2024年8月18日日曜日

double-layer two-phase formulation その3

double-layer two-phase SPHの実装が概ね完了しました。

実装を通し、理論と実際を理解できました。
現状、2点の問題があるようです。

1つ目は seepage force (drag force) の計算式。

これまでの文献にも、DualSPHysicsでも同じ式が使われています。が、透水係数の大きな場合にしか実用的ではないようです。1e-4㎝/sオーダーだと、γ/kが大きくなりすぎて、少しの速度差が大きな拘束力を生みます。土塊がすべろうとしても、地下水がその動きに追随するまで拘束されるような挙動も見受けられました。

2つ目は密度変化。

土の間隙内の水が地表に浸出した場合、水相の密度は大きく変化しますが、この表現が困難。いえ、pressureの式で参照している基準密度を変更すれば容易に反映できるのですが、粒子が重なり合い、挙動がやや不安定でした。初期配置も面倒で、実用的ではないですね。水収支はともかく、土の動きだけを正しく反映したい、ということであれば計算の軽い single-layer two-phase formulation でよいと思います。

土相側でも層毎に密度を変えている場合、その境界で密度が訛るのは現状では仕方がないと考えています。が、この密度変化の問題は将来的に何とか解決されそうな気がします。たとえば、土層別にフラグを付けて、個別に計算するとか。それが実現象を正しく反映するようになれば、より実務に浸透していくのでしょう。

今年前半より取り組んできた SPH コードの修正と実装は、これで一旦終了です。
結果的には単相での計算はOK、2相は「定性的評価」まで、土木分野の実務で求められる諸問題には適用が難しい場合が多いと判断されます。が、もう少しだと思います。

将来に期待しましょう。

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