2011年1月8日土曜日

孔内水平載荷試験と強度定数

孔内水平載荷試験で地盤を破壊させると、2次元平面ひずみ状態の強度定数を求めることができます。結果を見ると、排水状態か非排水状態かも判断できますので、cuとして評価すべきかφ'として評価すべきかも理解できます。メジャーな基準書「地盤調査の方法と解説」や一つ前の「地盤調査法」にも掲載されていますが、実務で適用された例を見たことがありません。それは、試験が平面ひずみ状態のため、3軸状態よりも強度定数が3割程度高くなるからか、基準の報告義務に入っていないからか、ソフトが対応していないからか・・・。
平面ひずみ状態と三軸状態での相関はいくつかのテキストに出ていますので、得られた強度定数を割り戻してやれば十分使えるデータになります。せっかく現位置でとっているデータなのですから、使わなければもったいないですよね。

私は試験結果をEXCELで整理しています。VBAの仕様上、古いVer.では動作しませんが、コチラにUPしています。
LLT >>> https://sites.google.com/site/geochemist001/resources/llt
エラスト >>> https://sites.google.com/site/geochemist001/resources/elast


ちなみに、昨日書いたαE0で基準となっている平板載荷試験ですが、もとの土研資料では、横方向に載荷しています。杭のことを考えると当然ですよね。

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20211024追記
管理上の都合で、上記サイトは閉鎖しています。


変形係数とポアソン比

私は変形係数(この場合は地盤反力係数のほうが良いか?)を設定する際には、αE0で統一しています。この辺しっかり記載していないと、設計者に伝わりませんからね。今日も隣で迷われた方がいましたので、その話をしていました。

さて、孔内水平載荷試験で変形係数を設定する際に、土砂の場合はポアソン比νを仮定しますよね。そのことについても時々問い合わせがありますが、そこは深く考えなくてもでも良いのではないか?と思っています。その理由は以下の通りです。
  • 三軸応力状態で有効応力、ひずみε=0を仮定すると、静止土圧係数K0=σh’/σv’=ν/(1-ν)となる。K0=0.5のとき、ν=1/3=0.33となるので、これが排水材料(砂)の場合の0.33の導出でしょう。
  • 軸対象三軸圧縮では体積変化ΔV=0の場合、ポアソン比νmax=0.5となるため、これが非排水材料(飽和粘土)の場合の0.5の導出だと思います。
  • 厳密には孔内水平載荷試験は平面ひずみ状態の試験であり、三軸応力状態ではありません。したがって、上記の値を適用するのは(経験的に施工上問題が発生しなくても)理論的には間違い。(理論上、ポアソン比は孔内水平載荷試験自体から求められます。ユニークな方法を深川先生がご提案されています。)
  • また、地盤調査の方法と解説に掲載されている変形係数E算定式は理論的に誤っています。(岩盤のプレッシャーメーター試験方法(地盤工学会)では理論式となっています。)
  • このように、現状では①適用できないポアソン比や②理論式でなく経験式で変形係数を求める仕様となっています。
  • さらに、変形係数は③ひずみレベルと④拘束圧に依存します。しかし、①~④を無視した経験上の設計手法が確立されています(建築の指針では補正の指摘あり)。
  • そのため、上記理論背景を認識した上で基準通り0.5、0.33を使用して良いのではないかと考えています。

ちなみに孔内水平載荷試験で直接求められるのはせん断剛性率Gであり、νの仮定を必要としません。岩盤のプレッシャーメーター試験方法では算定時の孔壁圧力、ひずみレベルとそれに対応したGの報告義務があります。
なぜ岩盤だけが理論式になったのかはわかりませんが、従来設計との整合性も考えられたのかもしれません。

2011年1月7日金曜日

DtransuのTECPLOT変換ツール

DtransuにはTECPLOT用の変換ツール(trans_tec.f)がついています。

今日もこれを使って変換し、濃度分布のチェックをしていたのですが、どうも薄い濃度の表現ができてないように感じました。変換されたTXTデータをチェックすると、小数点以下4桁しか書き出されていません。fortranソースを見ても倍精度になっていましたので、おかしいなあと思いながら読んでました。
もしかしてDtransu側が4桁しか吐き出していないのか?そっちを見ないといけないのか?と不安になりかけた頃、後ろのほうでformatされていました。そりゃそうですよね。

  200 format(f10.3,4(a,f10.3),a,f10.4,a,e12.4,a,e12.4,a,e12.4)

これを、8桁にしとけば今回は十分な精度になるので、変えました。

  200 format(f10.3,4(a,f10.3),a,f10.8,a,e12.4,a,e12.4,a,e12.4)

指数表示のほうがよかったかな?
人の書いたソースって、読めないんですよね。ま、自分の書いたソースも後でわからくなるときありますが。めんどくさくてもコメント行を書かないといけないですね。

2011年1月4日火曜日

総合的な問題の捉え方

ある問題を解決する際に、目先の問題だけに集中し周りが見えなくなることはよくあります。

たとえば、吸着層では鉄粉末を使用してtrace metalを回収しますが、通水井戸や地すべりの水抜きボーリングの目詰まり物質(Ferrihydrite)に、同じメカニズムでそれらが濃集することを気にしていないのではないでしょうか?目先の目標が環境ではなく、目詰まりの解消だからです。逆洗浄で洗い流した物質はどこに行くのでしょう?
今読んでいるOLCsでも、回収したtrace metalはarmoring、もしくはcloggingといった悪者で、longevity、コストの点から洗浄の対象になります。洗浄した場合の結末に注意する必要があります。

