2012年8月20日月曜日

分子シミュレーション

今年の地盤工学会で分子シミュの発表があったと教えていただきました。
岩手大学大学院 学生会員 中西正樹「分子動力学法による粘土の粘着力 c に関する研究」

分子シミュは1~2年ほど前に知りました。圧密のメカニズムを分子シミュで解かれている先生がいらっしゃり、その話を聞いて一気にやる気になりました。しかし、資料を探しても土木分野への適用は皆無。唯一関係しそうな拡散係数の求め方も、移流分散ではそれほど影響ない所ですので、あえて分子シミュをかけても仕方ない。結局、他分野の解説を読んでもよく分からないですし、(個人の能力的に)応用できそうにないので、気になりつつも手を出していませんでした。

今回の発表ではスメクタイトの粘着力をシミュで求めようと言うものでした。結果はAFM(原子間力顕微鏡、こんなのあるんですね、知りませんでした)の実測値に比較し5~6割となるため、まだ何か足りない(モデル化、その他)というものでした。まあ、学生さんの発表ですので。

これを見て考えたのが、粘着力について。
軟弱地盤の場合、一軸や簡易CUで得られる粘着力が円弧すべりで発揮される平均的な値に近いという事が知られています。一方、地すべりの安定解析(2次元Felleniusなど)で使用されるc・φはあくまで再現するためのパラメーターであり、上記の透水性に関与した粘着力とは似て非なるものとして割り切るべきでしょう(時々、同じ土俵で話をされる方がいらっしゃいますが)。
では、AFM を再現した後の、層間と間隙を考慮した分子シミュによる粘着力と、土質試験で求めた粘着力はどちらが真実に近いのか?分からないでしょうね。
結局、実務で問題を解決できる粘着力が真実っぽく使われるのであって、真実なんてヒトには分からないのかもしれません。モデル依存実在論でしょうか。そんな事を言えば、地すべりのc・φもそれで良いような気がしますが。

まあ、もう少し研究が進まないと何とも言えませんね。

2012年8月15日水曜日

地質図とCAD

踏査結果を土木地質図にまとめていました。

当然、CADで作成していたのですが、個人的には苦手な部類。手書きが好きです。線の太さ、強弱や塗りつぶしの範囲など自由に表現できます。しかも、早い。地質屋さんの土木地質図は露頭スケッチの延長ですからね。

でも、今はほぼ100%CADです。計画が変わっても、直しがききますし、モデルを作るのに必要ですから。
ガリーや沢を入れたら、その周りに連続する崖を、しかも鳥瞰図風に入れてくれる機能ってないのでしょうか?明瞭なところは太く、だんだん細くするとか、1クリックで露頭の形状を表現できるとか。その様な機能を搭載した地質屋のCAD、欲しいですね。売れないでしょうけど。


一通り作業をしてデータを整理していると、私が入社した頃に土木地質図の書き方を教えて下さった方の地質図が出てきました。やはり表現が上手です。思わず見入ってしまいます。山のイメージができるのです。
それに比べ、今日描いた図面は幼稚園児のお絵描きの様です。手を抜いたわけではないのですが、CADでできない表現を省いてしまうのですよね。で、結果、表現が簡素になる。

ちょとツールにハマりすぎですね。何をしていたんだか。もう一度、表現を考えましょう。

2012年8月13日月曜日

線膨張係数

伝熱計算のため Femap を触っていると、「線膨張係数」が出てきました。

温度上昇に対応する1次元長さの変化割合です。昔、習ったはずですが、完全に忘れていました。

熱拡散に手を付けないといけないと思ったのは2年前。熱水循環による温度解析業務に参加できなかったことが発端です。それ以降、やろうと思いつつ手を出さなかったのですが、今年、地下水熱利用に触れることになり腰を上げる事にしました(地下水中の鉄分による目詰まりや、有機物による吸着除去といったことに興味の沸いたのが先でしたが)。

温度応力解析はプラグ施工時に設計者が実施しているのを見ましたが、これはもう地質とは無関係のため、興味はありませんでした。比較的綺麗な材料値を使って計算をしているんだろう、地質では必要ないだろうと、勉強もしませんでした。
しかし、今回触っている中で出てきました。

参考書を見ると、温度-応力の連携は非常にシンプルです。
 σ=E(α(T2-T1))
温度と線膨張係数からひずみを算出し、変形係数を介して応力にしているだけでした。基本はこれだけなんでしょうか。
ま、こちらは急ぐ必要がないので、時間のあるときにコツコツ見ていきましょう。




2012年8月12日日曜日

VNCにはまる

熱解析で Femap + Nastran を利用しようと考え、昨晩から触っていました。

熱拡散の基礎方程式は大体理解していますが、それを実際に手を動かして解いた事はなかったので、時間のある時に実施しておこうと考えていました。手元にある Femap でどこまで出来るか確認しておきたかったのです。Femap を自由自在に扱えるレベルではありません。が、基本コンセプトは慣れている SoilPlus と似ていますので、個人的に扱いやすいソフトと言えるでしょう。

参考書を見ながらコツコツモデルを組んで、はい解析!とボタンを押すと、早速エラー。調べてみると、スタンドアロン版はリモートデスクトップに対応していないとのことでした。

では、VNCでと思い、以前使用していた ThightVNC をインストール。
しかし、繋がったり繋がらなかったり。
なぜ?と考えていると、どうやらWin7のログイン画面に戻った場合、アクセスできないようでした。Lock しないと Local で誰でも自由に触れるようになってしまいますし、リモートデスクトップでアクセスできなくなります。しかし、それでは TightVNC で超えられない(設定がまずい?)。

