2022年7月30日土曜日

六甲式の改良

地震時崩壊を調べていると、国土地理院の方々が書かれた以下の文献を見つけました。

神谷ほか「地震による斜面崩壊危険度評価判別式「六甲式」の改良と実時間運用」写真測量とリモートセンシング 51 (6), 381-386, 2013

F=0.075s-8.92c+0.006a-0.3228 (六甲式)
G=4.38log(s-119c)+3.93loga-15.27(修正六甲式)

例えば曲率が0の場合(地表面の凹凸がない場合),傾斜が43度以上では  PGA が 0gal であっても崩壊と予想する。また,PGA が583gal(計測震度5.8に相当)以上では,傾斜が0度であっても崩壊すると予想する。本システムでは,このような場合でも,妥当な結果を得る必要がある。
言われてみると、納得。閾値を調整すれば六甲式でもカバーできそうですが。
六甲式,修正六甲式は,PGAに関係する項と,関係しない項の和である。PGAに関係しない項を,それぞれ「部分六甲式」,「部分修正六甲式」と呼ぶ。あらかじめ,小グリッドの全てのセルにおける部分六甲式の値を計算し,大グリッドの全てのセルにおいて,「大グリッドのセルに含まれる小グリッドの部分六甲式の値」のヒストグラムを作成する。地震発生時には,大グリッドの部分六甲式のヒストグラムと各階級の代表値を用いて,六甲式等のヒストグラムを計算する。この計算は,大グリッド単位で実行するため,小グリッド単位の計算と比較し,大幅に計算量を削減することができる。
あらためて10mメッシュの傾斜角や曲率を計算し表示してみましたが、2億メッシュでも数十秒~数分程度でした。うまい工夫だと思いますが、今では10mメッシュのままでも計算できるでしょう。日本全国の10mメッシュで s, c の項を計算しておけば、地震時に PGA や震度情報を取り込むことですぐに予測結果を得られます。

今後、高度化を目指すなら、まずは5mDEMの併用でしょうか。角度や曲率を計算する際に海岸線沿いの崖などが考慮できない点をカバーできると思われます。
シンプルかつある程度検証されてきた式ですので、地震のたびに検証・更新される方がいらっしゃっても良いように思います。一番手間の書かかるポリゴン制作も衛星画像等から精度よく自動作成できるようになれば、一気に実現しそうです。が、まだ先ですかね。

 

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