2010年9月26日日曜日

地下水流動阻害による地下水位変同量

以前、事業部長が2次元断面で真ん中に不透水の構造物を入れたモデルを持ってきて、「透水係数とか入れて概算してみると、下流側で水位が結構下がるんだよ。明日報告しないといけないんだけど、解析できる?」と問い合わせ。独自の計算式を考え苦心されたようでした。

ぱっと見て、構造物の下に透水層が大きく残ってたので、「水位は変わらないのでは?」と思いながら2次元FEM浸透流で試算してみました。結果、ほとんど変わらずでした。他支店に問い合わせても、透水層が薄くならないと水位は変化しないということを確認したので、事業部長に報告。
結局、発注者には「大きく下がる可能性がある」と報告していたようです。

地盤工学会「地下水流動保全のための環境影響評価と対策」では、このような問題について理論式が掲載されています。
https://jgs.jiban.or.jp/book-cart/php/detail.php?iid=51019
やはり、構造物の下の透水層がある程度薄くならないと、水位に変化が出ないようですね。

次回からはこちらで試算してみましょう。

材質を節点に指定するタイプのFEMアプリ

数年前、FEMを使った変形解析の実務に触れた頃の、現場代理人の解析者への指摘を思い出しました。「弱面を1列でモデル化すると、材質が平均化されて変形が出なくなる。最低でも2列以上でモデル化しろ!」
その解析者は何も言っていませんでしたが、対発注者の資料では修正されていました。

その当時は「私の理解が浅いのかな?もっと勉強しないといけないな。」程度でした。
地下水解析の場合でも似たような話があり、節点に材料を与えるか、要素に与えるかによってモデルの作り方が変わります。地盤工学会の「地下水流動保全のための環境影響評価と対策」p348に良い説明があります。
https://jgs.jiban.or.jp/book-cart/php/detail.php?iid=51019

他社の解析結果を見るときも気をつけないといけないですね。

2010年9月24日金曜日

熱-水-応力-化学連成

旧核燃料サイクル開発機構による「熱-水-応力-化学連成挙動に関する研究」という報告書があります。
http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/JNC-TJ8400-2004-015.pdf

いいですよ、これ。Dtransu+PHREEQCなんて理想じゃないですか。
見つけてすぐにメールで問い合わせました。が、まだお返事を頂いていません。なかなか個人の問い合わせには御回答いただけないですよね。電話してみようかな?

 このコードが公開されれば、不飽和部の化学反応-移流分散の連成解析が可能となります。具体的には、掘削で発生したズリを盛土に用いた場合、降雨と共に発生する酸性水、重金属の溶出量が計算できるようになります。今、この連成ソフトが無いことが自然由来汚染の問題で一番ネックになっているところですので、公開されれば一気に前進すると考えます。

公開して欲しいですね。

とりあえず、浸透流・非定常まで

G-tranでは山ほど問題を抱えながら、何とかモデルを組み終わりました。といっても、浸透流・非定常までです。

なんとなく、Dtransu用に節点を書き出し、inputファイルを直接書き換え、Gを介さずDで複数ケースまわした方が効率の良いことが分かりました。


とりあず、高速化は後回し。来週からいよいよ移流分散に突入です。

2010年9月20日月曜日

PHREEQCのINVERSE MODELING

INVERSE MODELINGをやってもらっていた方から結果報告がありました。
既知の3つの水質試験結果と浸透流解析結果から、Solution1+Solution2=Solution3というモデルを仮定し、1と2の混合割合を求めるものでした。私も実務でやったのは初めてだったのですが、まあまあ納得いく答えが得られました。

今回の反省点は、①水質試験結果の妥当性をE.B.で確認しておくこと、②地質(平衡固層)の確認を怠らないことの2点です。
Solution1では、E.B.が5%を超えており、本来なら再度採水して再試験すべきものでした。これが故、計算時にもSolution1のuncertainty を10%と大きく設定しないと回りませんでした。後者では、地質がまったく調べられていないため固層は想定の範囲の域を出ず、モデル上はAlbite(Naを含む鉱物)が沈殿するという結果になってしまいました。

