因果推論は古くからある手法のようですが、現代では機械学習と結びついて発展しているようです。
あらためて、それらの関連用語を整理します。
1. 基本用語
| Terms | 用語 | 記号 | 意味 |
|---|---|---|---|
| Treatment | 処置 | T | 処置群か対照群かを示す二値変数(1: 処置群, 0: 対照群)。連続量に拡張することもある |
| Outcome | 結果 | Y | 目的変数 |
| Covariates / Features | 共変量・特徴量 | X | 説明変数。処置より前に決まっているものに限る(処置の後に決まる変数を入れると媒介因子やコライダーを調整することになる) |
| Conditional Average Treatment Effect | 条件付き平均処置効果 | τ(X) | 共変量 X が与えられた場合の平均処置効果。τ(X)=E[Y(1)−Y(0)|X] |
| Average Treatment Effect | 平均処置効果 | ATE = E[Y(1)−Y(0)] | 集団全体の平均的な処置効果。記号欄は略称ではなく定義式で持つと CATE との関係(ATE=E[τ(X)])が見える |
| Propensity Score | 傾向スコア | e(X)=P(T=1|X) | 処置を受ける確率 |
| Potential Outcome | 潜在的結果 | Y(t) | ある個人が、各処置状態 t(例: t=0,1)をもし受けていたならば観測されるであろう結果。各個人は Y(0) と Y(1) の両方の潜在的結果を持つと仮定する |
| Counterfactual | 反事実 | Y(1−T) | 実際に受けた処置 T とは異なる処置 1−T を受けていたならば観測されたであろう、実際には観測されていない方の潜在的結果。この記号は二値処置のときの書き方で、連続処置では Y(t), t≠T と書く |
| Imputed Treatment Effect | 補完された効果 | d₀, d₁ | 観測されなかった反事実を推定・補完することで得られる、処置効果の推定値。特に X-Learner で用いられる概念を指す |
| Response Function | 応答関数 | μ(·) | 共変量 X と処置 T の関数として、結果 Y の条件付き期待値をモデル化する関数。μ(t,X)=E[Y|T=t,X] |
| Expectation | 期待値 | E[·] | 確率変数の平均値 |
| Conditional Expectation | 条件付き期待値 | E[Y|条件] | ある条件下での結果の平均値 |
| DR pseudo-outcome | DR擬似アウトカム | φ(Z)(ṫ(X) とも) | DR(二重頑健)推定量に基づく CATE 学習用の擬似ラベル。「擬似効果」より「擬似アウトカム」が原語に近い。これ自体は効果の値ではなく、X に回帰して初めて CATE になるラベル |
| Residual | 残差 | ε | 実測値から予測値を引いた差(ε = Y − ŷ)。符号の向きが逆だと DR/R-Learner の式が反転するので注意 |
| Individual Treatment Effect | 個別処置効果 | τᵢ = Yᵢ(1) − Yᵢ(0) | 個人 i の処置効果。片方は必ず反事実なので原理的に観測できない(因果推論の根本問題)。だから実務では期待値をとった CATE / ATE を推定する |
| Unconfoundedness / Ignorability | 無交絡(条件付き独立) | (Y(0),Y(1)) ⫫ T | X | X で条件付ければ、処置の割り当てが潜在的結果と独立になるという仮定。メタ学習器がすべて前提にしている。検証不能なので設計と専門知識で担保する |
| Overlap / Common Support | 共通サポート | 0 < e(X) < 1 | どの X の値でも処置群・対照群の両方が実在するという条件。比較相手がいなければ反事実は埋められない。連続処置では Var(e·T)/Var(T) などで測る |
| SUTVA / Interference | 干渉なし | — | ある個体への処置が他個体の結果に波及しないこと。空間データでは隣接地点へのスピルオーバーとして破れやすい |
| Confounding | 交絡 | — | 処置と結果の双方に影響する第三の要因による、見かけの関係の歪み。X に入れて調整すべきものの正体 |
| Nuisance Parameter | 局外(ニュイサンス)パラメータ | μ(·), e(X) | 関心の対象そのものではないが、CATE を推定する途中で必要になる量。応答関数と傾向スコアがこれに当たる |
| Cross-fitting | 交差適合 | — | 局外パラメータの学習と効果の推定を別々のデータで行う手続き。機械学習の過学習・正則化バイアスが効果推定に漏れるのを防ぐ |
| Heterogeneity | 効果の異質性 | τ(X) の X 依存 | 処置効果が対象によって違うこと。これが無ければ CATE を推定する意味がない(ATE で足りる) |
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20260817 追記・修正
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