2011年9月23日金曜日

百聞は一見に如かず

先日、地球ドラマチック「月と太陽の神秘(1)地球が月と離れる日」を見ました。
以下、NHKのHPでの紹介です。

月は毎年、数cmずつ地球から離れている。計算上では、現在の距離の1割を離れると、地球を公転する軌道から外れてしまう。月は、地球にどんな影響を及ぼしているのか? 月が離れてしまった地球は、いったいどんな世界となるのか? 調査研究で明らかになってきた地球と月の関係、そしてシミュレーションCGが描き出す、月が遠ざかった後の地球の姿。(2010年アメリカ Earth without Moon)

内容からして子供番組のようでしたが、このような文章だけでは分からなかったでしょうね。文字を読むよりも、映像を見る方がはるかに理解しやすいですよね。
番組ではCGが多用され、子供でも分かるような内容構成となっていました。百聞は一見に如かずということでしょう。


今日、岩盤崩落個所の整理をしていました。
PSE で 3Dモデルにし、崩落個所の上にかぶさっている樹木をモデルから削除し、上空から見て驚きました。崩落面を形成していた2セットの亀裂の組み合わせが、一目瞭然なのです。横断でも同様に、それらの亀裂が高角流れ目であることがよく分かります。
これは地質屋以外の方々に伝えやすい!と一人で喜んでいました。

亀裂の方向や斜面との関係を、地質を知らない方に伝えるのは難しいですよね。
いつもなら、Strike、Dip をシュミットに落とし、2セットの亀裂群、亀裂面の摩擦角、斜面の方向などからクサビ状の岩塊が落下する方向や安定性を図示します。Dipsを使えば、比較的簡単に意図した図が作成できます。
ただ、その図と写真,、スケッチなどを使って説明に臨むのですが、シュミットを即座に理解できる方は非常に少ないのが難点です。理屈は理解されても、現場のイメージに結びつくまで、遅れが出るのです。

PSEで3Dモデルを作り、上から示せば、一目瞭然です。シュミットを経由することなく、直接言いたいことが伝えられるのです。
全ての現場に適用できるとは思いませんが、手間はかからないので、やってみる価値があるでしょう。ふとしたことから発見した、3Dモデルの意外な利点でした。

百聞は一見に如かず。
ありがたい時代になりました。

2011年9月21日水曜日

法面崩壊 その2

台風15号で、また法面崩壊が起こりました。

今度は私が担当していた法面です。全面通行止めとなっています。
法面以外に人的・物的被害がなく、心底安心しました。

先日の崩壊時に、この法面も車から見ましたが、大きな変化はありませんでした。ただ、おかしな倒木が1本あり、「あれ?」と感じたので見に行こうとしていた箇所でした。

詳細は載せませんが、これ、もしかすると12号の後ですぐに見に行っていたら兆候をつかめたかもしれません。降雨浸透だけではなく、もうひとつ誘因があったのです。12号の後にすぐ見に行っていれば、見つけることができたかもしれません。休日だから、行こうと思ったけど雨が降っているから、他に急ぎの仕事があるからと後回し、見に行かなかったことをすごく後悔・反省しています。

ただ、この路線の崩壊がほぼ共通した素因、誘因(豪雨)を持っていることは確証しました。それら全てに対策を行うことは莫大なお金と月日が必要です。簡易貫入などで風化土の厚さを捉え、優先順位を付けるのも手ですが、ハード対策で自然のポテンシャル増加についていくにはキリがありません。ソフト面での提案も考えましょう。

今回の反省点です。基本的かつ古典的です。何度も見返せるよう、残しておきます。
・異和感は信じ、何が引っかかったかを認識すること。
・人命のかかっていることを念頭に判断すること。

ここから再度、出発です。
頑張りましょう。

2011年9月20日火曜日

一軸圧縮試験と三軸圧縮試験

設計者から、なぜ港湾ではUUではなく一軸なのか?という質問がありました。

こういった素朴な疑問、随分前に自身も通過したはずですが、すっかり記憶の隅、というか気にすることがなくなっています。一瞬、そんな自分を認識し、そんな自分が面白いと思いながら、頭がマニュアル化しているなあと反省しつつ、3つ回答しました。

