2010年8月21日土曜日

変形係数の設定

たいていの場合、設計法が進んで、それを求めるための調査法が開発される。こういった解析がしたいんだけど、定数が求められないから、どうしようか・・・といったことが多いんです。

変形係数の場合は逆ですね。レアなケースです。
調査段階で、たとえば孔内水平載荷試験を実施すると、ひずみレベルに応じたせん断剛性のトレンドが得られます。これを複数の深度で実施しておくと、ひずみレベル-拘束圧-せん断剛性の3軸上に曲面を描くことができます。これを調査段階で設定しておけば、解析時には繰り返し計算によって妥当なせん断剛性、あるいはポアソン比と変形係数のセットが求められます。しかし、このような解析ができるソフトはありません。調査段階で、想定されるひずみレベルと拘束圧を考慮し、適切な変形係数とポアソン比を設定しておくのが主流となっています。解析ができないので、曲面から1点を選んでいるという言い方が良いかもしれません。

昔、地盤工学会基準の孔内水平載荷試験(土砂)における変形係数の算出式の導出が理解できず、いろいろな文献を孫引きしたことがあります。上司やネットの掲示板で聞いても、その式は理解したことがあるとか、孫引きをしなさいとか、具体的な回答は得られませんでした。結局、基準式は間違いであり、海外の基準の理論式とは異なることがわかりました。導出できないわけです。現在でも土砂ではその式が使われていますが、岩盤基準では2004年に理論式が採用されました。

岩盤基準では上記のひずみレベルに応じたせん断剛性の設定が可能になるよう、調査法が工夫されています。すばらしい基準だと思います。いずれは土砂も変更されることでしょう。

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