近づいて、離れてを繰り返し総合的に解決すべきなのは、どのような問題でも共通しているのでしょう。なんか、地質図を作るときの心得に似ていますね。



2011年1月3日月曜日

PRBs Chap. 2

2章まで読みました。
AMDに対するLimestoneベースのPRBsの話でした。反応論は扱っておらず簡易な扱いでしたが、必要量、時間、間隙率、実流速など、頭の中で整理できたように思います。また、あの時はこうすればよかったかな?とか、今度こうしてみようかな?など、素人にはいろいろと考えさせられるところが多くある内容でした。実務上のヒントがあったように思います。
この本は2002年の出版ですから、約9年がたとうとしています。その間に基準ができているかもしれません。特に鉛直方向の反応壁について調べる必要がありそうです。

また、最後の1文は、PRBsのみならず、化学反応と輸送を連成する全ての研究に共通する永遠のテーマでしょう。
“Accurate information on variations in the water chemistry, detention time, rates of limestone dissolution, and effects of hydrolysis products on limestone dissolution, sorption of trace metals, and hydraulic properties is needed to optimize designs for OLDs and ALDs and to minimize costs for the effective implementation of these passive-treatment system.”

2011年1月2日日曜日

国内の透過反応壁の動向

PRBsの施工についてDOWAエコシステムさんのHPに動画がありました。鉄粉を用いた工法です。
寿命に関しては、コストの点から再施工を提案されるのでしょうか?
http://www.dowa-geo.jp/service/co_PRB.html

栗田工業さんでは以下の情報が引っかかりました。
http://www.kurita.jp/CACHE/japanese/news_news_newsobj85.cfm
http://patent.astamuse.com/ja/published/JP/No/2009226348
http://www.ekouhou.net/%E9%80%8F%E9%81%8E%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E5%A3%81%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E6%B0%B4%E3%81%AE%E6%B5%84%E5%8C%96%E6%96%B9%E6%B3%95/disp-A,2009-226348.html

ZVIを用いた反応壁ですね。私が取り扱いたいのが石灰岩のほうだったのですが、特許申請の情報には参考になる点がありました。「土壌・地下水汚染: 原位置浄化技術の開発と実用化」という本にも同社の方が透過反応壁のことを書かれています。国内では独占状態なのかもしれませんね。ちなみに、今、この本を監修された先生と一緒に仕事をしていますが、有名な方なんですね。汚染の話になると、よくお見かけします。

また、JOGMECもこんな事業をされていました。
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/prevention/technical/h191204matsuyama/matsuyama03.pdf

鉱害や土壌汚染関連で発達している技術でしょう。休暇が終わったら、社内の土壌汚染担当者に聞いてみましょう。

2011年1月1日土曜日

PRBs Chap. 1

Handbook of Groundwater Remediation using Permeable Reactive Barriers: Applications to Radionuclides, Trace Metals, and Nutrients  (2002/9/23) David Naftz、Stan J. Morrison、Christopher C. Fuller、 James A. Davis

第一章だけ読みましたが、要約のようでした。
結構、知りたかった内容が書いてありましたので、備忘録としてまとめます。

1. Abiotic reaction (Chap. 11, 12, 14, 15)
ZVI (zero-valent iron) >>> low oxidation potential >>> low solubility minerals (U, Cr)
Longevity: relatively unknown, focus of several current investigations
(Longevity is directly linked to cost effectiveness.)
ZVI is potentially reduced by three phenomena.
 a) Dissolution of the iron
 b) Permeability reduction (mineral precipitation)
 c) Passivation of the ZVI (alteration of ZVI grain surfaces)
The reaction of dissolved O2 with ZVI is relatively rapid, and O2 is usually depleted from the groundwater within a few centimeters of migrating through the ZVI.
<<<これ、個人的に知りたかったことです。ラッキーです。
Oxygenated groundwater >>> Ferric oxyhydroxide minerals will accumulate at the upgradient interface of the PRB. >>> low permeability >>> high-porosity zone of ZVI mixed with gravel (Upgradient gravel zone)
pH increase >>> chemical precipitation

2. Biotic reaction (Chap. 8, 17)
CH2O
Longevity: depends on the loss of organic material, reduction in permeability >>> Mixed with gravel

3. Chemical precipitation (Chap.2, 3)
acid mine drainage に limestone が多用されている
Limestone >>> pH increase >>> Metal contaminants can precipitate as hydroxides or carbonates.
Limestone based PRBs lose efficiency as limestone is armored by Fe or Al precipitates, which can lead clogging and failure. High concentrations of Fe3+, Al3+, and dissolved oxygen increase the risk of clogging. >>> Flushing precipitates, which may lead to greater longevity.
<<<通水井戸と同じですね。メンテナンスフリーのイメージがあったので、逆に納得です。

4. Adsorption and ion exchange (Chap. 9)
AFO (amorphous ferric oxyhydroxide) >>> U and metal contaminants
Desorb and reenter the groundwater, 60% of the sorbed U was released (column experiments)
 <<<重要ですね。説明されているメカニズムも良く知られたものです。以前、吸着層の設計をするために移流分散方程式を使ったという発表者がいらっしゃいましたが、吸着のみしか考慮されていませんでした。サイト数は考慮しているかという質問に、「サイト数とは何ですか?」と返されたので、実際の設計はされていないと思いますが、怖いですね。移流分散のみでは40%残留する、あるいは60%が再び地下水に流れ出すといった現象は再現できません。ただ、いつの時点で60%なのかは本文を読んで精査する必要があるでしょう。
Zeolite-based PRBs will largely depend on its sorptive capacity, which can be accurately calculated from laboratory test results. Clogging and surface passivation are likely to be less significant because the chemical mechanism is primarily cation exchange.
 <<<本当?よく読んでみましょう。