・一軸+簡易CUの評価手法がある。
・適度な乱れを含む必要がある。(上と重複しますが)
・安い = 同じお金でたくさんできる。

港湾空港技術研究所HPでは、同様の解説がされています。基準書にもよく出てくる話です。

ただ、全て一軸と言うわけにはいきません。砂分が多い場合にはUUの方が良いと思います。それで得られた強度を補正して設計に使用する方法もあります。表層の柔らかい粘土であれば、現位置試験の方が良いかも知れません。


また、つい最近、後輩から三軸CU、CUB、CDは試験前に圧密するが、圧密の必要性は何?といった質問も受けました。これもとっさに面白いなあと思いながら回答しましたが、こちらはちょっと、後輩の勉強不足と言った感がありますね。
土質力学の基礎的範囲ですが、土質試験、せん断強度、せん断定抵抗角、透水性、現位置での深度方向の強度増加、φ換算時のN値の拘束圧補正など、試験、理論、現場のリンクができていれば(点が線でつながっていれば)、自ずと理解できるはずです。頑張りましょう。


マニュアルに従って淡々と作業することなく、土をみて、計算方法を考えて、技術者が何をすべきかいつも判断しないといけませんね。

2011年9月18日日曜日

法面崩壊

今朝の新聞に法面崩壊の写真が掲載されていました。よく見ると、私が法面調査を担当している路線です。

台風12号による先行雨量と、一昨日からの累積雨量が誘因となり表層崩壊を起こし、一時通行止めになっていたようです。後で聞くと、TVニュースにも出ていたようです。交通量の非常に多い路線でしたので、人的被害がなかっただけでもホッとしました。

お客様から連絡がなかったので、同じ路線でも私の調査対象法面とは外れているだろう、写真で見る限り地形・地質条件が少し違う、このような崩壊を起こしそうな不安定な法面は無かった、でも見落としがあるかもしれない、などと色々考えながらすぐ崩壊現場に向かいました。

現場を見ると、風化土、一部風化岩を含む表層部の崩壊でした(深層崩壊の定義が2~3mであれば、これも深層崩壊ですが)。幸いと言うか、残念ながらと言うか私の担当箇所ではなく、その間にある法面でした。3分くらいで連続写真を撮り、その後滑落崖を見ながら簡単に原因をまとめ現場を離れました。

ストリートビューで見る限り、植生に乱れは無く、空中写真からも背後に大きなすべりがあるように見えません。過去のカルテ点検ではどのような状況であったのか知りたいですね。この路線では、同じような風化土の崩壊が過去の台風で複数回でおきていますので、地質的素因を含む法面としてピックアップすることは可能だったでしょう。路線全体ではかなりの数になりますが。ただ、そこからピンポイントで崩壊予測するのは難しかったと思います。

今回の場合は少し違いますが、昨年の広島県で起きた庄原災害では、誘因となる豪雨の通り道で土石流や崩壊が発生しているため、今後は斜面を広域にお金をかけて調べるよりも、雨の予測精度を上げる方が大事ではないかという意見もありました。確かに、広島大学の研究でも、先行雨量と崩壊時の累積雨量の重ね合わせで災害発生箇所が説明できるような報告があります。誘因としての豪雨の通り道を早く、正確に知ること、それを利用して避難することも重要でしょう。

ハード対策を行っても、自然の平衡点への到達速度を一時的に(人間活動としては有意な時間ですが)送らせているだけであり、それらが老朽化すれば次の世代に負の遺産だけでなく、ポテンシャルの増した自然の脅威を背負わせることになります。ハードに対して更なる手当てがなされないと、自然は既存の対策を乗り越え、平衡点に向かって一気に進みます。そこに人的、物的被害が出ると災害と呼ばれます。平衡状態を知ることが長期的に災害を避ける唯一の方法であると思います。
高校地学の履修者を増やし、災害につながる自然の理もその中で教育すれば、百年後には異なった景観・防災体制になるかもしれません。これは理想論で、なかなか難しいでしょうけれど。

今日は道路からしか見ることができませんでしたので、後日時間をとって再調査に行きましょう。

2011年9月17日土曜日

水衝部の崩壊箇所を3次元モデル化

道路から護岸の崩壊を見かけましたので、早速 PSE で 3Dモデルへ。


今年度の河川改修工事の終点だったのでしょう。
断面の小さな改修前河川の出口かつ水衝部にあたります。先日の台風12号の被害ですね。河床洗堀が先でしょうか?出来たてのようでしたがもったいない。

