2015年4月3日金曜日

InfraWorks 2015 の問題

私が使用しているのは InfraWorks 2015 です。360ではありません。

2台のPCに Ver.15.3 と 15.1 を入れていたのですが、このマイナーチェンジで仕様が大きく変更されています。Civil3D 2015 Productivity Pack 1との連携を深めたのが15.3だそうです。

結果、以下の対応を迫られましたが、今回はサポートさんの迅速な対応に、大助かり。Gracias!
  • 15.1 では Civil3D で作成した着色済みソリッドの dwg が読めた。が、15.3で読めなくなった。15.3では基本 FBX 読み込み only 。
  • Civil 側で FBX に変換した時点で、色情報が失われる。Infra 側で読み込み後に着色できない。そのため、Civil側で変換前にマテリアルをあてておく必要あり。
  • InfraWorksでは、他の Autodesk 製品で使用されているマテリアルを独自変換して表示する。互換性は低く、読めるマテリアルが少ない。
どこまでも中途半端です。
可視化は容易ですが、出来栄えはのっぺりとしており CG としてはイマイチ。道路を簡単に表現できるが設計には使えない、オフラインで提供できるViewerがなく、オンラインで共有するには360が必要。
一体、どこを目指しているのでしょうか?Autodesk さん!

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20150409追記
Autodesk -Technical Q&A に上記問題の詳細が登録されました。2016も同様のようです。
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9598
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9594
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9595
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9606


20150411追記
そういえば、以下の問題も問い合わせました。詳細がUPされています。
LandXMLがズレる。>15.1から15.3にUPで解決。
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9597

DWGの曲面がおかしくなる問題は分解して対処しましたが、設定があったのですね。
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9416

2015年4月2日木曜日

ソリッドモデル

先日、CG部門の先輩に、構造物の可視化について相談しました。

先輩が主に使われているのは、3ds Max。
構造物の可視化はおもて面だけでよいので、裏側や地下は作りこまない「はりぼて」でよいとのこと。それでも簡単な方法はなく、手作りで時間をかけるしかないそうです。先輩のCGは非常にきれいですからね。

一方、地質のCGは、いつもお断りされているそうです。3次元分布の推定が地質屋さんでないと難しいというのもあるようですが、ポリゴン・サーフェスモデラーでは、ソリッドモデルを作り込めないという根本的な問題があるとのこと。
地質は、(可視化の場合)色つきの断面が必要です。どこで切っても、色付きの面が見えないといけません。前者ではそれが実現できません(事前に断面を切る位置に面を貼っておけば、それらしく見えます)。
また、地層は構造物のように決まった形でなく、ソフトが異なれば同一面が再現できない(推定式やクリギングパラメーターの違いを含む様々な問題)というのもあると言われていました。確かに、この点は CIM でもクリアーすべき大きな課題と考えています。

構造物(ポリゴン・サーフェスモデル)や地質(ソリッドモデル)など、「すべてを1つのソフトで表示するのは難しいので、対象を絞らないといけない」とアドバイス頂きました。うーん、確かに。MVSで、地下も地表も一度にモデル化していたのですが、できたモデルを見ると地表(構造物と地形の接触)はイマイチ。設計者にも見せてみましたが、反応イマイチ。お客様が興味のあるのは構造物ですので、こちらをもう少し作り込まなくては御期待に沿えません。

結局、地表のモデルを Infraworks 2015で追加。
Infraworks の品質は Max よりもかなり劣りますので、今までCGのような「商品」として提供するのは避けていました。が、今回は MVS で使用した構造物や地形などのパーツをそのまま流用できますので、「おまけ」感覚で追加してみました。
で、作ってみると想像より出来が良く、MVS の地表モデルよりは立派。つべこべ言わず、手を動かせ!でした。

Infraworks で着地点までの見通しが立ちましたので、ここから作り込もうと決めました。
が、途端にいくつか問題が出てきました。ま、それはまた後日。






2015年4月1日水曜日

有効応力解析と全応力解析

FEMを使った変形解析では、静的全応力解析が主流です。有効応力解析は、圧密や液状化の問題に利用されています。

基本的には変形(変形係数・ポアソン比・せん断剛性)の話題になりますので、ここ数日の有効応力法・全応力法(c・φ・安全率)の議論とは土俵が異なります。が、自重解析での塑性化チェック、弾塑性モデル、SSRM 、ダイレイタンシー角などを扱う必要があるでしょうから、やはり基礎知識として押えておくべきでしょう。

数値計算における有効応力解析と全応力解析の違いについて、詳細に説明した書物は見当たりません。もっと先の話をするために本を書かれているからでしょう。基本的には、変形に関し浸透・水圧の計算を取り扱っている(土の計算と連成している)か否かの違いです。
それらの違いやパラメータの取り扱いについては、以下の入門書が丁寧で参考になると思います。
備忘録を兼ねてピックアップしてみました(いやー、忘れていますね)。

