2026年1月7日水曜日

文献:montmorillonite dissolution

Reactive transport modelling of montmorillonite dissolution. Report for the safety evaluation SE-SFL – SKB.com

AI要約

背景
SFLのBHAでは、廃棄物を収めたコンクリート構造物をベントナイト(MX-80)で取り囲む設計であり、セメント系高pH間隙水との相互作用により主成分であるモンモリロナイトが溶解し得るため、長期安定性を評価する必要がある。モンモリロナイト溶解速度はpHと温度に依存し、低温ではpH依存性が弱まる。本検討は温度15 °Cの条件を対象とする。

手法
1次元反応輸送モデルをiCP(Comsol Multiphysics+Phreeqc)で構築し、PHASTも検証用途で使用。反応は、コンクリート側は主に平衡、ベントナイト側のモンモリロナイトは速度論で扱う。溶質移行は飽和条件下の拡散支配(Fick型)。

二つの分析体系を構築:
簡略系(ベントナイトのみ): 左境界にコンクリート間隙水を固定濃度(例:portlandite平衡)として与え、ベントナイト厚は2.0 m。右境界は閉鎖または地層水固定濃度の感度を実施。
完全系(コンクリート–ベントナイト相互作用): セメント系(廃棄物領域とコンクリート構造体)とベントナイトを明示的に連成(ベントナイト厚2.3 m)。
化学モデル:
熱力学データベースはThermoChimie v9b。
モンモリロナイト溶解はSato-Oda式(pH・温度・平衡接近度依存)。速度のpH依存性は15 °Cでは弱く、pH 8→>13でも増加は小さい(約2倍)。
コンクリート側の反応は平衡を仮定(OPCの劣化シーケンス:アルカリ溶脱→portlandite溶解→C-S-Hの脱カルシウム化等)。
境界水(簡略系)の例:
portlandite平衡のコンクリート間隙水は15 °CでpH=12.835。ベントナイト孔隙水・地層水の代表組成も提示(Table 6-1)。
感度解析:
拡散係数、モンモリロナイト反応表面積(SSA)、二次鉱物集合、境界条件(portlandite vs C-S-H平衡水)、ベントナイト組成・交換反応、コンクリート側の拡散係数・組成(アルカリ有無、廃棄物領域の寄与)など、合計21ケース(簡略系と完全系)を実施。
反応表面積の考え方:
高密度のベントナイトでは反応面がエッジに局在し、マスキング効果により実効反応面積が従来想定より小さい可能性。SSA=800 m2/gを基準としつつ、BET近傾の30 m2/g、およびTeradaらの式に基づく0.03 m2/gの感度を実施。

結果
簡略系(左境界=portlandite平衡高pH水):
参照ケースでは、10万年後の溶解フロントは約1.5 m、ベントナイト全体のモンモリロナイト残存は約24 %(すなわち約76 %が溶解)。進行は時間の平方根にほぼ比例し、拡散支配。
拡散係数を1桁低下(例:1.2×10^-11 m^2/s)すると溶解深さは約0.5 m、溶解質量は約28.5 %に減少(参照比で約3倍遅い)。
右境界を地層水固定濃度にすると溶解フロントは約1.4 m(10 cm程度の抑制)。
反応表面積の感度:30–800 m2/gの範囲では総溶解量への影響は小さいが、0.03 m2/gでは溶解が顕著に低下。
二次鉱物の許容により、溶液がモンモリロナイトと遠い平衡状態に維持され、溶解が進みやすくなる。二次鉱物の総沈殿モル数が少ないほど溶解深さは小さくなる。
portlandite平衡水より穏やかな境界水(C-S-H1.2平衡)では溶解深さが約半減(参照比)。
完全系(コンクリート–ベントナイト連成):
参照ケースでは、10万年後にベントナイト全体で約30 %が溶解(約70 %残存)。界面から約0.25 mは枯渇し、全厚で部分的影響。
界面pHは時間とともに低下し、約10.5–10.8に収束傾向(30–40 kyr)。拡散・供給が時間依存のため、フロント進行は単純な√t直線からわずかに外れる。
コンクリート側拡散係数の感度:Deを参照から3.5倍小さくすると溶解は約22 %、1桁大きくすると約40 %溶解。
反応表面積0.03 m2/gでは、10万年後も95 %以上が残存し、溶解は大幅に低減。
二次鉱物集合の変更(ゼオライト種の入替等)で最終溶解は参照比で約5 %程度低減にとどまるケースあり。
廃棄物領域を除外(閉鎖境界に置換)すると約25 %溶解に減少。初期アルカリの除去でも同程度の低減。ただし非保守的。
早期の孔隙閉塞傾向(簡略系で約300年、完全系で約2,000年)が計算上確認される(モデルは孔隙率未更新)。
解析モデルとの比較
簡略系に対するシュリンキングコアモデル(SCM)は、溶解深さが時間の平方根に比例し、pH=12.835境界で反応輸送結果と良好に整合(初期数千年を除く)。
コンクリート–ベントナイト連成の解析解(Neretnieks 2014)では、界面pHが約10.5となり、参照の反応輸送と比較してモンモリロナイト溶解深さを過小評価する傾向がある。溶解深さは、モンモリロナイト1 molの溶解に必要なOH^-モル数(f2)に反比例し、具体的にf2が小さいほど溶解が進む。

考察
簡略系は、コンクリートの拡散抵抗や有限のアルカリ供給量を考慮しないため過度に保守的。一方、完全系では界面pHが低下し、長期の溶解は緩和される。
溶解支配因子:
拡散係数(ベントナイト・コンクリート):水飽和下では拡散支配で最重要。
反応表面積:30 m2/g以上では感度は小さいが、0.03 m2/gでは溶解が大幅に低下。
界面の扱い(固定境界 vs 連成):結果に決定的影響。
二次鉱物集合:平衡接近度を通じて溶解速度に影響。
セメント側アルカリ・廃棄物領域の寄与:無視は非保守的。
総括:最も妥当な設定では、10万年でモンモリロナイトの20–70 %が溶解し得るが、最近の低い実効反応表面積の知見を導入すると溶解は顕著に低下し得る。

結論は非常にシンプルなのですが、たどり着くには多くの実験が必要だったのでしょう。比表面積や拡散係数をどのようにして設定するかは、まだまだ難しいようです。

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