まだまだ学ぶべきことはたくさんあるようです。

2010年9月18日土曜日

学会発表

当社の事業部長、学会発表が大好きなのですが、困ったことに自分の都合の良いデータを優先したり、基礎の勉強を飛ばして難しそうなことにチャレンジしたがる癖があります。

先ほど、7月に発表されたポスターを見てたのですが、なんとFEMで3軸試験の変形モデルを計算されていました。FEMなんて、されたことがないはずと思ってよく見ると、これまたやったことのない部下にやらせていたようです。等方均質であるにもかかわらず袈裟懸け状にひずみが出るようなメッシュのきり方であったり、境界条件を変えたりしているようでした。
他にも、破壊箇所を局所安全率ではなく最大せん断ひずみで表していたり、2次元平面ひずみでモデル化していたり、それに3軸試験結果のφを設定していたり、こまごまとした矛盾がたくさんありました。ソフトがあれば中身を理解していなくても結果は出ます。それが明らかにおかしいかということに気づかずに学会発表してしまう。典型的な悪い例ですね。

このような内容を専門家の前で発表する、それが会社のブランドに対してどういう影響を及ぼすか早く気づき、基礎を学ぶ姿勢を身につけてほしいものです。

2010年9月16日木曜日

Dtransuの高速化

いろいろビルドの設定を変えて計算してみましたが、結局は標準設定(/O2のみ)が一番早いようです。直接、OpenMPを噛ましていくしかないようですね。これは手間がかかりそうなので、ひとまず置いときましょう。

ただ、ハードを変えた影響は劇的に現れました。WSまで用意しなくても、早い単コア、メモリで複数ケース計算させるといった発想が良いのかもしれません。Core i7-980Xで5万2千点の移流分散計算が38分で終わってしまいました。今まではXeon5000番台で1時間かかっていたのです。これは期待以上でした。しかも、6コア12スレッドありますので、平衡して複数のケースの計算も可能です。今日は5ケース平衡して計算させて見ましたが、まだまだ余裕がありそうです。すばらしい、Core i7-980X。

明日からはメモリとCPUのオーバークロックでどの程度詰められるかを見て行きたいと思います。

2010年9月13日月曜日

iPhoneでVPN

前にも書いていたiPhoneでVPN接続できない点について。

会社のシステムの方に使用しているサーバーの型番を聞いてみると、古くてiPhoneに対応していないことが判明!

あきらめるしかないようです。

Dtransuの並列化!

コンパイラーの最新版がきたので、とりあえず、ビルド!
今組んでいる23万点モデルの初期定常で計算時間をチェックしてみました。

まず、/O2を/O3で試しましたが、速度が上がらず。次にSSE4.2を入れると微妙に早くなりますが、殆ど変化しない状況でした。これには期待していたので残念です。自動並列化に関しては逆に速度が落ちてしまいました。結局、これらの設定を変えただけでは速度の上昇が認められませんでした。

繰り返し計算では、収束したら次のステップへという設計のため、loopの回数が決まっていないことも並列化しづらい点であるように思われます。最終はOpenMPですが、ここまでくると時間が掛かるため、ソフト屋さんにお金を払ってでもやってもらいたいですね。明日以降も、色々触ってみようと思います。

2010年9月7日火曜日

限界せん断ひずみ

トンネルの管理基準値には、限界せん断ひずみを用いるのが良いのか、限界ひずみを用いるのが良いのかどちらでしょう?このような疑問を解決してくれる論文を探しています。硬岩系は前者、軟岩系は後者といったところでしょうか?いえ、まったく根拠はないんですけど。

硬岩系の変位観測では、亀裂や弱面でガツンと動いてしまうので、軽く限界ひずみを超えてしまう場合があります。あわてて空洞背後の地質モデルを組み立ててFEMで計算してやれば、その変位さえも再現できるのですが、多くの場合はこのような後付の解析となります。そこで再度管理基準値を設定しなおす事もあるのですが解析や限界ひずみで設定する管理基準値にどのような意味があるのか?ということも考えなければならないでしょう。

ところで、限界せん断ひずみを求める式は、最初に発表された文献では1+νを限界ひずみに掛けることになっていますが、時々、1-νを掛けている資料を見ます。E、G、νの相互関係の導出を考慮すれば、もとの文献が正しいと思いますが、今日、下記サイトでも、後者を採用した資料を見つけました。
http://www.jaea.go.jp/04/be/docu/tru/konkyo/3-05.pdf


