2021年11月19日金曜日

地下水観測手法と空間スケール

もう一つ、惹かれた文献。

Monitoring ground water storage at mesoscale using seismic noise 30 years of continuous observation and thermo-elastic and hydrological modeling
https://www.nature.com/articles/s41598-017-14468-9

地下水観測手法と対応する空間スケール

small
・traditional monitoring (piezometer networks)
medium (kilometric to decakilometric scale)
・continuous seismic monitoring (ambient seismic noise)
large (>200 000km²) or subsiding areas
・the GRACE gravimetric mission
・InSAR methods

内容

  • Gräfenberg における30年間の地震観測結果(ambient seismic noise)を利用し、地下の力学的変化を検討。
  • 1.2~10秒の周波数帯における速度変化を処理することで、年スケールでのレーリー波速度変化を0.01%オーダーでとらえた。
  • 観測された速度変化は、局所的な帯水層(静水圧)、または地下全体での変化(熱弾性)によって生成される。
  • dv/vの長期的な変化について熱弾性と静水圧のみを考慮するという限定的な近似条件の下で、両者の相対的な貢献度を推定。熱弾性効果を50%、静水圧効果を50%考慮した場合、観測された dv/v との間に最も高い相関係数(0.83)が得られた(Fig.5A)。
  • 観測局グループ間の速度変化(Fig.3)は、水文学的な挙動の空間的なばらつきによるものであり、熱弾性的な影響はより均質であると予想される。
  • 地質学的に安定しているこの地域では、熱弾性と水文学の両方の影響を、年単位の時間スケールと㎞単位の空間スケールでフォワードモデル化可能。
  • 将来的には、深さ方向の分解能向上のため異なる周波数を用いて地下の4次元画像を解析することや、高密度地震アレイを使用して横方向の変動をとらえることが期待される。


GRACEは知りませんでした。
SAR の利用は最近聞いたり読んだりしました。海外では既に浸透しているのかもしれません。国内では山林が多いため、都市部を除き適用が難しい手法でしょうか。
微動を用いた観測手法は国内でも使えそう。というか、世界に誇るべき高密度の観測網が整備されていますので、積極的に研究に利用すべきでしょうね。F-net や Hi‐net のデータを取り入れて速度変化を表示・保存するシステム。技術的にハードルは高くないでしょう。サブダクションの影響がどこまで出てくるか?ん?影響が大きければ、そちら方面に使えるかな?

無償で公開されている地震波形や崩壊データは、近年、海外の研究者にも利用されています。日本の研究者が牽引する形で頑張っていただきたいところです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