後輩「φ116mm 掘削の仕様となっている」
オペさん「5 インチ掘りになるけど、4 インチではダメ?」
設置時の施工性の観点からは、径の大きな方がありがたい。
一方、掘削の手間・時間・費用を考えるとできるだけ小さくしたい(清水掘り、玉石層、etc.)。
個人的にはφ66 オールコア、4 インチ追い込み、φ86 浚いのパターンが多いと思います。φ66 であれば、孔壁崩壊に対し 3 インチで十分なのですが、周囲の充填が困難になります。お客様の積算上はφ86mm ノンコアとなるでしょう。
管は VP50 相当(ねじ切り)を選択します。VP40 相当としても良いのですが、パージ時の孔内ポンプ等の挿入を考えると 50 相当の方が都合良いと思います。
このあたりの決め事については、地盤工学会基準に示されていません。お客様・技術者の経験則で実施しているところでしょう。
地温調査研究会では、幾つかの知見をマニュアルとして整理されています。全地連さんのHPで公開中です。https://www.zenchiren.or.jp/geocenter/
「地下水調査のための観測孔の仕上げ方マニュアル(案)」 Ver. 2015. 8 月
これによれば、VP50 の場合はφ86mm 掘削 or 4 インチ相当挿入となっています。通常は孔壁崩壊防止のためのケーシングが必須ですので、4 インチ挿入が標準となるのでしょう。
歩掛りも設定されていますが、こちらは感覚的に少し高いように思われます(請求しやすくはなったと思いますが)。冒頭に以下の経験談が書かれていましたが、こちらは極端な例でしょう。
聞くところによると、保孔管にはフィルターを巻いていないようで、保孔管を振るとザラザラと音を立てて地盤を構成している砂が孔内を降下している。充填する豆砂利についても少し触れられていますが、こちらはさく井の指針の方が詳しいですね。
~中略~
どうも、保孔管にフィルターを巻いたり、間詰の材料や、それを投入したりすることに関わる費用をボーリング施工業者に支払っていないため、彼らはボーリングの孔を決められたとおりに掘削すると、80m分保孔管を挿入して引き上げてしまったようだ。
充填砂利は均一で丸い(充填時の有効空隙率が高くなる) 洗砂利(6~9 ㎜)や硅砂(0.8~6.0 ㎜)を使用する。また、その粒子径は帯水層を構成する地層の粒子径の 4~5 倍を参考に選定する。また、以下のような経験談も書かれています。
環境計量士でありながら、地下水採水のための、ボーリングの掘削方法や洗浄方法に関しては殆ど関心を持っていない状態である。採水に関しては神経質すぎるほどの気配りをして行っていたが、そのベースとなるものについては、全くと言っていいほど無関心である。地下水水質試験を行うのであれば、ボーリング掘削方法、使用する掘削流体の成分などに、もっと神経を使うべきではないか?これでいいのか?という疑念を抱かざるを得ない。これはどちらも何方かと。
水質や計量に無関心な技術者は、鉛フリーでない材料を使ったり、接着剤を使ってソケット止めにしていたりします。採水方法や前処理を深く検討せず、出てきた electrical balance にも配慮していない結果を見かけることもあります。計量も現場も、精度向上には両方の知識が必要と感じています(自省も込めて)。
地下水調査に関しては先日の様な数値実験も有用ですが、それだけでは精度向上を望めません。まずは基礎知識を身に付け、次にノウハウ・経験則を継承・発展させることが重要だと思われます。
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20170410追記
現場に、3~5インチのケーシングと VP50 の切れ端がありました。
既に5インチが使用されていたため、残っている 3、4 インチで写真を撮りました。
3インチにVP50 (2 インチ)。これでは豆砂利は、途中で詰まります。
VP50 は内径 51mm ( 2 インチ)、外径 60mm。φ66 コアチューブと似たような大きさですので、孔壁崩壊防止の観点からは 3インチのケースで問題ありません。が、観測孔設置・豆砂利充填の場合は 4 インチまで拡孔する必要があります。
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20170412追記
5 インチに VP50です。
これだけ大きいと豆砂利充填の面では安心です。が、玉石層では掘削が大変です。
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