地盤工学会「地盤技術者のためのFEMシリーズ①初めて学ぶ有限要素法、②弾塑性有限要素法が分かる」
動解での全応力解析と有効応力解析 ②P198 
全応力解析(土骨格・間隙水を一体として扱う)
有効応力解析(土骨格・間隙水を個別に扱う) 
地震時は、よほど透水性のよい砂礫でない限り非排水
非排水せん断で、ダイレイタンシーによって過剰間隙水圧発生
全応力解析では、過剰間隙水圧の影響を含めた形での動的変形特性や動的強度特性を用いる必要がある。しかし、大ひずみ領域ではダイレイタンシー挙動や繰り返し効果が顕著になり、過剰間隙水圧を陰に含んだ全応力強度特性を室内試験から設定することは困難。
全応力解析はダイレイタンシー挙動がさほど顕著に表れない中ひずみまでの領域で用いられることが多い。
大ひずみ領域では、有効応力解析を用いざるを得ない。 
単位体積重量 ①P152②P199
中ひずみ以下での「非排水条件下での飽和地盤を対象とし、動的変形特性を用いた全応力解析」の密度・・・粘性土や地下水以浅:湿潤密度、地下水位以深:飽和密度
有効応力解析を行う場合は、地下水面下で有効単位体積重量γ’を用いればよい。 
変形係数 ①151②P209
有効応力解析の弾性係数E’
一軸のE50は非排水であり、全応力に対する弾性係数。
有効応力解析では、有効応力に関する弾性係数に変換する。利用するのはせん断剛性G。せん断剛性G=E’/2(1+ν’)は体積変化に無関係。
E’/2(1+ν’)= E50/2(1+ν)
E’=E50(1+ν’)/1.5
有効応力解析のν’=1/3程度。
(講習会では、「粘土の側方流動などを扱う場合、ν=0.1~0.2程度が多い。0.3を超えることはない。」と言われていました)

ソフトによって水位や単体の入力・表現方法、ダイレイタンシー特性の設定法などにルールがあります。そのソフト・コードがどのような処理をするのか理解しないと、パラメーターの設定を大きく誤ります。まず確認、ですね。
FORUM8さんはFAQとして掲載されています。確認される方が多いのでしょうね。

有効応力解析UWLC
http://www.forum8.co.jp/faq/win/uwlc.html#q1-5

全応力解析GeoFEA2D
http://www.forum8.co.jp/faq/win/geo2d.htm#q2-32
http://www.forum8.co.jp/faq/win/geo2d.htm#q2-33
http://www.forum8.co.jp/faq/win/geo2d.htm#q2-81


全応力法(圧密持有効応力法)、有効応力法、全応力解析、有効応力解析、ややこしいように思えますが、ベースは至ってシンプルです。

地すべりと有効応力法

地すべりの場合、実務では2次元逆算法が主体です。

この場合、c、φは計算用のフィッティングパラメーターとしての色合いが強くなります。cは層厚から(全応力法的に)決定し、安全率よりφを逆算します。全応力法でも有効応力法でもありません。言わば経験的手法です。


有効応力法の順解析を研究された方もいらっしゃいます。例えば、以下の文献です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscej1984/1997/575/1997_575_1/_pdf

これは、地すべりのせん断が非常に遅いため、粘土も排水強度で評価できるとの考え方です。c'、φ'は乱れの影響を受けにくい、そのため、コアからとった乱した試料で試験が可能。というユニークな研究でした。
当時、この一連の文献を読んだ際には「使える!」と思ったのですが、現在、ほとんど普及していません。経験的手法(主測線での2次元逆計算)の方が安価で実績があると考えられている?分野ですので、ため池や河川ほど土質力学が入ってこなかったのでしょう。
農林さんも土質力学(ピーク強度と残留強度)を踏まえたc・φ設定法を図書にされていましたが、こちらもなかなか普及していません。発刊当時、これも良い手法だと思ったのですが。

近年、トンネルと地すべりの問題では、3次元安定計算の実施が増えています。が、c、φの考え方についてはいまだに進歩がありません。有効応力法、全応力法どころか、基礎となる土質力学の観点からは、ほとんど進歩していない分野です。


2015年3月23日月曜日

有効応力法と全応力法 その4

「河川堤防構造検討の手引き」2012 では一般全応力法が採用されています。
http://www.jice.or.jp/siryo/t1/201202090.html

3年前に改訂されたのですが、以前は有効応力法か全応力法かの記載はありませんでした。というか、全応力法前提で書かれていましたので、砂質土はCU試験となっていました。読めば分かる仕様です。
問題はため池の場合と逆で、基礎地盤などに高透水性材料があった場合です。CUでなく、CD試験が必要になります。

