S-、T-、X-Learner は meta-learner(メタ学習器)と呼ばれる枠組みに属し、機械学習による因果推論を実現する基本的アプローチのようです。X は比較的新しいとのことですが、SとTは古くから利用されています。
これらは「条件付き平均処置効果(CATE)」を推定するための推論フレームワークで、「もしこの人、モノ、事象に介入したら、しなかった場合と比べてどうなるか?」という効果(潜在的結果)を、観察データ(処置+特徴量+結果)から推測・推定する方法です。S, T に最新の機械学習フレームワークを組み込むことで発展し、推定精度も向上するのでしょう。
2. Meta-Learner| Learner | step | モデルNo. | 説明変数 | 目的変数 | 推定対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| S-Learner | 1 | 1 | (T, X) | Y | 処置 T と特徴量 X が与えられたときの結果 Y の期待値(平均値); μ(T,X)=E[Y|T,X] |
| 2 | — | — | — | CATE 条件付き平均処置効果; τ(X)=μ(1,X) − μ(0,X) | |
| T-Learner | 1 | 1a | X (T=0) | Y | 対照群(処置なし)における結果 Y の期待値; μ₀(X)=E[Y|T=0,X] |
| 1 | 1b | X (T=1) | Y | 処置群(処置あり)における結果 Y の期待値; μ₁(X)=E[Y|T=1,X] | |
| 2 | — | — | — | CATE; τ(X)=μ₁(X) − μ₀(X) | |
| X-Learner | 1 | 1a / 1b | X (T=0) / X (T=1) | Y | T-Learner と同じ(μ₀, μ₁) |
| 2 | — | — | — | 対照群の補完効果(反事実予測 − 実際の結果); d₀ = μ₁(X) − Y 処置群の補完効果(実際の結果 − 反事実予測); d₁ = Y − μ₀(X) |
|
| 3 | 2a | X (T=0) | d₀ | 対照群で学習した補完効果の条件付き期待値; τ₀(X)=E[d₀|X] | |
| 3 | 2b | X (T=1) | d₁ | 処置群で学習した補完効果の条件付き期待値; τ₁(X)=E[d₁|X] | |
| 4 | — | — | — | CATE; τ(X) = e(X)·τ₀(X) + (1−e(X))·τ₁(X) 元の式は τ₁ と τ₀ の重みが入れ替わっていた。原典 Künzel et al. (2019, PNAS) は τ̂(x)=g(x)·τ̂₀(x)+(1−g(x))·τ̂₁(x)、g には ê(x) を充てる。 |
用途
| Learner | モデル数 | 向いている場面 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| S-Learner | 1 | 処置の効果が大きく、共変量が少ないとき。実装が最も簡単 | T が多数の特徴量に埋もれ、正則化で処置の効果ごと消えることがある(τ≈0 に潰れる) |
| T-Learner | 2 | 両群とも標本が十分あり、応答関数の形が群で大きく違うとき | 群ごとに独立に学習するのでデータ効率が悪い。片方の群が小さいと、その側の誤差がそのまま差に乗る |
| X-Learner | 4+e(X) | 群サイズが大きく偏るとき(例: 崩壊ありが少数)。少数側の情報を多数側のモデルで補える | 段数が多く誤差が伝播する。傾向スコアの推定精度に結果が依存する |
- S-, T-はモデル(応答関数)で潜在的結果を推定(期待値として算出)し、後処理としてCATEを算出。X-はモデルでCATEを推定。
- e(X)(傾向スコア)は全体比率で代用するか、X→T のモデル(分類器)で推定する。X-Learner では step4 の合成に、 DR / DML 系では擬似効果・残差化に用いる。
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20260817 追記・修正
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