古い集水井では、タラップが壊れて点検できないことがあります。
そのような時に有効なのが機械化やロボットの利用。それらの活用は国も推奨している現在の流れです。
https://www.pwri.go.jp/team/niigata/leaflets/d01_2016.pdf
先日、古い集水井に入れず、Phantom 3 Pro を入れてみました。
当然、GPSは届かず、下は湛水 and 上は天蓋といった閉鎖環境になります。そこをうまく飛ばす腕は、残念ながら持ち合わせていません。それ相応の割り切りと、ノウハウが必要になります。
社外で経験したことがあると言っていた後輩にノウハウ等を確認しましたが、有益な情報は得られず。仕方なく今までの個人的な経験と想像で向かうことにしました。
実施してみると案外うまくいきました。
以下、その際の手順とノウハウを備忘録として記録しておきます。
1.防護カバーをUAVの上に取付けます。
(この作業は省略しても良いのですが、針金を機体に巻き付け中心上に伸ばす作業は必要です)
後述の通り、UAV を吊るして撮影しますが、カバーを付けておくと、誤動作で上昇しても紐がペラに絡みません。今回は針金、金網、ステーをホームセンターで購入し、即興的に宿で組み立てました。
針金は4方向から機体上の中心に向かって収斂させたのち、さらに上に伸ばします。ステーは下から斜め上に向かって4方向に伸ばします。カメラの視野に入らないように(ステーが映像に写らないように)立ち上げます。金網は立ち上げた4本のステーと中心から立ち上げた針金で固定します。
UAV は天蓋の扉からしか入れられません。大きさを事前に測っておけば安心でしょう(今回は測定を忘れており感覚で組み立てたのですが、ギリギリ入りました)。
2.天蓋の扉を開けて、リボンテープを垂らしておきます。
リボンテープにシノなどのおもりを付けて底まで垂らします。あとで撮影深度が分かりやすくなります。
また、東西南北に施工時の目印が入っていなければ、代わりに紐などを垂らしておくと場所の把握が楽になります。天蓋はシノでも動きますので、その隙間にリボンテープを2箇所追加するのもわかりやすいと思います。
3.紐を天蓋の上から井戸の中へ通す。
可能な限り井戸の中心に通します。後で展開写真を作成する際、均等に近い写真ができます。
中心が困難な場合、中心からリボンテープ側になるように通します。テープを目印にUAVを上下動させるため、撮りもれがなくなります。
4.地上でUAVを離陸させます。
中では起動(離陸)しないことがあります。
5.天蓋に通したひもを扉の下から手繰り寄せ、UAV に結びます。
長いひっかけ棒のようなものがあれば便利です。太めの針金でも代用できます。
6.UAV を扉から井戸の中に入れます。
紐で吊り下げて撮影します。
落下事故=水没を防ぎます。
GPS が届かなくても問題ありません。
コンパスキャリブレーションに失敗しても問題ありません。
UAV の回転とカメラ方向のみ操作し、上下移動はひもを使って人力とします。
7.UAV を水面近くまでおろし、撮影を開始します。
最初に水面近くまで機体を下ろします。
次にリボンテープの位置まで機体を回転させます(これはプロポで操作します)。
その後、カメラを下方に向け、撮影開始。1回転したらカメラを水平に戻し1回転させます(これもプロポ)。
回転速度はできるだけ遅く。動画からの切り出し画像が綺麗になります。
その後、リボンテープを目印に、ある程度深度が重複するよう機体を引上げます。
引上げ・回転を繰り返し天蓋付近まで来たら最初の動画撮影終了です。
8.要所の撮影を行います。
(必要であればバッテリー交換&データ回収後、)集水ボーリング、排水ボーリング、底張りコンクリート、タラップ、その他劣化・損傷箇所などの要所を撮影します。
集水ボーリングでは、動画だと流量の目測が可能となります。他は静止画撮影を行います。
Phantom 3 Pro は4K動画ですので、劣化や閉塞の様子が綺麗な映像で確認できました。
9.機体を回収します。
引っ掛け棒で紐を手繰り寄せ、天蓋の扉から UAV を回収します。針金でも、回収できます。
その後、データを確認して終了です。
※その他
撮影時、アプリが落ちたり、タブレットが再起動したりすることがあります。再接続すれば続行可能です。撮影もとぎれません。
炎天下では、タブレットは持てないくらい熱を持ちます。影を作った方が良いでしょう。
展開写真は Microsoft Image Composit Editor を利用。円周方向のみ合成しました。上下の合成はうまくいかず、あきらめました。ちなみに、SfMもダメでした。