カメラを入れた後にケーシングにもセンタリング用のプーリーをセット。セッティング完了し、撮影です。最初から最後まで1人で実施したのは初めてでした。時間が掛かりましたね。いつもはオペさんがセットしてくださいますので、甘えていました。

しかし、こんなときに限って、孔崩れで4m程しか観察できませんでした。残念。

仕方ないのでモノレールに機材をつみ、スイッチバックして次の孔に運搬。そこで養生して今日は作業終了。他の現場へ移動しました。

続きは明日です。
順調でありますように!

熱赤外映像

先日、法面の老朽化調査で、久しぶりに熱赤外映像の撮影を行いました。

夜も明けぬ暗い内からセッティングし、お昼過ぎまで撮影です。
現場作業は簡単です。が、細かなノウハウが多くあります。設置方法、離隔距離と解像度、カット数、植生の有無、季節(温度変化)、天候(直射日光、雨、雪)、ターゲットの種類等々(といっても、私も色々教えていただいたのですけど)。

法面の老朽化調査で困るのは、クラックの原因推定。単に吹き付けが劣化しているだけで収まっているのか、地山からきているのか分かり難い点です。クラックが馬蹄形に入ったり、観測が行われていれば判断しやすいのですが、通常は背後がほとんど見えません。(そういう意味では、本来は地質屋の仕事ではないのかもしれません。)

そんな中、2年ほど前に熱赤外や打音調査を実施した法面について、お客様からお声がかかりました。「施工中で、ほとんど剥いだから見に来てほしい」とのこと。ありがたいことです。
早速、見に行ってきました。現場監督に湧水状況、空洞の状況を確認し、地山を見せていただきました。葉片状~塊状の蛇紋岩です。小断層から湧水があります。熱赤外の結果と比較すると、地山からの湧水箇所で温度差が出ていました。空隙ができていたのでしょう。また、新鮮岩でも「簡単に剥げた」と言われた箇所は温度差が出ています。当時は湧水も見られたので、地山からではなく吹きつけの間の空隙を流れていたのでしょう。水と接していた岩塊は、監督曰く、落ちてしまったようです。

地山を見て、熱赤外の結果をみると、「ああ、なるほど」といったように、案外解釈できます。
湧水のある小断層が3つありましたが、そのうち1つの方向は温度の差分画像に現れてるものの、残り2つは部分的、といったように、完全ではないものの、何かしらの要因を訴えていたようです。

こういったフィードバックを重ねていくことで、今後、より良い結果を示せるように思います。
地質屋の技術力が必要です。やはり地質屋の仕事なのでしょう。

2012年1月23日月曜日

Jarosite の生成

Jarosite の生成していた風化部で、pH試験をしていただきました。

結果、pH = 3。

Qz,、Se、K-Jarosite でそのような pH が出るか PHREEQC でチェック。予想通り、出ません。pyrite を含めなければ、このような値にはなりません。大部分が Jarosite になっているとはいえ、まだ pyrite が残っていることを計算結果は示しています。

では新鮮岩だとどうなるでしょう。
Qz,、Se、Pyrite を含め、open な条件で計算してみると、酸性水が発生します。予想通りです。
しかし、問題があります。Jarosite に不飽和なのです。pyrite が溶けて酸性水が発生 > Jarosite が生成といったモデルは正解に近いとは思いますが、まだ欠陥があるようです。

ちなみに、県内の流紋岩質凝灰岩を XRD でチェックしていただきましたが、見事に Qz + Ab です。Se は含まれていません。

さて、この岩石の原岩は何で、どのようにして現在の鉱物組み合わせになり、Jarosite が生成したのでしょうか?
専門の地質でも、この程度の実力です。まだまだです。