2017年4月12日水曜日

簡易揚水試験

先日実施した簡易揚水試験の結果を整理しています。

簡易揚水試験については林野庁「治山技術基準(地すべり防止編)」に記載があります。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/sekou/kizyun/gijutu_kijun.html

実施上の細かな点は、新潟県の仕様書等に書かれています。

新潟県林業土木業務委託標準仕様書
http://www.pref.niigata.lg.jp/rinsei/1289250084702.html
(簡易揚水試験)
第2152条 簡易揚水試験は設計図書又は監督員の指示により掘進中のボーリング孔を使用して行うものとし、一定のボーリング区間ごとに掘進を止めて測定するものとする。
2 試験層厚(試験区間)は、5m毎に行うことを標準とするが、設計図書又は監督員の指示により5m以下で行うことができるものとする。
3 ケーシングパイプは無水掘で挿入し、孔壁に密着させて上層からの水の流入を防ぐものとする。
4 試験区間を5mで行う場合は水位を孔底から6mに保ち、40分間揚水を継続する。ただし、6m以浅の試験孔又は水位が孔底より5m低い場合はこの限りではない。
5 水位回復測定は、揚水後ただちに開始し、水位回復約10cm毎に所要時間を測定し、80分間継続して測定するものとする。
6 試験区間が8m以浅の場合は、ポンプを使用しそれ以深はベーラを使用する。
7 水位測定は電気的な触針式水位計を使用し、測定間隔が密に測定できるものとする。
8 試験の結果は、水位回復曲線を作成し、各区間の透水係数を求め、地質柱状図に揚水量と透水係数を表示して取りまとめるものとする。
この簡易揚水試験ですが、いくつか問題点も指摘されているようです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jls2003/42/5/42_5_421/_pdf

式が統一されていないとのことですが、林野の場合は治山技術基準、それ以外で地盤工学会の揚水試験を準用(Jacob式)になるでしょうか?

揚水試験結果の整理ソフトは、現在の支店にはありません。回復だけならEXCELでもできるでしょう、とネットで探してみたのですが、案外ないですね。ま、全国的には流行っていないということなのでしょう。

海外では USGS のサイトに一式揃っていました。さすがです。
https://nevada.usgs.gov/tech/excelforhydrology/listing_and_description.htm

今回はその中から Pumping_Cooper-Jacob_RECOVERY.xls を使用。単位を自由に選択できるところが良いですね。
これで整理すると、OK。
相応のデータが得られました。


2017年4月11日火曜日

溶存ガスを利用する際の採水

地盤工学会の基準書には、溶存ガスを利用する地下水流動調査における採水の留意点も書かれていました。

中でも、温室効果ガスについては「USGS によって詳しく検討されている」とあります。
覗いてみますと、その通りでした。非常に有用な情報が数多く掲載されています。知らなかったことも多くありました。もう、脱帽。
https://water.usgs.gov/lab/
https://water.usgs.gov/lab/sf6/sampling/tips/index.html

  • Label the bottles with the environmental sample collection time and a sequence number on each bottle in the order it was collected, 1-4 for CFCs, 1-2 for SF6. Results from the lab will list each bottle. The lab will offset the sample times by adding the sequence number to the environmental sample time. Record headers will have to be created for each bottle for entry into NWIS. Bottle #2 collected at 1000 will have results with time 1002.
  • Do not fill and cap the SF6 bottles under water. It is important that water NOT enter the area behind the cone seal in the SF6 cap. The area behind the cone seal allows the water to expand as it warms up to room temperature without breaking the bottle.
  • Store and ship the CFC bottles upside down, and ship them weekly to the CFC lab in Reston, VA; holding times for the CFC and gas samples is limited and they need to get into the sample processing queue. Do not store or ship SF6 bottles upside down.