5時間程度、他のVNCソフトも試してみましたが、一長一短。ビデオドライバーが貧弱だったり、登録が必要であったり。TeamViewer でもうまく繋がりません。
結局、モデルをいくつか組んでおき、あとでまとめて流す事にしました。

本質的でないところで時間をかけてしまいました。
ま、休日なので良かったことにしておきましょう。

2012年8月11日土曜日

結晶片岩の異方性

結晶片岩の異方性について。

堆積岩とともに適正な評価が必要な「異方性」なのですが、メジャーな割に利用されていないと思います。試験に供するサンプルの選択や、調査結果の解釈には必要な事項でしょう。研究結果は50年程前より出ていますね。
以下、備忘録です。


・弾性波

平沢清(1962)佐々連鉱山鉱石および結晶片岩の物性測定結果について, 物理探鉱, 15, 2
b軸(≒線構造方向)>a軸(≒片理面内、線構造に垂直方向)>c軸(≒片理面に垂直方向)

瀬谷清(1960)屈折法における異方性の影響について, 物理探鉱, 13, 2
ki=Vim/ViM (m: minimum, M: max)
d=ki・diso (等方よりも浅くなります。)


・強度

赤井ほか(1969)結晶片岩の構造異方性に関する実験的研究, 土木学会論文報告集, 13, 2
片理面と軸圧の方向が30度で最も強度低下 。(90度の10~25%。本当でしょうか?)



2012年8月9日木曜日

地すべりの理解

孔内傾斜計の観測と、地盤伸縮計、水位計等のメンテナンスに行ってきました。

調査時や施工時に地下水が認められないので、本当に地すべりなのか?単なる崩壊では?と考えていた現場です。

傾斜計のならしの間、「地すべりならこの辺りにすべり面が出てくるだろう」と、崩壊面を観察していました。すると、一部に含水のある箇所がありました。梅雨明けより殆ど雨は降っていませんので、見つけた?と思いながら近づいてみてみると、風化岩の上に礫混じり粘土がありました。成因はすべりか熱水破砕かは分かりませんでしたが、断層ではなさそうでした。

帰社後、データを整理すると、見事にそこへ抜ける変動が取れていました。 すべり面でOKのようです。ま、熱水破砕が先かもしれませんが。

こういった粘土を採取して理化学分析にかけると、特徴が出る場合も出ない場合もあります。熱水破砕が先であれば特徴が出るでしょうし、単なる物理的な破砕であれば、周辺の粘土分と変わらない結果になることが多いと思います。分析はあくまで地質に支配されるのでしょう。
素因として地質構造を組み立てておき、そこに土塊・水圧のバランスを持ち込んだ際にすべりが理解できるのだと思います。両方必要であり、片方だけ調べても解けない問題ではないでしょうか。3次元地質構造の把握と、SSRM の組み合わせが、地すべりの理解への近道だと思います。

残念ながら私は1度でそれらを理解できないので、現場と室内、何度も往復しなくてはなりません。その辺を省力化できるのが経験なんでしょうかね?

SoilPlusからDtransu!

後輩がSoilPlus 2012 に挑戦しています。

計算速度を高めたい、時間当たりの計算ケース数を増やしたいという理由により、浸透流問題を並列化済みの Dtransu を使って解く方針です。
通常は Dtransu の pre として G-TRAN を使用しているわけですが、これ、クセの強いソフトです。モデリングに非常に時間がかかります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2010/08/gtran-for-dtransu.html

そこで、ある段階までは他のソフトを使用し、短時間で綺麗なメッシュを作成したいという意図でした。具体的には、SoilPlus で平面メッシュを作成し、それを G-TRAN で押し出し3次元にするという流れです。ま、楽に出来るといてもG-TRANに対応させるため苦労しているようですが。

理想は、最初から SoilPlus で地層のソリッド読み込み、それらを自動でテトラ要素に分割したいのですが、それを Dtransu の input ファイルに変換する方法がありませんでした。で、仕方なく選択していたこの方法。以前にも記載したようにボクセルメッシュになります。


後輩も使い出したので、そろそろ変換ソフトを作らないといけないかな?と思いつつ SoilPlus 2012 を触っていると、なんと Dtransu へのデータ変換機能が追加されていました。数年前に問い合わせたときには開発予定はないと聞いていましたので、驚きです。オンラインヘルプでも触れられていませんのでマイナーな機能なのでしょうね。

早速、試してみましたが、案の定、変換できません。はい、まずは想定内です。さて、何処がいけないのか?これも見た目だけで実装予定の機能かな?と思いつつ、 サポートに問い合わせました。すると、ちゃんと実装しているとのお返事が。色々試しましたが、結局、未解決。その代わり、他の裏技的な変換方法を教えていただきました。感謝。

で、試すと、主要な部分はinputファイルに変換できます。五面体要素もちゃんと変換できていますね。テトラも可能でしょう。すばらしい!
変換後、editor で解析条件等を複数修正する作業は必要ですが、これは私にとって、いつもの作業。問題ありません。修正したファイル、Dtransu で回りました。嬉しいですね。

結果の変換もできるようですが、これも今だ動かず。エラー内容からして、Dimension あたりが原因かと思いますが、もう少し回答を待ちましょう。

これで G-TRAN を手放せます。SoilPlus + editor のみで、浸透流も移流分散もモデリングできるようになりました。今度モデルを組むときは、GEORAMA+Civil3D > SoilPlus > Editor の流れで試してみましょう。

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2012/8/11追記
現段階でテトラ要素はダメ。構成節点が全て0になります。ペンタまでですね。
まあ、開発中ということで。