これ、検査が終わる前だとどうなっていたのでしょう?既済部分は支払われているものとして、残りは保険などがあるのでしょうか?それとも自腹?どうなんでしょうね。


モデル化に関しては、道路から9分間の撮影で140枚、使用枚数80枚です。自動で140枚は合成されませんでした。合成の甘い箇所も多々あります。上からの視点がないため、抜けも多くあります。
延長の長い対象の場合、ソフトの癖に合わせるため写真の取り方にはノウハウが要りそうです。といっても、1回手を動かせば分かる程度ですが。

2011年9月15日木曜日

BIM (ビルディング・インフォメーション・モデリング)

本日の建設通信新聞に「連載・インフラBIM/土木3D新時代(1)」という話題が掲載されています。

【中央復建コンサルタンツ/成功体験が大きな飛躍/3次元設計の実績3倍増】だそうです。

3次元になると一気に頭がついてこなくなります。
例えば、切羽観察で天端・側壁・鏡に分布する亀裂や岩級を展開図に示す場合、最初はほとんどの技術者が戸惑い、悩み、誤った絵を描きます。あるいは、展開図上は亀裂がつながっているものの、その絵と Strike, Dip が矛盾していることも多々あります。書いてもらった展開図をコピーして切りとり、立体にしてもらって初めて間違いに気付かれますが、だんだんと慣れてくると、非常に短時間にスケッチができるようになりますし、次の切羽の絵が予想できるようになります。予想できるようになると、観察時に間違いや亀裂セットの変化に早く気付くようになります。こうなると、見方、考え方が3次元になってきたと言えますし、技術者自身その利点に気付くようになります。

中央復建コンサルタンツさんも、このような技術者の産みの苦しみと言いますか、意識改革や育成には時間がかかったと思います。設計ですからソフトの使い方も覚えなくてはならず、すぐに結果がついてくるものでは無いでしょう。それを経営側が数年後のビジョンを見極め、組織的に技術者の育成・ハードの整備を辛抱しながら行った結果、実績が出だしたということだと思います。今後どうなるかはわかりませんが、個人的には経営陣の読み通り成功してほしいですね。

私の周りは、まだまだ2次元派の方が多いようです。今まで雑談してきた中で3次元測量設計の話題が出たのは、地方の測量の方と首都圏の道路設計技術者だけで限られていますね。技術者の意識もさることながら、これだけはハード・ソフトの整備なしでは進めませんので、経営側のビジョンが重要になります。

幸い、私の机だけにはハードもソフトもそろっています。
すぐBIMなど連携まではいきませんが、あとは私次第でしょうね。

2011年9月14日水曜日

PhotoScene Editor で崩壊地形をモデル化

台風12号ではニュースにならないようなミニ土石流も所々で発生しているようです。
それらが発生した渓流を歩いておりますと、多くの斜面で表層崩壊が見られます。

先日、その中から15m程度と、5m程度の2つの崩壊箇所を連続写真で撮っておきました。渓流沿いから引いたりアップにしたり。撮った枚数は前者が70枚、後者が40枚程度です。
目的は Photo Scene Editor で作られるモデルを確認するためです。
PSEの詳細はこちら↓
http://phreeqc.blogspot.com/2011/08/autodesk-photo-scene-editor.html

連続写真ですので、ただモデル化したい対象を撮っておけばよいだけです。あとでタイムスタンプを見てみると、70枚でも7分でした。

さて、サーバーに写真を送って10~30分程度待つと、メールが届きます。計算の中身は相変わらず分かりませんが、早いですよね。

肝心の結果は・・・予想以上!

驚きました。植林地ですので、手前の木が邪魔をして、まともにモデル化できないかと思っていましたが、逆に手前の木は情報が少なくなるためモデル化されていません。崩壊地に枯れ木の幹が立っているような絵になっています(*捉え方によっては民地の負の情報であるため、UPしません)。

HD解像度で出力し27インチで見ていましたが、ゲームCG以上の異空間が出来上がっています。テクスチャーがCGではなく写真なので、メッシュ精度の割には臨場感あふれて見えるのでしょうね。面白い!何度も見てしまいます。
当然、3Dモデルですから、CADに取り込んで任意の断面も切れます。当初の目的には十分対応できそうです。

ただ、限界も見えてきました。
写真を使用しているので、あまり大きな崩壊地は難しそうですね。いえ、技術的には可能なのですが、山を登りながら連続写真を撮らないといけませんので、踏査のついでに、といったことはできそうにありません。面倒です。20m程度の崩壊が限界といったところでしょうか?