シーケンス番号で時間を補正するほど精度があるとは思えないのですが。ま、これからは書いておきましょう。CFCs は逆さまで、SF6 はダメというのは、どのような理由なのでしょうか?蓋のシールに関係するのでしょうか?

https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/sampling/bottles/
CFC sampling photos. Note that outer beaker does not have to be glass. Outer beaker can be glass, metal or plastic.
外側の容器は気にしなくても良いとのことですが、ふたを閉める際に汚染されそうです。やはり、念には念を入れたいところです。


溶存希ガスは、扱ったことがありません。サンプラーに関しては、銅管で両端にコックが付いたものを使うようです。先日のサンプラーですね。レギュレーターがなぜついているのか?と思っていたのですが、圧力調整用のようです。完全に、知識不足です。
http://www.panasiatec.com/sample_cylinder.html


まだまだ知らないことだらけ。地下水調査の質を落とさないよう、もっと基礎知識を身に付けないとなりません。

2017年4月10日月曜日

地下水のトリチウム濃度

地盤工学会の基準書を眺めていますと、「第7編 地下水調査」の最後に、「同位体による地下水の流動調査」について記載があることに気づきました。

恥ずかしながら、ここまで読んだのは初めてです。
基準化には至らない、近年の動向についてまとめられているようです。先日利用した温室効果ガスの利用について触れられていますし、δ18Oの解釈例についても掲載されいます。後者のような利用法があるとは知りませんでした。今後の参考にしましょう。

「(3)評価 a)温暖化ガス」の中に以下の文言があります。
特に近年では降水中のトリチウム濃度が低下しており、トリチウムによる定量的な滞留時間の評価が困難となってきているため、トリチウムと同程度の滞留時間を評価できる方法として期待されている。
トリチウムが使えなくなってきていることは、数年前に書き残しています。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/06/dating-of-groundwater.html?m=0

理由として、この文献の図が分かりやすいと思います。
Plummer, L.N., Böhkle, J.K., and Busenberg, Eurybiades, 2003, Approaches for ground-water dating, in Lindsey, B.D., Phillips, S.W., Donnelly, C.A., Speiran, G.K., Plummer, L.N., Böhlke, J.K.,
Focazio, M.J., Burton, W.C., and Busenberg, Eurybiades, Residence times and nitrate transport in ground water discharging to streams in the Chesapeake Bay Watershed: U.S. Geological Survey Water-Resources Investigations Report 03-4035, p. 12-24.
https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/research/chesapeake/gwdating.pdf

トリチウム濃度については、福島の原発事故でどうなったかな?と気になっていたところですが、調べてみると↓にありました。変化ないですね。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Top2/849/123/H26nenpou2,0.pdf


トリチウムに替わるのが温室効果ガス。
自然の地下水流動を守るために、ヒトの汚染物質を利用するというのは、なんとも皮肉なものです。

2017年4月9日日曜日

支持層確認のための微動探査

3月の残務も終わり、さあ休もうか!といったところで、お呼びがかかりました。

現場で基礎杭を打っていたところ、予定より深く掘削しても岩盤(支持層)が出てこないとのこと。
事前調査は他社さんですが、すぐに現地を確認し、ボーリングを段取り。この時期で良かった。

で、思いついたのがコチラ↓支持層深度の変化を微動探査で推定するアイデアです。
https://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post.html
(残念ながら?)日曜日の全休日に探査をはめ込むことができてしまったので、実施してきました。

得られたデータはあまり綺麗とは言えませんでしたが、結果は長周期領域と短周期領域に綺麗に分かれました。既設構造物に近いか遠いかで別れているようにも見えますが、基盤深度の反映であれば面白いと思います。
S波速度と1/4波長則で求めた基盤深度は、事前調査で確認されていた深度より浅目になりました。まだまだ考えないといけないところがあるようです。

