3次元、2次元簡易Janbuでの、c固定、安全率1.0に設定した逆算φの分布です。
1万弱のブロックに対し計算した中から、以下の条件に合致したケースを抽出しています。
・逆算φが1~90°の範囲内
・3次元、2次元共に計算完了
・2次元での連続セル(スライス)>=3
3次元では段階的にφの分布が小さくなるように見えます。これは理解しやすい。
2次元では小さいφから減っていくように見えます。これは3次元に比べ分布が広いので、同じようにφの分布が小さくなりつつも、成り立たない小さなφが消えて行くバランスからでしょうか。他に要因があるのかもしれませんね。
c = 1kN/m2の場合に半数以上で2次元安全率の方が高く、それ以外は逆に半数以上で3次元安全率の方が高くなりました。一見すると意外ですが、 逆算安全率に対しc(粘着力)の影響が強かったと解釈すべきなのでしょう。
思ったよりも2次元安全率が落ちなかったのは、側方部などを含めた平均的強度が3次元逆算で得られているにもかかわらず、それを2次元に適用したからかもしれません。
実務において地すべりで逆算を利用する場合、平均層厚や最大層厚を利用してcを設定する流儀が多いため、c=1kN/m2を使うことはないでしょう。2次元安全率の方が3次元に比べて小さいという過去の報告は、この設定方法によって支えられていた部分があるとも考えられます。土質試験を実施してφ材と評価されていると、逆の報告が多くなっていたのかもしれません。
地すべりは十分にゆっくりとせん断されるので、常時は排水状態と考えて試験でφ’rを測定し、順算すれば良いといった考え方もあります。その場合はc=0~1kN/m2を利用することがあるでしょう。そうなると3次元での順算結果を確かめたくなります。が、このアプローチを成立させるには、ブロック内部の複数箇所で試験結果が得られていることが前提です。2D逆算に依存した実務では、なかなかお目にかかれません(試験をするだけなのですが)。順算例を集めて上記のように整理するだけの簡単な作業なのですが、この流儀の堅持が数十年進歩のない大きな理由の一つになっています。
近年では「地すべりCIM」など、見た目を重視したデジタル化の取り組みも進んでいますが、3次元解析の本質的な活用がなされていなければ、単なる表層的な改善にとどまってしまいます。本気で3次元に取り組むなら、信頼できるデータの蓄積と、条件を明確にした3次元利用の深化が求められます。
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20250506
使用したコードをGitHubで公開しました。未完成ですが、ひとまずここまで。
Simplified_Janbu_Method_3D_2D








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