早速質問です。早く返事が帰ってこないかな。

2010年9月5日日曜日

iPhoneが好き

もともとは Mac Userでした。

最初にMacを見たときは衝撃でした。PC-98のDOS画面とは異なる世界観に一目ぼれ。無理言って、親にねだって購入してもらい、それからはMacでの作業はもちろん、世界観そのものに陶酔していました。今は仕事の関係上Win専門ですが、基本Macが好きです。

当然、携帯もiPhoneに落ち着いています。今日は朝から井戸調査に行ってたのですが、案外早く片付き午前中で終わったため、午後の空いた時間は家でiPhoneをいじっていました。

カレンダーは「さいすけ無料版」を使っていたのですが、LockInfoで行動予定を表示できません。仕方がないので、カレンダーは標準に戻しました。しかし、同期しているはずのgoogleカレンダーが表示されない。いろいろ調べて、gmailアカウントのon・offスイッチを設定画面から探し出し、onにすると表示されました。Lock画面に予定表が表示されるようになっただけですが、非常に便利になったと思います。あとは会社のスケジューラーがgoogleカレンダーと同期を取ってくれれば、いうことありません。

もう一つ。以前より懸案事項であったVPN接続でのリモートデスクトップは、いじったもののやはり駄目。IPを取得しVPNは張れるものの、社内のPCにまったく接続できません。pingすら通らない。どうも、会社のFireWallがMac系OSを弾いているようです。以前、個人のiPhoneで接続したいので時間があればlogを見てほしいとお願いしましたが、まったく相手にされませんでした。ま、当然ですね。こちらはあきらめるしかないようです。

2010年9月4日土曜日

コンパイラー注文

インテル Visual Fortran コンパイラーが会社にあったので、早速ビルド。

とおもいきや、QxHostが効かない。あれ?と思って調べてみると、インストールしたVer.9.1では、そのオプションに対応していないようです。まあ、SSE4.2までは期待していませんでしたが、そこそこのレベルまでは対応してると勝手に思ってたんですよ。

せっかく良いハードを購入したのに、その性能を十分発揮できないのはもったいない。10万円で2~3割のスピードアップが期待できるなら、最新版Ver.11.1を購入すべきと思い、早速、注文しました。

もともと、地層研さんのビルドでは32bitアプリでした。これだと、メモリの制約上計算が回らないことがあるんですね。お願いしてようやく64bitにしてもらいましたが、最適化オプションは標準+/O2のみのため(汎用性重視?)、まだまだ改善の余地があります。/O3+SSE4.2+並列化入れて3割程度スピードを稼げると、2日かかる計算が1日半で終わります。期待(祈願?)してます。

コンパイラー、早く来ないかな。

2010年9月2日木曜日

Core i7-980X

計算用にPCを新しく購入しました。

WSは予算の都合で買えなかったので、市販のパーツを組み立てで注文。
こだわりは下記の通り、計算スピードです。

CPU  :Core i7-980X
メモリ :4G×6枚=24G(オーバークロック1600)
グラボ :GeForce GTX 480
ドライブ:SSD 80G×2(RAID0)=160G +  HDD500GSATA

基本スコアは7.8、起動も非常に軽快です。電源、マザー、ケースも上記にあわせて選びました。モニタは27インチを購入!大きいモニタは想像以上に効率的です。とにかく、細部の作業がとてもやりやすい。2時間ほど作業すると、もう前の23インチには戻れなくなりました。

効果はというと・・・実はプレのG-TRANが32bitのままなので、そこの作業は期待したほどのスピードは出ませんでした。しかし、表示が抜群に早くなりました。拡大、縮小、移動、回転はもちろん、サーフェース表示、ボディー材料表示の切替など、ほとんどストレスなくこなしてくれます。GeForceの効果大ですね。
肝心の計算はというと、3年位前に買ったWS+64bitソルバー(シングルコア)で、22万点モデルの初期定常に20分くらいかかっていましたが、新規PCでは13分に短縮!クロックはほとんど変わらないんですが、ハードを変えただけで期待以上に効果が出ました。

Core i7-980Xは12スレッドまで対応しています。今後はDtransuの並列化コンパイルで、どれほど速度が上がるかを検証したいと思います。