正解はすぐに得られます。チェック・修正し、次の基礎に備えましょう。
今後、このように困っている方々の役にたつ手法にまでたどり着けると良いですね。


2017年4月8日土曜日

観測孔の作り方

後輩とオペさんが水位観測孔設置のためのボーリング掘削径について話をしていました。

後輩「φ116mm 掘削の仕様となっている」
オペさん「5 インチ掘りになるけど、4 インチではダメ?」

設置時の施工性の観点からは、径の大きな方がありがたい。
一方、掘削の手間・時間・費用を考えるとできるだけ小さくしたい(清水掘り、玉石層、etc.)。
個人的にはφ66 オールコア、4 インチ追い込み、φ86 浚いのパターンが多いと思います。φ66 であれば、孔壁崩壊に対し 3 インチで十分なのですが、周囲の充填が困難になります。お客様の積算上はφ86mm ノンコアとなるでしょう。

管は VP50 相当(ねじ切り)を選択します。VP40 相当としても良いのですが、パージ時の孔内ポンプ等の挿入を考えると 50 相当の方が都合良いと思います。

このあたりの決め事については、地盤工学会基準に示されていません。お客様・技術者の経験則で実施しているところでしょう。

地温調査研究会では、幾つかの知見をマニュアルとして整理されています。全地連さんのHPで公開中です。https://www.zenchiren.or.jp/geocenter/

「地下水調査のための観測孔の仕上げ方マニュアル(案)」 Ver. 2015. 8 月

これによれば、VP50 の場合はφ86mm 掘削 or 4 インチ相当挿入となっています。通常は孔壁崩壊防止のためのケーシングが必須ですので、4 インチ挿入が標準となるのでしょう。

歩掛りも設定されていますが、こちらは感覚的に少し高いように思われます(請求しやすくはなったと思いますが)。冒頭に以下の経験談が書かれていましたが、こちらは極端な例でしょう。
聞くところによると、保孔管にはフィルターを巻いていないようで、保孔管を振るとザラザラと音を立てて地盤を構成している砂が孔内を降下している。
~中略~
どうも、保孔管にフィルターを巻いたり、間詰の材料や、それを投入したりすることに関わる費用をボーリング施工業者に支払っていないため、彼らはボーリングの孔を決められたとおりに掘削すると、80m分保孔管を挿入して引き上げてしまったようだ。 
充填する豆砂利についても少し触れられていますが、こちらはさく井の指針の方が詳しいですね。
充填砂利は均一で丸い(充填時の有効空隙率が高くなる) 洗砂利(6~9 ㎜)や硅砂(0.8~6.0 ㎜)を使用する。また、その粒子径は帯水層を構成する地層の粒子径の 4~5 倍を参考に選定する。
また、以下のような経験談も書かれています。
環境計量士でありながら、地下水採水のための、ボーリングの掘削方法や洗浄方法に関しては殆ど関心を持っていない状態である。採水に関しては神経質すぎるほどの気配りをして行っていたが、そのベースとなるものについては、全くと言っていいほど無関心である。地下水水質試験を行うのであれば、ボーリング掘削方法、使用する掘削流体の成分などに、もっと神経を使うべきではないか?これでいいのか?という疑念を抱かざるを得ない。 
これはどちらも何方かと。
水質や計量に無関心な技術者は、鉛フリーでない材料を使ったり、接着剤を使ってソケット止めにしていたりします。採水方法や前処理を深く検討せず、出てきた electrical balance にも配慮していない結果を見かけることもあります。計量も現場も、精度向上には両方の知識が必要と感じています(自省も込めて)。

地下水調査に関しては先日の様な数値実験も有用ですが、それだけでは精度向上を望めません。まずは基礎知識を身に付け、次にノウハウ・経験則を継承・発展させることが重要だと思われます。