全応力法であることを知ってか知らずか、「砂質土でなぜCUなのだ!CDだろ!」「中間土はCUBが良い!」「砂はφ評価」という技術者が多かったように思います。中間土のCUB、φ'評価は全応力法ではダメですが、排水材料のCDは必要でした。これを受けてか、3年前の改訂で、砂質土(排水材料)でもCD,CUBが使用できるようになりました。一般全応力法によることも明記されています。(低拘束圧による試験実施も記載されました。)

どの程度の技術者が、調査計画やサンプリング後の試験提案で、基準に対応できているのかわかりません。が、基準自体はより親切かつ具体的になっていますので、対応できないのは技術者側に問題があるということになります。気を付けましょう。

2015年3月22日日曜日

有効応力法と全応力法 その3

「土地改良事業計画設計基準 設計ダム技術書 フィルダム編」では、条件により全応力法と有効応力法の使い分けが定められています。

完成後の地震時の安定計算では、先の文献の排水条件と同じ有効応力法の式が採用されています。これは、ロック材など透水性の高い材料は即時排水するため、地震に起因する間隙水圧ueやせん断による過剰間隙水圧usは発生しないという考え方でしょう。

一方、地震荷重により圧密排水しないような透水性の低い材料(非排水材料)に適用すべき式は基準で省かれています。
非排水材料は地震荷重に対し、それに応じた間隙水圧ueが発生します。そのため、文献内の式では地震荷重と相殺されています。が、せん断時の過剰間隙水圧usはそのまま残ります。有効応力法ではこれを考慮しなければなりませんが、基準ではその式が省かれているのです(ロック材と同じ式を使用することになっています)。

ため池の円弧すべりでは、ダム基準が適用されます。地域性もありますが、締固めた堤体などに粘性土が使われていることも多々あります。その場合、せん断時に正のダイレイタンシーを引き起こそうとしますが、非排水材料=定体積(水が入ってこない)ですので、負の過剰間隙水圧usが発生します。σ'=σ-u-us(ueは相殺)ですので、本来はσ'が負のusによってσ-uより大きくなるはずです。が、上記基準に従えば考慮されません。結果、堤体の強度(σ'tanφ')を過小評価することになります。その影響は先の論文のFsに表れていた通りです。

ため池基準、耐震基準は改訂されるようですが、それらの安定計算式の参照先であるダム基準はアナウンスがありません。文献と異なり、上記の影響は小さいという考えなのでしょうか?まだ私が知らない実証があるのかもしれません。
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin/gizyutu/h26_4/
ま、「何かおかしい」と思った際には上記も含めてチェックすべきでしょう。

次は河川。



2015年3月20日金曜日

有効応力法と全応力法 その2

先の2つ目の文献では、有効応力法も全応力法も、正しく計算すれば同じ安全率が得られるという計算例が載っています。
この文献では一般全応力法に目が行きがちですが、有効応力法の計算例も共に載っている文献としてレアですね。
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0005447927

ただ、過剰間隙水圧usの計算箇所だけ詳しく書かれていません。簡単すぎて過程を省かれたのでしょうか?
とりあえず、表5(2)のusの部分だけ、計算結果を追ってみました。上に計算式を付けています。あっているでしょうか?

c' φ' ccu φcu
kN/m2 kN/m2
10 33 195 16.2
σ0=σ-u τf=ccu+σ0tanφcu σ'=σ0-us
(=(τf-c')/tanφ')
us=σ0-σ' Us=usl
m kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m
4.6 7 197.0 288.0 -281 -1293
2 23 201.7 295.2 -272 -544
1.9 25 202.3 296.1 -271 -515
4.4 26 202.6 296.5 -271 -1190

c' φ' ccu φcu
kN/m2 kN/m2
10 33 160 9.6

σ0=σ-u τf=ccu+σ0tanφcu σ'=σ0-us
(=(τf-c')/tanφ')
us=σ0-σ' Us=usl
m kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m
10.7 187 191.6 279.7 -93 -992
10.2 206 194.8 284.6 -79 -802
5 200 193.8 283.1 -83 -415
5 185 191.3 279.2 -94 -471
10.2 141 183.8 267.7 -127 -1292
8 97 176.4 256.2 -159 -1274


EXCELで計算したのですが、round 関数を使用していませんので端数は合いません。が、ほぼ同じ結果です。この計算で良いのでしょう(1箇所だけ大きく違いますが文献のミスでしょうか?)。
CUBの間隙水圧が、せん断面で発生している水圧かどうかは不明です。が、「わからないから無視する」よりは、使用した方が正解に近づくということでしょう。

続きは後日。