1D の続きです。
地下水の熱輸送算結果は以下の通り。50度の地下水を間隙率10%の地盤に1m/sec で注入しました。図の見方は先日と同じです。
最初、100秒程度では、境界付近しか温まらない計算結果が出ました。遅すぎて驚きましたが、そういうものかもしれないと気を取り直し、100,000秒計算。でも遅い。
dtを1000秒にしていたのであまりにも飛ばしすぎたかと細かくしましたが、結果は同じ(同じなのも意外ですが)。うーん、あやしい。
段ボールに戻り、再度本探し。次に見つけたのがコチラ↓。
David E. Radcliffe「Soil Physics with HYDRUS: Modeling and Applications」
式4.56が移流拡散方程式です(ちなみに有機物量や不飽和にも対応しています)。
よく見ると、利用していた登坂「地圏水循環の数理」式8.35に比べ輸送項の係数が異なります。
どちらが正しいのか?と思いながら単位を確認すると、「Soil Physics with HYDRUS」があっていました。内部エネルギーのT-T0の部分が時間項の差分化部分と捉えると、係数は残る比熱に密度をかけて体積熱容量になっているので、全体でJ/m3/sになる必要があります。そうすると、流速に比熱を乗ずるのは納得。誤植でしょうか?というか、式見て気づけよ、私!
二重に誤っていたのが流速。実流速かと思いきや、ダルシー流速と書かれています。これはどちらの図書にも導出が記載されていませんので、あとでチェックですね。
気を取り直して再計算。
流速1m/s、間隙率100%。濃度と同じ、流体のみの計算です。境界条件も濃度と同じように時系列変化させました。
熱輸送速度をみると単純に10倍にはなっていませんが、速くはなりますね。
ダルシー流速1/10とみなして0.1m/s、間隙率10%。
遅い気がしますね。実流速、ダルシー流速のチェックをしておかないと心底納得できないかも。
次は2D断面。
コチラ↓の方と同様ですが、左端の流体部分は地盤を考慮して係数を修正しています。
http://penguinitis.g1.xrea.com/study/FiPy/FiPy.html
左端に断層をイメージした高透水帯を設け、下から温泉を注入。地表部(上端)の境界はこれまで同様に適当な温度勾配を設定しただけです。その他も適当なので得られた値に厳密性を期待していませんが、なんとなくイメージが湧いてきました。
今回はココまで。地下水の熱輸送計算にFiPyを利用てみました。個人的にはHydrus 1D よりも拡張性が高いと感じています。PHREEQC の COM 版とあわせると面白そうですが、それはPHREEQC 単体の方が簡単ですね。1~2次元の計算で候補といったところでしょうか。簡単な試算か、土石流や河川、浸透流の結果を取り込んで計算する使い方が主体になりそうです。3次元なら Dtransu を修正した方が良いでしょう。
わからないところや設定方法を詰めないといけないところ(境界条件)も出てきました。あらためて調べておき、納得できる答えを出せるようにしましょう。
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