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20170410追記

現場に、3~5インチのケーシングと VP50 の切れ端がありました。
既に5インチが使用されていたため、残っている 3、4 インチで写真を撮りました。

3インチにVP50 (2 インチ)。これでは豆砂利は、途中で詰まります。

4 インチに VP50 。これなら十分入ります。


VP50 は内径 51mm ( 2 インチ)、外径 60mm。φ66 コアチューブと似たような大きさですので、孔壁崩壊防止の観点からは 3インチのケースで問題ありません。が、観測孔設置・豆砂利充填の場合は 4 インチまで拡孔する必要があります。

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20170412追記

5 インチに VP50です。


これだけ大きいと豆砂利充填の面では安心です。が、玉石層では掘削が大変です。


2017年4月7日金曜日

観測孔と採水

穏やかな天気の下、採水に行って来ました。

観測孔において、パージ&採水を実施できるように入念に計画したのですが、いきなり失敗。どの観測孔も透水性が低く、すぐに水位が下がってしまいパージになりません。aquifer materials が粘性土や軟岩主体でしたので妥当な結果ではあるのですが、掘っていた時は、もう少し回復の速い孔があるように感じていました。感覚は時間に弱いですね。

採水はあきらめ、孔間応答確認、簡易揚水試験(といっても揚水継続は短時間)のみに切り替え。こちらは綺麗なデータが取れました。準備しておいてよかった。

翌日、採水の仕切り直し。採水の際に大気に触れさせないようにするのが比較的容易な位置のみを選択し、実施。最初はやや時間がかかりましたが、最終的には計画通り問題なく終わりました。


観測孔からの年代測定用の採水は、次の機会に持ち越し。早くリベンジしたいと思います。


2017年4月1日土曜日

VR ヘッドセットの利用

昨日、納品・検査がすべて終わり、仲間内でお疲れ様会。

その前に電気屋さんに寄って VR ゴーグルを試着。千円~1万円までの4種です。

老眼が入っているためか、レンズからスマホまでの距離のやや遠い物が良好に見えました。
千円くらいの cardboard では、距離が近く大きく見えるのですが、やや焦点を合わせるのが困難。調整もできません。若い方なら問題ないのでしょうか?

コンテンツは自作とBIMサンプル。
自作は先の例に従い Infraworks から Navis 経由でパノラマ化していました。それを iPhone に表示して装着です。

結果は歴然。建築の方が作り込まれている分、3Dやゴーグルの効果が出ます。
土木は大味。構造物自体が建築ほど複雑でないこと、山林の木々を1本づつモデル化していないなど作り込み程度が建築に比べて低いということ等が原因でしょう。Infraworks 自体が、3ds max のような精巧なモデルを作ることができないソフトですので、その影響も出ていると思います。

2次会で、PlayStation VR のある店に行こうとしましたが、既に閉店直前でダメでした。PS VR は人気で品薄になっているようですね。Resident Evil 7、やってみたかったです。


今日、建通新聞をみていたところ、以下の記事が目に留まりました。
https://www.kensetsunews.com/archives/39836
西武建設と岩崎は共同で、VR(仮想現実)技術を活用した安全教育システムを開発した。ヘッドマウントディスプレーを装着するとVR空間上でクレーン災害や重機との接触災害などをリアルに体感でき、現場に潜む危険への気づきを得られる。体験を基に災害原因や対策を議論することで、安全意識の向上につなげるのが狙いだ。今後は、さまざまな職種から意見を抽出して改良を重ね、9月をめどに西武建設の実現場への適用を目指す。
こういった使い道は、まさに王道。ゲームに近い操作が必要なものほど、効果を得られるでしょう。が、FPS や PS VR を使う世代に利用させるとなると、少し躊躇しますね。先の Infraworks のモデルなど、目も当てられないと思います(見回すだけで動けませんので)。

遅れていることを認識しながら、得られる効果と作り込むバランスを考える必要があるでしょう。広範な範囲を詳細にモデル化するのは割に合いません。そこはAR の出番でしょう。地上レーザーによる、XYZRGB データの加工でも良いと思います。
VR の利用に限ったことではないですが、立ち位置を見失わないよう配慮しながら進める必要があると思います。